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『使い捨てられた補助スキル持ち、迷宮の主になって制服妖怪と学園祭を始める』  作者: 葉月奈津・男
R15版。暴力・性的ニュアンスありバージョン

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第6話 沈黙の返還 ~孤独な戴冠式~ ①



「ああ、やっぱりか」

 ボソッと呟いた。

 予感は、ずっとあった。

 それでも、どこかで外れてほしいと祈っていた。


 今まで一度も成功したことのない『ダンジョン最深部攻略』。

 勇者もいない。

 聖女もいない。

 なのに、誰も疑問を持たずに従っていた異常。


 唯一、他所と違う『アドバンテージ』。

 他にない『才能』。

 筆頭──いや、『唯一』が、オレだった。


『無限魔力』。

 歩く魔力補充器。

 それだけなら、珍しくもない。


 だが、オレの能力には、他にはない『仕様』がある。


【供給した魔力は、受領者の意志で返還可能】。


 つまり、オレから借りた魔力は、いつでも『返せる』。

 貸し借り可能だからこそ、『無限』なのだ。


 便利なだけの能力。

 無料で使えるMPポーション。

 それだけなら、まだよかった。


 だが、ここに一つ。

『とあるアイテム』が加わると、話が変わる。


『爆裂玉』。

 周囲の魔力を吸収して爆発する、魔職用の自爆アイテム。

 体内の魔力をすべて吸い尽くし、爆発力に変える。


 そして今──オレの体内には、魔力が溢れていた。

 最大量を超え、なお上昇し続けている。


 全校生徒265名。

 全員が、オレに返してきている。


『魔力』を。

『嘲笑』を。


 頭の中に浮かぶチャット画面。

 誰が、どれだけ返してきたか。

 その魔力と一緒に、言葉も添えられている。


『お返しするよー』

 笑顔でポーションを渡してきた、あの子の顔が浮かぶ。


『派手に逝け』

 荷物を持ってくれていた、あいつの声が響く。


『役に立ててねー』

『wwwwwwwwww』


 信じていたのは、声だった。

 笑顔だった。

 名前を呼ばれた記憶だった。

 でも、全部──幻だった。


 道中で感じた違和感。

 妙な優しさ。

 荷物を自分たちで運ぶと言っていた理由。


 すべては──オレを『爆弾』として使い潰すため。

 それを『前提』とした準備だった。


 魔力が返ってくるたび、血管が膨張し、骨が軋む。

 脳が膨れ、視界が滲む。

 オレは、もう『器』じゃない。


 爆弾だ。


 そして、誰もがそれを知っていた。

 誰もが、黙っていた。

 沈黙の返還。


「無駄だけど、一応やるだけやりますかね」

 恨み言を言っても仕方がない。


 やるべきことはやろう。

 オレは、バックパックからアイテムを取り出した。


 魔力を消費して発動する魔法道具。

 少しでも役に立とうと、集めていたものだった。

 誰かのために。

 誰かに認められるために。


 今、その『誰か』は、誰もいない。


「望み通り、死んでやる! 巻き込まれないといいな!」


 死なば諸共。

 自爆に巻き込む気満々で、挑む。

 それが、オレに残された『最後の自由』だった。


「はっ! そんなノロマいねーし!」


 誰も、オレが勝つなんて思っていない。

 大半は、すでに上階へ向かっていた。

 ボスの階層の前には、安全な空間がある。

 そこへ逃げれば、爆発も届かないと考えている。


「無理、だろうなぁ」


 溜息を吐いて──戦闘開始。



本日の投稿はここまでとします。

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