第8話 『ダンジョンマスター』 ~処刑の鐘~ ①
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『ダンジョンマスター就任を受けますか?』
足元に魔法陣が浮かび上がる。
頭の中に響く『システム』の声が、最終アンサーを求めていた。
画面に「就任しますか?」の文字が浮かんだ瞬間、背後の空気が静かに震えた。
迷宮が、オレを見ていた。
その視線は、誰よりも優しく、誰よりも冷たかった。
まるで、『おかえり』とでも言うように。
「引き受けます」
しっかりと答えた。
覚悟は、とうに決まっていた。
『ダンジョンマスターの引継ぎが行われます』
「・・・う、あっ」
魔法陣が輝き、空気が震える。
迷宮が、オレを見ていた。
そして、静かに──頷いた気がした。
『ダンジョンを再構築・・・・・・失敗しました。再構築には『ダンジョンの再誕者』の称号が必要です。条件を満たしてから再度お試しください。また、異物の排除も併せて行ってください』
条件? 異物?
すぐに理解できた。
異物──それは、『探索者』たちのことだ。
数は265。
目の前に展開された三次元モニターに、彼らの位置が映し出されている。
誰一人、死んでいない。
今はセーフティエリアで態勢を整えている最中らしい。
「システム、現状でオレにできることは?」
『配置モンスターの変更、ドロップアイテムの変更、トラップの変更、宝箱の変更、が可能です』
「変更の方法は?」
『ダンジョン内に蓄えた魔力を消費して行います』
三次元ウィンドウが展開される。
ダンジョンの全体像。
モンスターの配置、トラップ、宝箱の位置。
そして、ダンジョンのステータス。
【ダンジョンステータス】 ・レベル:1 ・階層数:64 ・系統:『蟲』 ・耐久度:5000 ・蓄積魔力:73000
「ふむ・・・わからない。けど、今は迷ってる暇はない」
レベル1──マスターが変わったばかりだからだろう。
階層64──再構築されていない証。
系統『蟲』──出現モンスターの分類。
「えーと。耐久5000は最低値ってことで間違いないな?」
『その通りです』
「73000は高すぎないか?」
『レベルが下がったため、使用できなくなった構成要素を魔力変換した結果です。現在のレベルでは、毎時80の上昇しか見込めません』
なるほど。
変換されたものが少なかったのだろう。
多くは、旧ダンジョンのまま残されている。
「その魔力を使って、各種変更ができるわけだな?」
『厳密には、魔力100につき1の『ダンジョンポイント』を得られます。これを消費して変更を行います』
「つまり、まずはマナポイントを集めて、ダンジョンポイントに変換。そののちに改造していく・・・でいいのか?」
『その通りです。また、ダンジョンポイントはレベルアップにも必要です』
「・・・逆に言えば、レベルが上がらないと強いモンスターは作れない?」
『はい。レベル1では、レベル1のモンスターしか作成できません』
「え? ちょ、待て!」
「じゃあ今このダンジョンには、レベル1のモンスターしかいないのか?」
『いいえ。現行のリポップ分は、旧仕様のままです。これから倒された分については、レベルに応じた再配置となります』
「ぐっ・・・」
つまり、今の戦力が尽きる前に、レベルを上げなければ詰む。
時間との勝負だ。
カルマは、迷宮の主になった。
でも、迷宮はまだ『彼のもの』ではない。
これから、証明しなければならない。
この迷宮が、カルマの意志で動くことを。
評価いただけると続編を書く意欲に直結します




