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『使い捨てられた補助スキル持ち、迷宮の主になって制服妖怪と学園祭を始める』  作者: 葉月奈津・男
R15版。暴力・性的ニュアンスありバージョン

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第39話 63階層の戦い 決着編 ~最後の一撃~ 前編

2/7

 


 戦いの帰趨は決した──そう思ったのも束の間。

 人間側は、しぶとく戦線を持ち直していた。


「ああ。谷垣涼香か」

 筋肉質な大剣使い。

 戦術面では脆いが、彼女には災害級のスキルがある。


『扇動者』。


 劣勢下で混乱した味方を強制的にバーサーカー化させる凶悪な能力。

 使用禁止とされていたが、今は誰も止められない。


 誘導された者は、いわゆるバーサーカー状態となり戦力が上がる半面、物を考えられなくなってただひたすら暴れることになる。

 あまりに強力であるため、使用を禁止されたスキルだが・・・。


「クソ! バカにできんな」

 ものすごい勢いで、モンスターがやられていく。


 誘導された者たちは、もはや人間ではなかった。


 右腕が吹き飛んだ剣士が、血を撒き散らしながら左腕だけで剣を振るう。

 いや、剣が折れた後は、そのまま拳で殴りかかっていた。


 魔法を誤爆し、両腕を失った女魔法使いがいる。

 オニヤンマにのど元を狙われながら、逆に口を開けて噛みつこうとしていた。


 叫び声も、悲鳴もない。

 あるのは、ただ『殺す』という衝動だけ。


 それは、もはや戦術ではなかった。


 ただの暴力。

 ただの執念。


 だが、それが強い。

 モンスターたちが、次々と押し潰されていく。


「・・・狂ってやがる」


 それでも、止められない。

 いや、止める者がもういないのだ。


 あとは少しずつ削るだけ。

 そんな消化試合になるかと思っていたのに、しのがれてしまいそうだ。


 つまり、戦力が途切れそうってこと。

 作ればいいって言えば、そうなのだがここはレベルアップを優先したい。

 新たに『戦力』を作るとなると『ダンジョンポイント』の消費が大きすぎるのだ。


「もう一度、レベルアップだ」

 『無限魔力』のゴリ押しで、50へと到達させる。

 魔力生産器が増えているおかげで、蓄積はそこそこあった。

 そこへ上乗せすれば・・・。


「『ダンジョンレベル』が50となりました。レベル50までのモンスターを作成可能です。また、このレベル帯のモンスターの配置位置を変更できます』

 システムの声が頭に響く中、50階層までの全モンスターを63階層へ再配置。

 戦線へ投入する。


 それだけではない。

 50階層以降となれば、63階層まで13階層。

 自力で移動させても、それまでの距離だ。


「50から62までの全モンスターに63階層への移動を指示する!」

 配置変更での召喚ではなく、階段を使っての物理移動だ。

 50までのモンスターがやられたら、即戦線に出せるよう63階層入り口周辺で待機させておく。


 50階層までのモンスター。

 主力は『ヒラタクワガタ』、『コカブトムシ』、『カナブン』、『オオスズメバチ』となる。


 全体的に機動重視の軽量タイプが揃っている布陣だ。

 これで引っ搔き回して、さらなる戦力の抜き取りを行う。


 もう一息で、敵陣地の『人間』は50を切る。

 そうなれば、最後の戦力である50から62までのモンスターで片付けられるはずだ。

 魔力も体力も、もうそろそろ底をつくだろう。


 50から62までのモンスターは、『カブトムシ』、『オオクワガタ』、『アゲハチョウ』。

 そして、最終戦力62階層ボスの『大百足』と重量級が揃っている。

 畳み掛けられるはずだ。


 だが、カルマは気づく。

「アゲハチョウなんていたか?」

 トンボはときおり見かけることもあったが、チョウの類は見たことがない。


 システムが答える。

『いましたよ。63階層のボスですから。職務放棄していただけで』


 『いましたよ。63階層のボスですから。職務放棄していただけで』

 システムさんがなんてことないように教えてくれた。


 いや、それ『いた』って言わないだろ?!


「そもそも、職務放棄ってなに?! モンスターだよね?!」

 『ダンジョン』——盤上——のコマに自我があるとでもいうのか?!

 そう思って気付く、そういえばこの『システム』もたいがい人間臭い。


 『ダンジョンのサブマスターです。モンスター扱いですが、思考力を持っています』

 サブマスもいたのかー。


「先代の『ダンマス』が作っていたのか」

 『いいえ。ダンジョン起動時にデフォルトでマスターとサブマスターは一体ずつ付属されています。どちらかが、どちらかを作るという関係性ではありません』

 作られたわけではないと。

 なら、敵討ちとかされたりはしないかな。


 『起動』とか『付属』という単語は、気が付かないふりで流した。


「呼べるかな? 一度話しておきたいんだけど?」

 『呼べます』



評価いただけると続編を書く意欲に直結します


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