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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

メリーさんvs最強親父

作者: 首首首龍

「わたし、メリー。今、校舎裏にいるの」

「俺はヨハネスブルグについたところだ、お前はまだ日本か。まったく悠長なことだな」

「!?…きさま…」

「いいか、俺の背後を取ろうってんならもっと急ぐことだな。さもなきゃ一生俺のケツを拝むことすらできねえぞ化け物野郎フリークス

「……」



〈 最強親父編 壱 〉



がちゃんという音とともに通話が切れる。なるほど奴は確かに校舎裏だ。

わずかに聞こえる隣の民家から流れるつけっぱなしのラジオの音。自転車置き場の屋根を通り抜ける風の音。そして公衆電話の音。

すべてがそうであると、俺に伝えていた。

さて、奴の移動速度がどの程度か判断できないが、この距離はしばらくの間時間が稼げるだろう。ラウンジから空港の外へと向かう。

黄色のタクシーが玄関先に仲良く一列を形成している。男はその先頭のタクシーへと乗り込んだ。


「お客さん、どこまで向かいますか。」

「シティオブゴッドって知ってるか?」

「はあ?あれはブラジルでしょう」

「いいかよく聞け、一辺しか言わねえ。ここいらで人を殺してもなんにもおもわないようなクソがたまっている場所があるだろう。ヤクを売ったり女を襲ったり、ガキをぶん殴ったりするやつだ。そいつらがたくさんいるところに連れて行け」

「ちょ、お客さ」

ガチリと運転手の後頭部に冷たいものが突き立てられる。

「空輸してきたばっかだからな、キンキンに冷えてるぜ。一杯やるか?」

運転手はこくこくとうなずき、男は静かに拳銃を下すと深々とシートに座りなおした。

安タクシーのちんけなシートだが、それが心地よいとでもいいたげに座った彼に運転手は黙って右折信号を出して服従の証を示した。


〈 メリーさん編 壱 〉


メリーは身悶えていた。熱海の駅で一人、いや勝手に人の背中に乗っているので二人ではあるのだが、でイライラと時刻表と電光掲示板をにらむ。

羽田行の乗り継ぎに微妙にまにあわない。これでは奴にさらに引き離されてしまう。


(私の能力「EXTRA HEARTS MANEUVER」で移動するには時間がかかりすぎるッ…!)


彼女はあらゆる人間の背後から背後を渡りあるき、やがては標的の背中に出現し電話を掛け振り向かせる能力を持つ都市伝説級の妖怪だ。背後から背後へ転移できる距離はおおよそ五メートル。それ以上は背後を乗り継がねば移動できないのである。


(なんかそれ四部に出てくるチープトリックみたいだな)

(三本脚リカ先輩、向こうがパクリです。荒木がパクったんです)

(マジで!?)

という会話があったかどうかはご想像にお任せする。


いや、逆か…。羽田より速い方法があるじゃないか…!

メリーは不敵にほほ笑むとホームを駆け出した。




〈 最強親父編 弐 〉



ヨハネスブルグはその覚えやすい名称とともにある一点で高い知名度を誇る。


最悪の治安。

金とマフィアとマリファナ、コカイン、LSD、死の薬の街。

銃の街。


薄暗い倉庫跡、男と若者は固まったまま動かない。

小銃を取り出し今にも引き金を絞ろうという若者は顔面蒼白で、なぜか死の淵にあるはずの男の表情はふてぶてしい。

「一つ忠告しといてやる」

「あ…あ!?セーフティは外してある!引っ掻かんないぞそんなこけおどしには…!」

「その銃、ベレッタやらトカレフなんぞより、オレァ好きな銃なんでな…スコーピオン、美しい銃だ。獰猛で勇敢な代物だ。見たところ…銃身のほうのセーフティはだいじょぶみたいだが、銃弾のほうのセーフティは解除してあるのか?あン?」

「え!?銃だ ングン…ッ!!!」

銃を支点にした打撃が若者の浅黒い顎に直撃する。哀れ、若者は粉砕された顎をひゅーひゅーと鳴らして倒れこんだ。

やれやれ、遊びすぎちまった。男の悪い癖だ。

「わりぃな。セーフティがかかってんのはお前の玉のほうだった腰抜け野郎」

ザザっと、と胸ポケットに入れてある小型の無線機が音を上げる。

「もしもし、私メリー。今三島よ」

「ほう、静岡空港とは目を付けたな。この無線の番号がわかったのも誉めてやろう。だが、あんまりゆっくりやってると俺のほうから迎えに行っちまうぜ。こっちの掃除が終わった帰り道、ばったり空港であったりしてな」

「ハッほざいてなさい。私から逃げおおせた男はいないんだからね」

「ほう!そりゃ!怖い!」

「~~~~~ッ!!!…まあいいわ、せいぜいマリファナ臭いビーチで砂にまみれて遊んでなさい」

「ヨハネスブルグに海はねえぞ」

「~~~~~~~~ッ!?!?!?!……あ、あの、このクソが、えーっとくされ…えーっと、えい」

がちゃん。



〈 メリーさん編 弐 〉


島田。

いつまでも来ない沼津の乗り換え電車を見限ってメリーはタクシーを拾っていた。

お嬢ちゃん、一人かい?お嬢ちゃん、どこから来たの?と運転手が心配そうな声を上げるが全部無視。すべての思考を時間計算につぎ込む。


静岡空港からはヨハネスブルグ直通の便が出ている。それに乗り継いで、向こうにたどりついたら奴の入国審査書類を確認して、目撃情報を…。


クソ、自分は今何をやっているのか。普段であれば瞬殺なのに。

なんの警戒もしてないJKなんぞ、一発呪いじみた電話なりメールなり送ってやればビビって家へと急ぐ。


それがこちらの狙いであるというのに…。


あらゆる人間の背後をのぞける自分に家の下調べなぞ造作もないことだ。

後は家へとゆるりと向かいながら、道端にあった適当なもの自販機やコンビニなどに立っているなどど吹聴してやれば相手は勝手に動けなくなる。


中にはエレベーターを破壊したクソガキもいたなあ、あのせいで9階まで歩く羽目になってしんどかった。しかも家についてみれば、奴は非常用梯子で一階に逃れた後だった。

あの後、駅前のコンビニでトイレ借りたらたまたまそいつがスカートを下ろしている最中に出くわさなかったら逃げ切られていた。

まあ見つけたからには私の勝ち。

さんざんビビらせてしょんべんまみれにしてやった。


過程はどうあれ、勝てばよかろうだ。負けパートはむかっ腹が立つが、そこからの奇跡の大逆転に思い出し笑いが止まらなかった。


お嬢ちゃん、どうしたの?おじょうちゃん…おじょッうッ …はぁはぁ


ふとそこで思考が現実へと戻る。


ちょうどタクシー運転手がメリーさんの上着をめくりあげてその平たんな胸を凝視している最中である。


は て


戻ってきた思考が、脳内に舞い戻る。おかえり。


脳内会議。


はい議長、状況予測を

はい、脳内メリーさん一号


①メリーさんは無意識のうちに心停止していて、運転手は後部のトランクに設置されたAEDで蘇生を図っていた。

なるほど、現実的だ。


はい議長、状況予測を

はい、脳内メリーさん二号


②メリーさんの服の中にたまたま猛毒のサソリかなにかが侵入してそれを排除しようと試みていた。

なるほど、ありえなくはない。


はい議長、状況予測を

はい、脳内アグネスさん一号


③メリーさんのかわいさのあまり、ロリコン運転手がわいせつ行為を働いている。借家からは大量のアニメ、漫画が押収され一部には有害図書として指定されている代物も発見されています。オタク、〇すべし。<●><●>


なるほど、でもそんなことあるだろうか。さすがにタクシーの中、個人運営でもあるまいし犯罪行為に走る愚か者がいるだろうか。あとオタクと犯罪はあんまり関係ない。関係ないはず。


結論、運転手 ノットギルティ


「おじさんありがとう。えーっと唐突に心停止していた私を蘇生してくれたんだね。見たところAEDも救急箱もないけど、摩擦かな?摩擦で自家発電してくれたのかな」


「ふふ、お、おじょうちゃんわるいこだなあ。お、お、お、おじさんのここ、こんなになっちゃったよ…」


イェー ユー ギルティ

 

「おうふ、自家発電はあってましたか…」


いうのもはばかられるような卑猥な様相のタクシー運転手(元)は、先ほどまでの倍以上に猥褻な体勢で構えると蛇かなめくじか、軟体の生物を彷彿とさせる(人間としての尊厳が)危険な機動でメリーに迫ってくる。


その瞬間にメリーさんの肉体は消滅していた。運転手は目を疑う。


「ここにいるよ」


「!?…どど、どこ行った!?隠れてないで出ておいで変なことしないから…へへへ」


「やだぁ…おじさん怖いよ…」


「どこだい…どこにいったんだいウエヘへへへへ」


「あなたの、後ろ」


「…ッツ…………!!ひぃぃぃぃぃぃぃあああああああああああああ」


無人になったタクシーでメリーは一人ため息をつく。


目の前に置き去られたズボンとパンツを見て。


もっと深いため息をつく。




〈 最強親父編 最終章 〉


ごうんごうん、とうなり声のような音を立てながら巨大な集積器が動いていく。

瞬間、とっさに身をひるがえす暇もなく、男の真横にあったパイプが破断し男を吹き飛ばしながら真っ白い煙幕を張り巡らせた。

続いてボスの手にもつ拳銃から一発二発と弾丸がでたらめに吐き出される。


「はっはは、どうだクソジジィ!そろそろ俺のケツなめたくなってきたかそれともち○こなめっかオウ!?」


床につっぷしたまま、男はサブマシンガンを撃ち放ち応戦する。

ちゅいんと嘘くさい跳弾音が残響してマガジン内の弾薬の枯渇をむなしいトリガーの空振りが伝えてきた。

サブマシンガンを投げ捨てる。


残されたのは拳銃一本、残弾3発。


いたぞ、こっちだ、はやく殺せ!


悪党のボスに呼び集められた兵隊たちは今、男を包囲しつつある。


「くそ、おれも焼きが回った」


「そうかァ?俺のほうはなかなかに楽しいショーだったぜぇクソジジィ」


ボスは狡猾でいまだにこちらを警戒して姿を見せない。物陰に潜んでいるのだろう。


「オレァまだ現役だ」


「オーウ怖い!ギャハハハ、なら聞こえるか?この試合終了のベルの音!カーンカーンカン!フゥー!!…マッチョクソジジィにもそろそろ引退の時間が迫ってきたようだなおい!」


粉塵がはれ、丸裸となった男に一斉に銃口が向く。ボスはその様子をにたにたと眺めている。


押し殺したが、吐き気がする。なのに腹がなりそうだ。喉がカラカラだ。

あと少しだというのに、なにもかも。クソ。


「よし、じゃあや、…あ、なんだよてめぇ」


「あ、ボス!!大変です!奴の増援が!」


青いジャージを着たアングロサクソン系のBボーイ崩れがあわててボスに告げる。


「じゃあ何か?お前は便所の紙がなかったらケツそのままで出てくんのか!?クソぶら下げたまま、俺の前に来るんじゃねえ!!援軍なんて指示なくてもとっととぶち殺してやれ」


「へ、」


「へ?」


「ヘリ」


悪党の一人が頭上を見上げ、それにつられてボスも上を見た。


工場の屋根はトタンでできていたのだろうか?

今では確認する手段がない。それは上空からのチェーンガンの掃射にバラバラに引きちぎられ、悪党たちの死体に交じって床にまき散らされたからである。


生き残った悪党が悲鳴を上げる。


上方を旋回するヘリから見るからに屈強な男たちが降下する。そのうちの一人が、帽子を投げ捨て禿げ上がった頭、青くのこる無精ひげが印象の男が自分の頭をつるりとなでてから叫ぶ。


「水臭いぜ、ボノモ。」


「ブラント、来るなと言ったろう」

そう否定しながらも、男の声にはとても死地に立っているとは思えないような明るさが戻っていた。


「は、俺がいなけりゃあんたはここでかぴかぴの干物に仕上がってただろうよ」


「俺ならなんとかしてたさ」


「はいはい、わかりましたよ。だがよ、せっかくここまで来たんだ手伝ってやるぜ」


「…好きにしな」


男一人にほとんど壊滅させられかかっていた悪党たちに、精鋭の増援による形勢を逆転する余力などあるはずもなかった。


始まる、一方的な虐殺。


唸るマシンガン。きらめくナイフの白刃。


「ぎゃああッ…うぎゃ!!!」


排莢された弾丸が床にはじける乾いた音。

「ああ”ッ!! あおあおおおおあああああああ!!かーちゃん!!!!」


汗臭い男の肢体から繰り出される左右左左の四連撃。

「がっ…ああ…うごあああああ!!ぎゃああ!!ぎゃあああああああ!!いやだ、やめ、しにた、しにたくな、う、ぼ、うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


悪党どもに慈悲はない。


その絶叫が弱い者たちへの手向けであり、懺悔の声となるのだ。


やがて工場の中心部で男が悪党のボスの側頭部を打ち抜いて、ようやく戦争は終わった。


「…クソ野郎が、なんで一人で行った」

禿がうめくように言い放つ。


「別に、気分ってやつだ」


「なあおい、いい加減にしろよ。俺たちは何年来のダチだ?お前が海軍やめたときも、救助隊になってトンネル爆破した時も、ボクサーやりはじめてから彼女にふられそうになった時も一緒だったろ?」


「ああ…」


「娘さんの仇取るのは立派だ。男として尊敬するよ」


「……」


「だがな、俺だってメリッサちゃんが好きだったよ。ここにいるみんながそうだ。血にまみれて、汗とドロが全身に塗りたくられても、無垢な彼女みたいな人間を守ってるって考えたらこんなクソみたいな仕事も悪かねェってそう思えてた。」


「……」


「あんないい子を、あんたの娘を爆破テロに巻き込んだ悪党どもは皆殺しにした。これであの子も浮かばれるってもんだ。」


「………」


「最後に、墓参りにでもいってやれよ。墓は…こっちにあるんだろ。」


「置いてけぼりにしてすまなかった。手伝ってくれたのは感謝する。だが、おれはこれから人と会う用事があるんだ。」


「おい、どこに行くんだ。」


「迎えにいくんだよ」



〈 メリーさん編 最終章 〉


静岡から香港をまたいで、ヨハネスブルグへのフライトを終えるとメリーさんはへろへろになっていた。

ファーストクラスの客の背中についたはいいが、逆に近くに休むスペースがなくて失敗だった。結局空いてるエコノミー席に寝転がってメリーさんはフライトを耐え忍んだ。


ようやくあいつに会える。

機内では電話が禁じられているので(離着陸のとき以外は問題ないらしいが、一応マナーとして)空港に足を踏み入れてからラウンジでゆっくりとコーヒー飲みながら電話してやろう。あと一歩だ。


誰もいないふわふわのソファーに腰を落ち着けたとき、メリーさんはほほを濡らす何かに気が付いた。


なぜ、だろう。

とても懐かしかった。


それはこのソファーが、この空気が、この匂いが。どこかで心の奥に残っていて、それがようやく現実と結びついて、あまりに懐かしい。


そして、胸の奥から全身を引き裂かんばかりの痛み。悲しみの群体がメリーさんを苛む。


なぜだ。なぜなのだ。


電話が鳴る。


涙を腕で強引にふき取るとメリーさんは電話を取った。


「よう、遅かったじゃねえか」


「…馬鹿な、メリーさんの電話に『掛けて』くるなんて。あなた本当に何者なの!?」


「待ちくたびれちまってよ、俺は用事を済ませちまった。あとは…」


「…!?なによ、まだ何かするつもり!?」


「ああ、いや、お前今どこだ。」


「は。なめんな。誰がいうか」


「まあ落ち着け、コーヒーでも入れてきてやろうか」


「?!」


メリーさんは思わず携帯を落としていた。



目の前に自分の標的が現れて


ほんとにコーヒーを二つ持ってそこにいたからだ。


「ぬ」


即座に相手の後ろに転移、メリーさんは勝利を確信する。


「甘いわね、余裕でも見せつけるつもりだったのかしら。残念、私の能力EXTRA HEARTS MANEUVERはこの視界に存在するものならば誰の背後でも取ることが出来る無敵の能力なの。こうして目の前に現れたのが運のつきね」


「おちつけよ、俺はお前に会いに来たんだ」


「?…時間稼ぎのつもり!?」


「いつだったか、俺がこうして、コーヒーを取りに行って。お前はこのふかふかソファーが気持ちいいっておサルの人形と一緒に待っていたんだ、あれはひさびさの二人の旅行の日」


「……」


「ミルク二杯だけでいいって大人ぶっていったけど、お前が甘いの好きだってのは知ってた。だからいつも通り。シロップを一つ半入れて残りを俺のコーヒーに入れてカップを持っていこうとした。だけど、次の瞬間それはかなわないことになっちまった。ラウンジの反対側の端でのんきに酒飲んでたアメリカの上院議員の目の前で悪党が仕掛けた暗殺用爆弾が炸裂して空港は吹き飛んだ。そして、お前もいなくなっちまった」


「…………」


「俺は沈んだ。人を守る仕事をしていた奴が、大切な人を殺されちまった。」


男は静かに振り返る。


「だからよ、こうしてお前にまた会えることが俺はうれしいんだ」


ああ、ああ、そうか、そうだったのか。


「メリッサ…、いやメリー、ごめんよ迎えにくるのが遅くなっちまった」


そこには何もいなかった。ぼろぼろの洋服を着た少女も、その残滓も。


「言ったでしょ、視界にいる人間の背後を確実に取れる能力なの…」


懐かしい声が男の背中から聞こえてくる、そして、ゆっくり男の背中へ飛び込んでくる。甘い少女の香り、いとしい娘の匂い。


ちいさな腕でしがみつく少女のために男は背中へ手をやり、彼女の頭を撫でた。


「お父さん、コーヒー甘くないほうが好きなのに。いつも一個と半分のシロップを私のコーヒーに入れるために二つあけてくれて…。残すのもったいない悪いことだって言って自分のほうに入れて…」


「お前が大人になるまでの辛抱だと思えば平気さ」


やがて少女は泣き咽び、しがみつく、男はそれに背中を貸すように跪く。背を向けあっても、とても近い。


そしてようやく泣き声がやむころには痛いほどに背中を抱きしめていた力は消え去り、男が振り向いてもそこには誰もいなかった。


きっと天国へ、行けたのだ。


男は静かに立ち上がった。

ネタっぽいのは筆が進むのになかなか構成をきれいにしようとすると難しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] コメディーだと思って楽しく読んでいたら、実は美しい親子愛の話だったなんて! 終わりのほうは感動しました。 メリーさんにこんな過去が・・・・・・。 まるで途中までのギャク満載バトルが嘘のようで…
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