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第14話 体育館裏

 ダンジョンばかりが目立つけれど、普段は学校の授業をしているわけで、当然学園には普通の校舎も体育館もある。ボクは高校からの外部入学組(しかも転入)だけど、生徒の八割は中等部からの持ち上がりで、さらにその半数が初等部からこの学園に在籍している。つまり小中高一貫教育校というわけ。だから学園の敷地はやたらと広いし校舎もいくつもあって、高等部に至っては使われていない旧校舎なんてものまである。この学園に広がる迷宮は地下のダンジョンだけでない。地上もまた迷路のように入り組んでいるのだ……

「迷った……」

 今日は用事があったので部活終わりの下校時にひよりと分かれて先にダンジョンを出た。近道をしようと当てずっぽうで中等部の校舎のわき道を入ったのがいけなかったみたいだ。でもまあ、日がまだ残っているからだいたいの方角はわかる……と思ったんだけど。

 校門に近づくように角を曲がったつもりがその先にまた別の建物があって迂回する、というのを繰り返すうちにまったく見覚えのない体育館裏に出てしまった。初等部の体育館だろうか。いつもの行動範囲からずいぶん離れたところまで来ていたようだ。それでも山の中というわけではないから人の気配はあって、そちらのほうに歩いて行った。


「おまえ、どういうつもりなんだ?」

「……」

「なんだ、その態度は!」

「持ってこいっつっただろぉ?どうなるかわかってんのか?」

「……」

「ふざけんな!いいからオレらの言う通りにしろっ!」


 細身で背の低い色白の生徒が先輩三人に囲まれている。制服のサイズが合っていない印象で肩幅が余っているように見える。一年生だろうか。囲まれている生徒の声は聞こえない。

 いじめを咎めるべきか見て見ぬふりで通り過ぎるべきか、と考えるほどもなく、取り囲んでいた先輩たちがボクに気づいて舌打ちをした。

「ちっ、今日はカンベンしてやる。明日は必ず持って来いよ」

「おまえのために言ってやってんだっつーの。いつまでも舐めた態度取ってんじゃねーぞ」

 一番気の短そうな先輩が一年生の頭をはたく。

 まあ、あのくらいなら暴行には入らないかな。

 先輩方はそのまま歩き去っていった。


「大丈夫?」

 怪我もないようだし余計なお世話かな、と思ったけれど一応声をかける。

「……」

 口の中でもごもごと返事をつぶやき、ちらっとこちらを見て目を逸らす。けど、すぐに何かに気づいたような勢いで振り返り、今度はボクの顔を鋭く睨みつけてきた。

 ボクが初対面の人に敵意をぶつけられたショックで呆然としているうちに、彼は地面に置いたスポーツバッグを掴んで逆の方角へ小走りで行ってしまった。

 よくわからないけれど何か恨みを買っているみたい。転校してきてからまだ一週間も経っていないんだから人違いだと思いたいけれど。

「……。さてと、どっちが帰り道かな?」

 嫌な気分を振り払うように独り言をつぶやいて家路を急いだ。

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