表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/18

第7話 僕は魔法使いだ

「この俺をここまで追い詰めるとはな。」


これまでの激しい戦闘で、獅子王は、かなりの手傷を受けてしまっている。

回復が、まったく追いつかなくなっているほどだ。


序盤では、獅子王が、聖級精霊魔法″土傀儡″によるゴーレムの物量攻撃と、神級魔法″支配の鎖″の発動によって、戦いを有利に進めるかに見えた。

しかし、牛若丸の魔刀″氷月″と″炎陽″による二刀流の斬撃と、上級魔法″囚われの鎖″による多重攻撃によって、獅子王は、思わぬダメージを受けてしまった。

そして、今も牛若丸の猛攻は続いている。


それでも、獅子王の眼光は鋭く、魔力が全身にみなぎっている。

それもそのはずである。

獅子王は今、体内の魔力を練り上げている。

極限まで凝縮された魔力の塊が、その巨大な身体の中で形成されつつあり、その過程で、大量の魔力が全身から溢れ出ているのだ。

全身にまとう青白いオーラも、一段と輝きを増している。

まだこれほどの魔力が残っていたのか、と思うほどである。


高密度に凝縮された魔力の影響で、静かだった夜空は分厚い雲に覆われ、海は波立ち、白波がとぐろを巻いている。


さらに魔力が高まる。


獅子王の白い立髪は、鋭い剣山のように逆立ち、真っ赤な細い目は青白く変色している。


獅子王は、魔力そのものを凝縮させているため、魔法スペルの詠唱は行なっていない。

しかし、魔力のコントロールに全神経を集中しているため、今の獅子王は、まったくの無防備な状態にある。

そして、最強の守り手であるゴーレムは、土塊となったままである。


牛若丸にとっては、またとない絶好のチャンスである。

しかし、なぜか牛若丸は、二刀流の構えを維持したまま、まったく動かない。

考えがあってのことなのか、それとも単に動けないだけなのか、その真意を表情から読み取ることはできないが、先ほどまで烈火の如く攻め立てていたことが嘘のように、完全に沈黙している。


この間も、さらに魔力は増大し続けている。


「俺様と、ここまで渡り合える奴が、この世にいるとは思わなかったぞ。」


獅子王は呵呵と笑い、青くなった目を細めた。


ーー だからお前を欲したのかもしれない。


「しかし、今度こそ終わりだ。牛若丸!」


獅子王は、牛若丸の名を初めて口にした。

そして、大きく息を吸い込んだ。


暫し、静寂が流れる。


次の瞬間、巨大な魔力の塊が、目が眩むような閃光と、耳を覆いたくなるような爆発音とともに、獅子王の大きな口から、砲弾のように撃ち出された。


「俺様のホワイトボールは、貴様の貧弱な鎧では、なんともならないぞ。」


ホワイトボールという名の魔力の塊は、石畳を激しく破壊しながら、牛若丸に向かって突き進んでいく。

この純白の巨大な球体に、よほどな自信があるのだろう。

獅子王は勝利を確信して、高笑いをしている。


ホワイトボールが、牛若丸に迫りつつある。

にもかかわらず、牛若丸は、これまで獅子王を苦しめていた二本の魔刀″氷月″と″炎陽″をそれぞれの鞘に戻してしまった。


「ついに諦めたのか。」


獅子王の笑いが止まらない。


牛若丸は、静かに、迫り来る巨大な魔力の塊と向かい合った。

そして、自由になった両手で素早く印を結び、こう言った。


「僕は魔法使いだ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ