二人の家路
「ねぇおじさん!」
「どうしたんだ?」
二人と歩き始め300mといったところだろうか土地勘が無いため二人の後に付いて行くしかなく樹海の木々を眺めていたとき髪の短い子は私に話しかける
「おじさんは好きな食べ物とかある?」
好きな食べ物かあまり考えた事がないな好きな食べ物などないのだから答えようがない
「そうだな・・・特に好きな食べ物などは無いな」
私がそう答えると髪の短い子は答えを聞き少しだけ考え口を開く
「そうなんだ、でもちょっとは好きと思える食べ物は無い?」
相当ねばるなこの子は
「そうだな・・・・・・すまない思い付かない
」
改めて考えてみたが全く思い付かないな
好きな食べ物か長らく考えていなかったような気がするな
「えー」
「マリュー、別に良いじゃないの好きな食べ物なんて」
そうなのだろうか?私はそう思わないが、それより何故か違和感が感じるな何だろうか
「えー何でよアシュ大事だよ好きな食べ物って例えば気を晴らしたいときとかに好きな食べ物を食べるって本に書いてあったよ」
ああ、わかる気がするな何となくだが、しかしその本はどんな内容なのだろうか気になる
「なあその本はどんな内容なんだ?」
私は短い髪の子に話かける
「たしか、けっこういろんな内容が書いてあったよ」
「例えばどんな内容なんだ?」
「さっきアシュが狩ってきた鹿のどこの肉が美味しいとか何日で腐るとか芋の育て方とかかな」
さしずめ食の本と言ったところだろうか
少しだけ読んでみたい気がするな
後で聞いてみようか
「なあ」
「どうしたの?おじさん」
「いや少し気になったのだがそのさっき狩った鹿とゆうのは何処にあるんだ?」
「ああそれのことね」
私の質問を聞いた後長めの髪の子がローブ内から小さな袋を取り出した
色は二人の着ているローブと同じで蝶の羽のような綺麗な黒色をしている。
「この中に入っているんですよ」
そう言って長めの髪の子は小さな袋の口を開ける小さな袋の口は見た目に似合わずとても大きく開くようだ、長めの髪の子はその中から何かを取り出す。
「これですよ」
そう言って長めの髪の子が小さな袋から何かを取り出した、私はその取り出した物を見て目を疑ったどう見ても入りようがない小さな袋からその数十倍はあるであろう鹿の足が出てきたのだから
「ああこの袋の事ですか?」
私の驚いた顔を見て長めの髪の子は小さな袋について説明を始める
「この袋は魔術師なら誰でも持っている物で空の部屋と言います人間の人達の間だではこのように袋状ではなくバックになっていてマジックバックなどと言われているようです」
と、説明しながら鹿の足を袋に戻す
「空の部屋?」
「ええ、空の部屋です意味は文字どおりで合ってます」
不思議な物もあるようだ少し魔術に興味が湧いてきた
「それも魔術なのか?」
「そうだよ、おじさん知らないの?」
「ああ」
「簡単に言うと空間の拡張って感じかな」
私には良くわからないが部屋と言っているのだからおそらく部屋なのだろう
「部屋と言うことは入る事が出来るのか?」
「そうですね入る事も出来ます、ですがこの空の部屋は横に長いので人が入ろうとしても膝下ほどしか入る事が出来ません」
「空の部屋にも種類があるのか?」
「はい、他にも水や魚を入れる為の壺形や武器などを入れる縦に長い物や袋からは離れますがドア状の家などがありますね」
人が入る事の出来る物もあるのか、本も入れる事は出来るのだろうか?
「ああそういえば渡し忘れてたね」
そう言い髪の短い子が自分空の部屋を出しその中から紅い宝石の付いた黄金の長剣と蒼白の宝石の付いた長剣を出し他には5冊の本と灰色の尖った鱗が付いた盾を出す
「はい、これおじさんが倒れてる時に周りに落ちていた物だよ渡し忘れてた、もし魔女狩りの人だったら危ないから念のため閉まっておいたんだ」
髪の短い子はそう口にしながら樹海に倒れている樹に武器を置く
「これは本当に私の物なのだろうか?」
「見覚え無いですか?」
見覚えか、どれも無いな全く覚えていないな
「やっぱりか」
やっぱり?どういう事だろうか
「どういう事だ?」
「おじさん名前覚えてる?」
名前?
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
思い出せない
「思い出せない」
「やっぱりそうだったのね」
名前を忘れるなんて意味がわからない何故私は今まで気づかなかったんだ?
わからない
「大丈夫だよおじさん」
「不安になるのもわかりますが安心してください」
二人の話が良く聞こえない
よくよく考えると好きな食べ物も覚えていない
自分の生まれた場所も家族の顔も自分の顔も
「おじさん聞いてる?」
髪の短い子に呼ばれやっと良く二人の話が聞こえるようになる
「あ、ああすまない少し気分が悪くなっただけだ安心してくれどこも悪くないちょっと自分の名前を忘れただけだすぐに思い出す」
「おじさん、残念だけどこの樹海に来て倒れた人間は全員記憶を無くしてる、そして記憶を無くした人間はただの例外なく前の自分を思い出すことは出来ない」
「そうです」
二人の言っている事が理解出来ない
「どういう事だ?」
「だから思い出すことは出来ないの」
「一生ね」
二人の言う言葉はどうやら本当らしいその真剣な顔からは嘘を微塵も感じない
「そうか・・・・・・」
私はこれからどう生きて行けばいいのだろうか
「なあ私はこれからどう生きれば良い?」
そう私は二人に問いかける
「おじさんはどうしたいの?」
私か?
「私は記憶を取り戻したい」
そう口に出す
「残念だけど記憶を取り戻す方法は無いわ」
「私達もそうだったの」
「私達は二年程前に二人で倒れている所を見つけられてその後すぐこの樹海の魔術師になった他にやる事が無くやりたい事もない私達を魔術師達は暖かく迎えてくれた」
そう言い二人は黙る
そして髪の短い子がまた口を開く
「だから、おじさんも魔術師にならない?」
そう言い放ち右手を差し出す
「・・・・・・・・・」
私はその差し出された手を固く握った
前の話よりちょっと長くなったかな?