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宇宙は続く

お読みいただきありがとうございます。

番外編を最初に投稿するような格好になってしまいました。

20年前に書いたノートの発見したのが始まりで、二次的要素のないオリジナルなところを抜き出したために、このようになりました。

本来の主人公はクイーンとエンペラーです。恋愛の要素もありつつのスペオペものですが、なんせ書き溜めたノートが10冊もあるのでどこから手をつけて見たらいいか。投稿はちと無謀だったかもしれませんが、形にしてみたくてこのような形で投稿しました。

お付き合いありがとうございました。

「思ったより小さい銀河ですね。」

 キャットが解析された情報を視覚化したものを見ていう。

「あの“ネジ”に一番近い可住惑星はどれですか?」


 持ち主はそう遠くないところにいるはずだ。


「これだった(・・・)というべきかな。」

 スクリーンに映る星は無残に砕けていた。キャットの顔色が変わる。どう見ても自然の力によっての結果とは思えない。


「星を破壊できるほどの科学力を持った文明があるということだな。」


「奴らはどこです?」

 キャットの声が低い。


「殺気立つな、キャット。この姿になって100年は経つ。」


「わかっていますが、星を破壊するようなやつをこのまま野放しにしておくのですか?」

 星を失ったことのあるものには、我慢できないのだろう。


「その加害者と被害者が同じ顔ということもある。決め付けるのは良くない。アイスが君にそのような見方をすることを許したとは思えないな。」

 レッド司令の口調はおだやかだったが、キャットを冷静にさせるには十分だった。


「すみません。」


「この銀河は小さい古い銀河の部類に入るな。中央にブラックホールや中性子星が多い。あまり安定しているとは言えない銀河だ。“古戦場”がいくつも発見されている。このデーターの時系列化をプリズムに頼んだところだ。」

 レッド司令はキャットを追求しなかった。かつて自分の星を失う羽目になったキャットは、星の終焉に対してセンシティブだ。


「空間のエネルギー減衰からすると、一番大きい古戦ゴミ場は400年ほど前ですね。」

 プリズムが画面を指す。

「デプリの性質から分類していくと、大別して4つのタイプに分けることができます。」


「早いな。・・・4つの勢力の衝突の後ということか?」


 ゴミから元の宇宙船の姿を再構築するなど、一週間かけても普通はできない。それを一日やそこらでやるということは、異能といっても良い。


「予測解析の結果ですから100%断言はできません。情報がもう少しあれば火器の種類や搭乗員の身体的特徴なども割り出せます。」


「それは頼みたいな。近くに移動しようか。」


 銀河全体に渡る古戦場。プリズムのいた世界からいきなりのスケールアップだ。


「何やっていることは一緒だ。」


「え?くちにだしていましたか?」


「いや、そう思っているだろうと先回りして言っただけだ。合っていたかな?」


「スケールアップしたと思っていました。」


「だから、やっていることは同じだ。庭師のようなものだ。」


「庭師?」


「病気や害虫で全滅しないように見張っているだけだ。」


「違いますよ。司令が言っているのは『なまけものの庭師』ですよ。」

 部下が笑いながらいう。


「キャット、パイロット経験はあるか?」


「ありますが?」


「古戦場に着いたら少し腕を見せてくれ。」

 キャットの顔がこわばる。


「君のその反射神経があれば当然“できる”パイロットだ。こちらの機体に慣れてもらう。」


「お見せできるレベルではありません。」


「安心したまえ。模擬戦はしない。一緒に飛ぶだけだ。」


「司令とですか?」


「腕を見るのには一緒に飛ぶのが一番早い。」

 キャットとプリズムだけが驚いていて、周りのクルーはニヤニヤしている。なる程これがこの司令の持ち味なのか。


「私の趣味で機体が人型になる。」


「人型ですか?」


「それだと飛行能力が悪いのではないですか?」


「だから可変型にしてある。ドックファイトや索敵には『手』があると何かと便利なのでな。」


 キャットは諦めたのだろう。

「失望させなければ良いのですが。」


「その時は訓練すればいい。」


「司令。サーチしてから行ってください。」

 クルーから声がかかる。


「了解だ。」




 そこは2光年ほどもある広大な古戦場だ。

 大小様々なデプリが漂っている。


「これは想像以上だな。」


「隠れるのにはいいですが・・・レーダーが役に立ちません。司令どうですか?」


 副官のキグナスに

「・・・いないな。」


「じゃ、キャット、訓練開始だ。」

 そう声をかける。


「あの~司令、どうして分かるのでしょうか?『いない』というのはこの宙域には『人』がいないということですよね。」


「その通りだ。」


「司令は『意志を持つ者がある程度察知』できる。」

 キグナスが代わりに言う。

「加えて1天文単位くらいなら相手の深層心理に介入して、無意識の回避をさせることも可能だ。」


「ある程度という、役立ちそうで立たない特技だがな。宙域に船を入れてくれ。プリズムは乗れるのか?」


 キャットは首をかしげる。分析中で外している。

「訓練は受けてましたが、アイスの所では機会がなかったので、ここでは荷が重いと思います。」


「では君だけで我慢しようか。」




 ドサリ

 ドアが開くなり、キャットが部屋に倒れこむ。

「おい!どうしたんだ!」

 駆け寄り慌てて抱き起こす。

「地獄を見た・・・・」


 ドアに反応がある。キャットを椅子にとりあえず座らすと、出る。

「おう、生きているか?司令からだ。」

 そう言うとキンキンに冷えた瓶を手渡す。


「明日からもう一度サーチアイを飛ばして今度は『人』を探すそうだ。ここは隠れるには丁度良い場所だから、しばらくここに停泊することになるから、明日もやるということだ。」

 そこで傭兵崩れのようにすさんだ雰囲気をまとった男は、奥のキャットに目をやる。


「了解しました。」


「じゃあな。」

 きっと戻って報告するのだろう。


「ほら。」


「ああ。」


 だるそうに瓶を受け取る。


「そんなに厳しい訓練だったのか?」


「模擬戦はしないと言っていたはずなのに・・・12回死んだことまでは数えていたんだが。」


「キャットの反射神経でもダメか?」


「司令の反応速度は、遥か上だ。」


「しばらく停泊するそうだ。」


「プリズム、分析を早いとこ済ましてくれ。」


「わかった。」




 常に新しいことが待っていて、やるべきことが提示される。

 そうして成長して行くのだろう。

 二人の冒険はまだまだ続くが、ひとまず彼らからは離れよう。

 またいつか成長した彼らに会うことに期待して。


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