第5話 神級魔法
これまで獅子王は、ゴーレムの生成や″支配の鎖″といった魔法を使っているが、これら魔法には序列が存在する。
上位から大きく分けて、神級、聖級及び一般魔法という序列があり、さらに一般魔法には、上級、中級及び下級に分類される。
そして、これらの序列外の特殊魔法として、精霊魔法や召喚魔法がある。
最高位の神級は、神の奇跡に近い魔法とされ、死者を蘇らせるものや、獅子王が使う″支配の鎖″が、これに当たる。
ゴーレムの生成は、″土傀儡″という名の聖級精霊魔法である。
聖級魔法は、聖者や大魔導士が使うことができるレベルの魔法であり、精霊魔法は、火や水、そして、土などに宿る精霊を魔力はよって使役する魔法である。
″土傀儡″は、その名が示すとおり、土属性の魔法である。
神級魔法と比べると、聖級魔法は、かなり落ちるが、獅子王が生成したゴーレムたちを見れば、誰にでも使えるような代物ではないことはわかるだろう。
これらの神級魔法や聖級魔法は、上級以下の一般魔法とは比較にならないほどの魔力を必要とするため、魔王や大魔導士といった、大きな魔力を持つ者でなければ使うことができない。
くわえて、これらの上位魔法には、リバウンドという厄介なリスクも存在する。
リバウンドとは、巨大な大砲を撃った時の反動のようなものである。
一時的ではあるが、使用後に攻撃力や防御力が半減したり、まったく動けなくなるなど様々である。
このように、使い手を選ぶうえに、様々リスクがあることから、使える者も、使う者も、ほとんどいないのが現状である。
神級魔法の中でも最上位に位置する″支配の鎖″には、これら以外にも負の代償がある。
自分の意思だけでは、魔法の発動を中断できないというリバウンド効果も、その一つである。
発動後に魔法を中断するためには、魔法をかけた相手から一定の距離をとって、″支配の鎖″の影響を断ち切らなければならないのだ。
勢いが強すぎてブレーキが効かなくなった暴走列車みたいなものである。
極めつけは、勝敗に関係なく、″精神の支配″という効果が発現してしまうと、対象者からどれだけ離れようとも″支配の鎖″を断ち切ることはできない。
永続的に精神がつながったままとなり、支配関係も続くことになるのだ。
このようなリスクを承知のうえで、神級魔法や聖級魔法を躊躇なく使う獅子王は、とんでもない怪物である。
そして、そんな怪物に単独で戦いを挑むような馬鹿はいない。
牛若丸を除いては。
牛若丸は、″支配の鎖″が発動すると、すぐに詰め寄り、獅子王の懐深くに飛び込むと、氷月と炎陽を交差させて、鋭く十文字に斬り込んだ。
両刀が深く入ったため、獅子王の体力をを大きく削ったかのように思えたが、今回もすぐにダメージを回復させてしまった。
それでも牛若丸は無数の弧を描くように、二本の魔刀を振るい続け、烈火の如く攻め立てた。
が、獅子王の自信は揺るがない。
そんな獅子王を見て、牛若丸は思った。
ようやく、″支配の鎖″を引き出せた、と。




