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僕等の通学路

処女作です。


至らぬ点ばかりだと思います。ですが、読んでくださった人が面白いと思ってくれるように全力で、そして、なにより僕自身が楽しんで書いていきますので。

温かい目で応援よろしくお願いします!






僕は、気がつくと真っ暗な世界にいた。


『君は実に趣味が悪い目をしてるね。まぁ僕が背負わせてしまった業だから言えた義理ではないんだけどね。』


昔ながらといった感じの、古くさいセーラー服を着た少女が、いきなり僕の目の前に現れてそう言った。


少女はきれいな青色の瞳に、幼い顔立ち、床につきそうなくらい長い白髪、白く透き通った肌をしている。

まるで、触れただけで散ってしまいそうな儚い花のようだが、でもどこか凛としていてなんともいえない不思議な雰囲気がしていた。


(こいつは誰なんだ、見覚えがあるようなないような。思い出せない……)


僕は訝しげに少女をみつめた。


『女の子に向かってそんな怖い顔しちゃだぞっ!まぁそんなおふざけはどうでもいいんだ、時間もないしね。』


少女は悪戯っぽく笑い、そうかと思うと急に神妙な顔つきになった。


『今年の夏祭りに封印は解かれる、だからなにが起きても、君はあの子をちゃんと守ってあげてね。』


『あの子は特別なんだ。』


『あはは、そんな心配そうな顔をしなくても大丈夫だよ。君の目とこのお守りがあればね。』


少女はそう言って、僕の手に黒光りしたビー玉くらいの丸くてつるつるした石を様なものを置いた。


『肌身離さず持っていてね。

さてと、伝えるべきことは伝えた。

んじゃ、あとはがんばってね。』


『あっ、あと君のお父さんによろしくね。』


少女は意味ありげに微笑んだ。


(こいつは何を言ってるんだ。この石はなんなんだ。あの子って誰のことなんだよ。親父がどうしたってんだよ。)


聞きたいことは山ほどある、でもいくら声を出そうとしても声がでない。


少女はそうしているうちにもどんどん離れていってしまう。


(おい、待てよ、まだ話は終わってないだろ!)


叫ぼうとしてもやはり声が出ない。


いくら走っても走っても距離は離される一方だ。


なんとなく、ここで消えさせてはいけない気がした。


しかし、いくら頑張っても少女の影はどんどん小さくなっていき、ついには闇の中へ消えてしまった。


(頼むから待ってくれよ!おい!おい!……)






「おい!」


僕は自分の声にびっくりして目が覚めてしまった。


周りを見回すと、当たり前と言ったら当たり前だが、僕は自分の部屋のベッドの上にいた。


なんだか頭が朦朧としている、何か大事な夢を見ていた気がしたけれど、何の夢か全然思い出せない。


ふと手を見ると、ビー玉のような黒い玉を握っていることに気がついた。


(なんだこれ。こんなもん持って寝たかなー。)


不思議な気持ちになりつつも、なんとなく捨てようという気持ちになれなかったので、椅子の上に掛けてあった制服のポケットにしまっておくことにした。





ようやく覚めてきた頭でカレンダーに目をやり、今日の日付けを確認した。


「はぁ、今日からまた学校か。めんどくさいなぁ……」


と、朝からネガティヴ全開な台詞を吐いてみたものほ、今日がまだ月曜日だという非情な事実は何ら変わることはない。


そんなことをぼやきつつ、ふと時計を見ると約束の時間が迫っていた。


「やべっ!もうこんな時間じゃん!

あいつらもう来てるかな…… って、なわけないか。

あいつらが時間通り来るほうが珍しいもんな。

でも、美華ちゃんは来てるはず!急がないと!」


急いで制服に着替え玄関へ駆けだす。


「親父、行ってくる!」


リビングから親父が、小走りでお弁当を持ってやってきた。


「幸助、はいお弁当。朝ご飯は食べていかないのかい?」


「ごめん、急いでるから今日はいいや。」


目をそらしながらお弁当を受け取り、そそくさと家を出た。


僕の母は僕の幼いころに死んでしまった。


その時から親父は男手ひとつで僕を育ててくれている。


朝ご飯もお弁当も親父が朝早く起きて作ってくれたものなのだ。


そんなことを考えてしまうと、朝ご飯を食べずに行ったことが、ものごく申し訳なくなってしまい、親父の顔をちゃんと見ることができなかったのだ。


(明日はもっと早く起きて朝ご飯をちゃんと食べよう。うん、そうしよう。)


などと、心の中で決心しつつ歩いていると、美華ちゃんが見えてきた。


「美華ちゃんおはよう。」


「おはようございます、幸助君。」


美華ちゃんは今日も天使のような笑顔で挨拶してくれる。


彼女は、整った顔立ちに、絹の様に艶やかな長い黒髪、マシュマロのように柔らかそうな頬、ふくよかな胸、キュッと引き締まったお腹、丸みを帯びた臀部、とにかく、筆舌に尽くしがたいほどに素晴らしい女性であるのだ。(幸助談)


「だんだん暖かくなってきて、春が来たって感じですね。」


幸助がニヤついていることにも気づかず、美華は笑顔で話しかける。


その声に幸助はやっと現実に戻ってきて返事を返す。


「だなー、夏休みが待ち遠しい。」


「ウフフ、それはまだまだ先ですよ。でもまあ、幸助君らしいですね。」


そう言って美華は笑う。




僕らの通学路は汽水湖に面している。


汽水湖といっても現実、水はしょっぱいし、詳しいことを知らない僕からすれば海と変わらない様にみえる。


海に面した通学路なんて素敵だと思うかもしれないが、案外そうでもない。


冬は冷たい風がびゅんびゅん吹くし、潮風というものは毎日嗅いでいると飽きてしまう。


そんな汽水湖から吹く風は確かに日に日に暖かくなってきていて、春の訪れを感じる。





「しっかし、あいつら遅くないか?」


「そうですね。あ!噂をすれば、あっちから走ってきている二人がそうなのではありませんか?」


そう言って美華は山の方向を指差した。





あの山にはお寺がある。


このお寺がちょっと不思議で、観音様が安○総理に似てたり、お守りが多すぎるくらいに売ってたり、茂信のおじさんという割とそっちの世界では有名らしいお坊さんがいたりする。茂信おじさんは優しくも厳しい人で、僕の幼馴染のお父さんでもある人だ。





幸助は言われた方向を見てみると、走ってくる人影が二つ見えた、その人影は、何かを叫んでいるようだが、遠いせいでうまく聞こえない。


しばらくすると、叫び声は近づいてきた。


「俺が1番ダー!」


「あたしに決まってんでしょうが〜!」


その声は明らかに、見知った二人の声だった。


僕は呆れた様な目を2人に向けて言った。


「お前らは1番じゃないし、むしろ遅刻だ。」


「ゼーっ、ヒューっ、おまっ、あれだ、3分くらいなら誤差だロ!、セーフだ、セーフ!」


「ゼーっ、ヒューっ、そ、そうよ!細かいこと気にすると嫌われるわよ!」


バカコンビはなにか吠えているが僕は気にしない。


「はぁ、兎に角早く行くぞ。バカどものせいで僕らまで遅刻するなんて笑えないからな。」


「ふふっ、みなさん朝から仲良しですね。」


美華ちゃんは能天気に答える。


そんな美華ちゃんもかわいいなぁー、なんて考えつつ僕は日頃からちょっとだけ思ってたことを聞いてみた。


「なぁ、なんで中3になってまでみんなで仲良く集団登校みたいなことしなきゃならないんだ。」


「いいじゃん!みんなで登校したほうが楽しいし!」





と、ムキになって言い返してくるのはバカどもの1人、響子だ。


響子はさっき紹介したお寺の娘で、物心ついた頃から一緒にいる幼馴染だ。


暗い茶髪ショートカットで、気が強くて馬鹿で、エレガントな女性が好きな僕の好みとは正反対だけど、友達思いで優しい、いいやつなのだ。





「なんダ?俺らが遅れてきたこと根に持ってんのか〜?」





挑発するような発言をしてくるのが、バカどものもう1人、修哉だ。


こいつは簡単に言ってしまえば脳筋だ。


でも、熱い心を持った男で、いざという時は本当に頼りになる。こいつもいいやつなのだ。





「そんなんじゃないよ、まぁ、もう少し早く来てくれたほうがありがたくはあるけどね。」


僕は冗談めかして答えた。


僕だってみんなと登校するのは好きなんだ。


「みんな一緒が1番ですっ。」


美華は満面の笑みでそう言った。


そんなたわいもない話をしながら、僕らは今日に学校に向かう。







その時、幸助の服の中ではあの石が黒々とした光を灯していたのだった。





僕らの毎日は、この日を境に崩れていくことになる。


幸せとはなんと儚いものなのだろうか……



この度は、読んでくださりありがとうございました!


まだ1話目ですが、初めて小説を書いてみて、小説を書く難しさを体感して、小説家さん達の苦労を垣間見た気分になりました。(拙い文章を読む方が大変だったと思いますが笑)


更新ペースはそんなに早くはないと思いますが、2話も出来上がり次第投稿しますので、是非読んで頂けると嬉しいです。


また、感想なども頂けると、とても嬉しいですので、よかったらお願いします。


では、また次のお話で。ありがとうございました!

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