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キミのタマはボクのモノ 巻の一  作者: しかも・かくの
第四章 空ろなる聖所と初めての戦いについて
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第二十四回

「ちょっと豪太、あんたまでどういうつもりよ」

 深雪(みゆき)は苛立たしげに睨みつけた。

「文音はいいよ、でもあんたまでついてくことはないじゃない。家の仕事だってあるだろうし……あたしも庖丁研ぎお願いしたばっかりなのに」

 豪太は動じない。

「俺の家は代々(おさ)の守り手だ。その息子である俺が、長の直系の恵を守るために行動するのは当然のことだ」

「それはそうかもしれない、けど」

 反論がすぐに思い付かなかったらしく、深雪は少しく黙り込んだが、そのままあっさりとは引き下がらない。

「だったらあたしも行くから。あたしだって恵が心配だもん。いいでしょ、恵」

「え? う、うん、ぼく……わたしは、みゆきちゃんが一緒に来てくれるのは嬉しいけど」

「じゃあ決まりね。豪太もそれで文句ないわよね」

 豪太は頷いた。謹厳な顔つきからは、内心の動きは窺えない。

「だったらおれも行く! おれもみゆのことが心配だからな!」

 文音が高らかに宣言した。

「あんたは初めっから行くに決まってんでしょ。あんたが恵を連れてくんだから」

 文音にしっかと握り締められた両手を、深雪はこめかみをひくつかせながら振り払った。

「分った、連れてくからさ。その代わり次はみゆがおれを連れてってよ。どっか二人っきりになれるところに。で、いいことしようぜ」

「あんた、いい加減に……」

「もうぼくひとりで行くからいいよ! ふんだ、ふみねちゃんのばかっ!」

 深雪が鉄拳制裁を発動しようとした矢先、恵がぷいと顔を背けた。そして山の方に歩き出したものの、足取りはいかにも鈍い。

「恵、待てよ」

 文音の声にぴたりと止まる。何かを期待しているかのような背中に、文音は大切なことを告げた。

「おまえ場所知らないじゃん。教えてやるよ」

 恵は振り返った。

「……んむぅーっ」

 手負の獣さながらに唸りつつの涙目に、文音は虎の尾を踏んだかのごとく後退る。

「あれ、気に入りませんでした? じゃあちゃんと地図書くから、ぐはっ」

「たいがいにしろ、たわけ者」

 豪太の拳骨を脳天に喰らい、文音はひとたまりもなく地面に沈んだ。

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