表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/129

第89話 ウォーター・バレット

「ウォーター・バレット!」

 ヨギの魔法詠唱が響き渡る。前列に並んだゴブリン三体が弾け飛び、後列の一体もダメージを負う。

「せいっ」

 素早く後列に踏み込んだ白井さんの必殺正拳突きが炸裂し、胸部に被弾したゴブリンはダメージエフェクトが全身に広がって霧散する。

 ザシュッ

 ヒコの容赦のない斬撃が敵の胴体を真っぷたつにする。

 ガコン

 後列でダメージエフェクトを散らしながらもしぶとく残った一体にボクのスリング弾がとどめを刺す。


 ヨギがどうしても力加減が出来なくて水を無駄遣い(白井さん談)する傾向があるので、初手で魔法を放ってある程度まとまっている敵を範囲攻撃し、取りこぼした敵のとどめをあとのメンバーが行うスタイルが効率がいいという話になった。

「ふー、お疲れ」

「ここまでは順調だな」

「オレはノーダメだし、そこそこ敵も倒してるからエストの収支も十分プラスだぜ」

 魔術師はエストが無いと何もできないから、一回の遠征で使うエストの量とその遠征で獲得するエストの量が釣り合わないと探索を続けられない。その他消耗品の購入に充てるエストも稼ぐ必要があるから、魔物とのエンカウントが少なすぎるのも問題なのだ。

「だけどあんた、もうほとんどみずが残っていないでしょ?この先どうすんのよ」

「そうなんだよなぁ。これならポーション減らして水をもっと持ってくればよかったかも」

「でも水を入れる革袋をそもそも持ってないんでしょう?」

「んだ。あれもまあ高いってほどじゃないんだけど、数が多いとさすがにエストが足りねぇ……」

「だったらもっと一回に使う水の量を減らす練習しなさいよ」

「んー、でもそれをやると一発あたりの与ダメージが減って使い物にならないんだよね」

「だからそこを使い物になるように練習しなさいって言ってんの。なんなら特訓してあげようか?崖の上から岩を投げるとか滝に打たれるとか」

「いや、水魔法の練習で岩投げるとか分けわかんねーし。ダンジョンには滝もねーじゃん」

「滝行は精神修養だからダンジョンの外でもできるのよ。いい滝紹介するよ?これからの季節、水も冷たくなって修行にピッタリなんだから」

「ひえぇぇ、伝説の白井道場の滝行に参加しろって?モヤシっ子のオレを殺す気かい」

「あら、小学生のわたしが完遂できたんだからあんたでも大丈夫よ」

「……どう思う、コウタ」

「……小学生の白井さん、マジ超人」

「だよな。当時はウチの学校でもスーパー〇〇〇人って称されていたんだぜ」

「聞こえてるわよ」

「ひぃぃ、スミマセン、勘弁してくださいー」

「そんな土下座することないじゃない。もう。いいわよ。心構えのない人が修行しても怪我するだけだし」

「だけど真面目な話、魔術の媒介をどうするかは結構問題だよね。水って現場で生成できないの?」

 テツさんのところでは確か砂の精製用の水路に魔法で水を供給していたはずだ。

「可能っちゃ可能なんだけどさ。無から水を創るってつまるところエストを物質に変えるってことなんだよな。結構な量のエストを消費するし、魔法陣も大きいから一般的じゃないんよ」

「そっかー、そうだよね。うーん。じゃあ、水以外の物を使う魔法はないの?」

「水魔法は液体なら何でもイケるんだけど、逆に水くらいしか手に入る液体がないんだよね。魔物が血を流すならそいつを使えるかもだけど」

「気味悪いこと言わないでよね。血を操って攻撃するとか、人間やめてるから」

「ダンジョンでは切っても血は流れないからそのアイデアも使えないって話だよ」

「固体を操る魔法は?土魔法みたいなものはないの?」

「あるよ。でもダンジョンの床とか壁には作用できないし、案外媒介が少ないんだよね。コウタの鉄球なんかもやろうと思えば操れると思うけど、それならコウタみたいに投げたほうが効率的だしな」

「確かに。魔術のメリットって言ったら範囲攻撃とか物理で出せない高威力ってイメージだもんね」

「普段から石ころを拾ってストレージに貯めておけばいいんだろうけど、いまから集めるのもなー」

「じゃあさ、火魔法は?ひよりも実験のときに少し使ってたけど。火なら媒介は使わないんじゃない?」

「火魔法もなかなか扱いが難しいんよなあ。熱くすることはできるんよ?でもゲームみたいなイメージで炎をメラメラってやろうと思ったら燃料がいるんだよ」

「あ、確かに」

「容器に入れた燃料を撒いて、そこに火魔法で着火する感じかな。結局燃料は持ち歩かないといけないし燃料の扱いは難しいしで水魔法よりメリットが少ないんよ。対象に直接熱を送ったり奪ったりする魔法はダメージも出せて有効だけど、どっちかっていうと単体が対象の魔法になるからボス攻略用ってところかなあ。まあ、ボスなんていないんだけどね、このダンジョン」

「よし、そろそろ休憩は終わりにして先に進むぞ。もう少し行けばスライムのいるエリアだ。ヨギの水もあと一回分しかないから今日のところはスライムのエリアまでを目標にしよう」

「了解」

「せっかく持ってきたんだ、ポーションを余らせる必要はない。少しでも耐久力が減っているメンバーはポーションを飲んでおけ」

「わかった」

 ボクは装甲が薄いから敵の攻撃がかすめる程度の当たりでも少しダメージをもらってしまう。怪我というほどではないけれど、ヒコの言う通り出し惜しみはしないでポーションを飲んでおこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ