第1話(プロローグ): 白と紅
いつもの仕事帰り、スーパーで食料品や日用品を買って、さぁスーパーを出るぞ、と一歩踏み出した瞬間。
「え?」
階段を踏み外したような異様な浮遊感に襲われ、そして。
「え?」
雪の中に埋もれていた。
そして今、私、奈雪 優莉は
「え?」
人外と、結婚させられそうになっています。
しかも5人の男と重婚で。
「それでは、リンドウ様、ツバキ様、モミジ様、アオウメ様、クチナシ様。こちらの女性…ユリ様の夫となり、永遠に彼女を愛し、慈しむことを天に誓うのならば、こちらの盃に血を垂らしてください。」
額から角を生やした鬼のような姿の男性、長髪の美しい黒髪が印象的な男性、白い狐の獣人の男性、首にマフラーを巻いた銀髪の男性、そして最後に腕が六本ある大柄な男性が、指を噛み切って、順に赤い盃にそれよりも暗い色の紅を垂らす。
神官なのか宮司なのかよく分からない人がブツブツと何かを唱えると、それが宙に浮いてなにか模様を描き、私に向かってきた。
声にならない悲鳴とともに腰を抜かす私にお構いなく、それは私の小指をくるりと一周する紅い指輪のような模様になって、私の左手の小指に刻まれた。恐怖のあまり強く手を握っていたにも関わらず刻まれたそれに目を白黒させていると、神官のような人はニコリと私に微笑んだ。
「ご結婚おめでとうございます。天は貴方たちを祝福するでしょう。」
え、もう結婚しちゃったんですか?嘘でしょ?
夢(寝ている時に見るやつ)で見たものを練り直した作品です。よろしくお願いします。