表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『使い捨てられた補助スキル持ち、迷宮の主になって制服妖怪と学園祭を始める』  作者: 葉月奈津・男
R15版。暴力・性的ニュアンスありバージョン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/115

第34話 63階層の死闘 前編 ~殺すより、使い切れ~ ①

4/7

 


 百合根先輩が防御を固めた。

 自力で防御陣まで辿り着けなかった者は完全無視の構えだ。


 戦術としては正しい判断。

 だけど、人間味はないね。

 いまさらだけど。


「では、はーじめーるよー!」

 意味もなく声を張り上げ、ウィンドウ上のモンスターを動かした。

 タッチ操作で画面上のユニットを動かすと、リアルのモンスターも連動して動く仕様だ。


 先行している『蟻』と『コガネムシ』。

 コガネムシが魔法を無効化してしまうせいか、人間側は弓が主体の攻撃に切り替わっている。


 予想出来ていたので、物理防御の『テントウムシ』さんを召喚。

 弓も無効化してやる。

 コガネさんと連携してアリさんを守ってあげてくれ!


 これで、下準備は整った。

 全面攻勢に入る。


 始まりの合図は『蝉』。

 それも、ボリュームのある音で知られる『クマゼミ』だ。


 敵陣を囲むように6体配置して、一斉に鳴かせる。

 仲間同士の連携が取りにくくなり、敵の動きを察知しにくくなるのが必定の環境に置く。

 単純に耳も頭も痛くなり、集中力も乱れることだろう。


 そこへ行うのは、守る側にとっては悪夢の惨劇だ。

 真上からのプレス攻撃。


 主体は『オンブバッタ』。

 全長3メートルに達するメスの上に、1メートルないくらいのオスがのったカップルのモンスターだ。

 これが5組、アタックした。


 外から跳躍、真上から落ちてくる3メートルの巨体。

 必死になって壁を作ったり、物を積み上げたりしていた人間の努力を無造作に踏みにじって真上から落ちてくる。


 土魔法や氷の魔法で防壁作った魔職の方々!

 ご苦労さん!

 そして、ゴチ!

 『マナポイント』の寄付、助かります!


 まるで、虫たちが『カーソル』のように地を這い、空を舞う。

 指先ひとつで命が動く。

 それが、たまらなく楽しい。


「さぁ、次はどこを潰そうか?」


 クマゼミが鳴き、オンブバッタが落ち、 人間たちの悲鳴が、音の洪水にかき消されていく。


 でも、ちゃんと聞こえてるよ。

『マナポイント』っていう形でね。



 まさかの防壁内への攻撃。

 慌てた人間たちが、右往左往する中。

 静かに働くのは『蜘蛛』。


 『ムツトゲイセキグモ』。

 粘球というネバネバの球を付けた糸を飛ばして、狩りをする蜘蛛だ。

 通常種の主な狙いは『蛾』だそうだ。


 もちろん、ここにいるのだからモンスター。

 大きさは2メートルくらいで6体いる。

 狙うは当然『人間』だ。


 攻めてくる敵に備えていただろう遠距離専用の魔職。

 これを一本釣りならぬ、一本縄で捕えて引き寄せている。


 糸に絡め取られた魔職は、叫ぶ間もなく引きずられていく。

 周囲の仲間は気づいているはずなのに、誰も動けていない。

 それが、今の戦場の『現実』だった。


 中央部では、プレス攻撃を敢行した『オンブバッタ』のメスと、背中から降りて尖った身体で暴れまくるオスの対応で大騒ぎ。

 セミの声で悲鳴は届かない。


 捕えたら、『メガネウロ』に『巣』へ運んでもらう。

 魔力の高い者が優先的に『転職』させられていく。

 それは、カルマにとって効率的な選択だった。


 密やかな希望を胸に戦場を見渡せば・・・。

 耳を両手で抑えて、真っ青な顔でうずくまる女子とか。

 命にかかわりそうな傷を押して這いずる男子とか。

 彼ら、彼女らに似合いの現状が見られた。


 ちなみに、死亡確定の中身はみだし男君たちは『メガネウロ』や『キラーヴィー』に端っこの方からゆっくり静かに、『お役立ち』として回収していく。

  その過程は、あまりにも静かで、誰も目を向けようとしなかった。


 コンパクトな『資源』として『巣』へ運ばれている。

 ゆっくりとなのは『ソウルポイント』を貯めるため。


 死亡が確定的だからか、誰一人見向きもしていない。

 女子の中には汚いモノとして露骨に避けている者までいた。


 それでも、誰も責められない。

 今の戦場では、感情はただのノイズだ。

 静かに死ぬ命は、静かに資源になる。


 それが、この迷宮のルール。

 視点をずらせば、エネルギー満点女子に『オンブバッタ』(オス)がタックル決めている光景があって、さすがに同情した。

 女子とはいえ、バッタさんよりは大きい。


 苦しくないかしら?

 オスと仲良さげに見えて、メスに怒られないかしら?

 そんなことを考えていたら、体格良く育った女子はメスに投げ上げられていた。


 もちろん、『メガネウロ』がスーパーキャッチしてリリースしてくれる。

 『巣』へ、な。

 エネルギー豊富だから『みんな』にも嬉しい獲物だろう。


「うん、いい流れ。ちゃんと『使い切れてる』」


 ◇戦術指揮官カルマ◇


「って、早いな」

 戦況へ目を向けると、『オンブバッタ』が全滅していた。


 さすがに後方支援ばかりとはいえ、100人もいるのだ。

 中層までならメイン戦力となりえる『探索者』も含まれている。

 しかも、こちらが出している戦力は30階層以下のモノばかり。

 圧倒できないのは仕方がない。


 現状、『ダンジョンポイント』はレベル上げに全振り中。

 一部遊びに使ってはいるけどね。

 なので、先代『ダンジョンマスター』が設置していたモンスターを63階層へ引き上げて再配置している。

 戦力がいまいちなのは仕方がない。


「ってわけで、行ってください! 『先生』!」

 後詰の戦力投入だ。



評価いただけると続編を書く意欲に直結します


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ