表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『使い捨てられた補助スキル持ち、迷宮の主になって制服妖怪と学園祭を始める』  作者: 葉月奈津・男
R15版。暴力・性的ニュアンスありバージョン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

152/360

第11話 レイド主力メンバーの動き~経験値ゼロの英雄たち~ ②

5/7

 


 ◇63階層の現状◇


 残りの167人は居残りだ。

 もとより中級以下の者たちで、ここまで来たのは途中の階層での採取や荷物運びのためだった。

 現地調達のアイテムで薬品生成を行ったり魔道具を作ったり、鍛冶スキルで装備品のメンテナンスをする者、バフ付きの料理を作れる者などが大勢を占めている。

 それと、裏の事情として『戸脇駆馬』に魔力を補充させ、返せる人間を多くするための策でもある。



 居残り組のうち、少数の見送りを受けて主力が64階層へ降りていく。


 その先を進むのは、主力より先に接敵・駆逐する露払い部隊の『先駆け』だ。

 反対に、本隊より遅れて進むのは、主力の後方でモンスターを掃討しておく『後詰』部隊となる。

 何かトラブルがあって撤退となった時、後ろにモンスターが残っていると挟み撃ちに遭いかねないからの用心だった。


 彼等はカルマに対する態度は最悪だったが、それ以外では有能でまともな人間なのだ。

 ちゃんとするべきことはする頭と行動力がある。


 だからこそ、恐ろしい。

 彼らは、悪意ではなく『正しさ』で人を殺す。

 それが、最も冷たい暴力だ。


 カルマは、迷宮の主として、彼らを見下ろしていた。

 彼らの動きは正確だ。

 配置も、連携も、撤退の想定も完璧だった。


 だが、彼らは一つだけ知らない。

 この迷宮は、もう『正しさ』では動かない。

 今は、『意志』で動いている。


 ◇先駆けAチーム◇


「接敵。『ミヤマクワガタ』!」

 『先駆け』は6人ずつの6パーティで構成されている。


 その一つが敵と遭遇した。

 『ミヤマクワガタ』だ。

 正式な名前が他にあるのだが、見た目で表現されている。

 相手の特徴が伝われば、それでいい。


「ああ、おミヤさんか」

 メイジの男が、鼻で笑った。


 体長3メートル。

 漆黒の『ミヤマクワガタ』が飛んできていた。


 迫力がある。

 昨日は不意を突かれて驚かされたし、慌てさせられた相手だ。

 しかし・・・。


「炎よ! 【フレアランス】!」

 落ち着いた様子で魔法が撃ち出される。

 『ミヤマクワガタ』が炎に包まれた。


「はっ! 初見じゃなきゃ、焦りもしねぇわ!」

 もう一度鼻で笑う。

 この魔法を当てれば、一撃で消えるとわかっているのだ。 


 ジャキン!

 金属の刃がこすれるような音がした。

 空気が裂けるような、嫌な音だった。


「え?」

 呆然としたメイジ男子が、視線を下に向ける。


 炎に包まれた『ミヤマクワガタ』の頭部があった。

 もちろん、全身もだ。

 ダメージは受けているが、致命傷には程遠い。


「え?」

 頭部が、自分の腹に接触している。

『ミヤマクワガタ』には、大きな顎があるはずなのに。


 ──その顎が、腹を貫いていた。


「ゴフッ!」

 口から血が噴き出す。

 赤黒い液体が、喉を焼きながら逆流する。


 キイキイキイキイ。

『ミヤマクワガタ』から、『カミキリムシ』のような威嚇音が響く。

 頭が振られた。


 メイジ男子の体がずれる。

 下半身はそのままに、腰から上がスライドした。

 骨が砕け、筋肉が裂け、内臓が引きちぎられる音が、ぬるりと響いた。


「あ、た、たすけ──」

 大顎に乗ったままの上半身から、手を伸ばして仲間に助けを求める。

 指先が震えていた。

 目は、まだ生きていた。


 下半身はすでに、床で沈黙していた。

 血だまりの中に沈み、腸がこぼれ、骨が見えていた。


 返ってきた答えは──


「「【フレアランス】!」」


 二方向から飛んでくる魔法だった。

 炎が、彼と敵をまとめて包み込む。


 ──それが手足だったら、また別の対応をしてもらえたかもしれない。

 しかし、腰はダメだった。

『胴が裂けたら、もう終わり』。

 それが、探索者の常識だった。


 ほぼ即死状態。

 救命は不可能。

 そう判断しての、敵ごと焼却処分。


「え? ウソっ!」


 それでもなお、『ミヤマクワガタ』は生きていた。

 合わせて三つ分の魔法で焼かれながら、二つのうちのひとつを放った女メイジAに襲い掛かった。


「熱い! あ、や、やだっ!」


 炎の中で、黒い影が抱きついてくる。

 顎が、肩を砕き、腕を裂く。

 魔法の炎が、彼女の髪を焼き、皮膚を焦がす。


「ウォーターボール!」


 もう一人の女メイジBが水の魔法を撃ち出す。

 至近距離からの衝撃。

 水圧が、骨を砕いた。


「ぶべっ!」


 女メイジAが吹き飛ばされる。


 ボキッ!


 いやな音がして、首が、ありえない方向に曲がった。


 見開いたままの目が、何も映していなかった。

 口と鼻からは、血が流れている。

 首の骨が、皮膚を突き破っていた。


「ぁ・・・」


 命が欠けた顔で床に転がる女メイジA。

 その様子に女メイジBが青褪めた。

 数歩、よろける。

 メンタルに致命的な一撃が入っていた。


評価いただけると続編を書く意欲に直結します


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ