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Intersection

作者: 最上 丸人
掲載日:2017/07/16

 ふわふわと浮かぶ私。

 目が覚めると、私は海の上にいた。

 見渡す限り陸地はなく、明かりになっているのは月明かりだけみたいだ。

「またずいぶん遠いところまで流されてきちゃったな」

 一人呟く私の頭の上には天使の環、にも見える幽霊の証。

 これからどうしよ、と考えふと振り返る。

 すると私の目に、雲間に浮かぶ大きな満月の月明かりとそれを映す海面の明かりが飛び込んできた。

「綺麗……」

 ふと声がこぼれる。

 それは今まで見たどんな光景よりも綺麗だった。

 生前行きたかった遊園地や旅行地よりも、憧れた芸能人よりも、有名な世界遺産よりも、それは綺麗だった。

 頬を涙が伝う。

 最低だった私の人生も。やり残したことも。憎悪も嫉妬も。

 何もかもを忘れてこの光景を見ていたい。

 何分か眺めていると、見入っている私を邪魔しないように、視界の端に小さな光が生まれた。

 横を向くと、そこには薄く光る小さな四角形。

 それは不思議な光景だったが、私には直観で理解できた。

 この四角形は来世への扉だ。

「はは」

 小さな笑いがこぼれる。今までどうやっても成仏できなかったのに、海と月を見て未練が断ち切れるなんて。

 海を見て吹っ切れるとか、満月に思いを馳せて気持ちを整理するとか、ありきたりな物語の中だけだと思ってた。

 なんてありきたりなんだろうか、私の最後は。

 でもこれで良いかもしれない、ありきたりとは言えなかった私の人生の最後の最後は。

 次の人生は最低じゃない、ありきたりな人生がいいなあ。

 なんて考えながら、私は扉へと手を伸ばした。


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