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バベルの憂鬱 Sheet4:名簿

日本語が流暢なマルコだが、やはり漢字には苦労してるとの事。

エルは今一生懸命やってる漢字ドリルを見せたりして、同じ苦労を共有する同志の様な繋がりを感じていた。

「書くのはもちろんなんですが、読むのだって何通りもあって難しいじゃないですか」

マルコはそう言うとネットのあるページを見せた。


『2日経っての今日、1月1日は日曜日で、日本では祝日、穏やかな晴れの日です。』


日本人には難なく読めるが外国人には"日"の読み方が何通りもあって困難を極めるというやつだ。


「私は人の名前が苦手だなぁ」

エルが言う。

「例えば"ハカセ"と"ヒロシ"どっちも同じ漢字じゃん。どうやって見分けるの?」

隣に居て話半分で聞いていたアキラは急に話を振られて慌てて答えた。

「あっ、それはだな話の前後から推測するとか色々あんだよ。まぁそれでも人の名前なんて色んな読み方あるし、ヘタしたらその漢字に無い読みをすることだってある」


「名字で小鳥が遊ぶと書いてタカナシなんてありますもんね」

薔薇筆が助け舟を出す。

「そうそう、タカがいないから小鳥は襲われる心配なしに遊んでいられるって事。まるで謎掛けだもんな」

川口が言う。

「"四月一日"と書いて"ワタヌキ"なんてのもありますね」

育美が言う。

「"ワタヌキ"、どういう意味ですか?」

マルコが尋ねる。

「温かくなって、冬に着ていた綿入りの衣服から綿の入ってない衣服に変える事からきてるそうです。四月一日ですが嘘じゃないですよw」


「日本人の名前…思ったより大変かな…」

陽気なマルコの表情が少し翳った感じがした。

「マルコさん、何か気がかり…心配な事でも?」

察したアキラが問いかける。

「えぇ、実は今回ビジネスパートナーになる

日本スタッフの名簿をもらいまして、それを向こうのクライアントに送る事になってるんですが…」

マルコは話を続ける。

「名前が全部漢字なんでローマ字で読みを入れなきゃいけないんです」


「あらら、そりゃ大変だ。何人分くらいあるの?」

アキラが聞く。

「全社員なんで、ざっと二百人くらいです」

マルコの表情が硬い。

「その名簿って今見られますか?」

薔薇筆の問いにマルコはUSBメモリをバッグから取り出した。

「この中にエクセルファイルで入れてあります」


エクセルと聞いてエルの目が輝く。

「マルコさん、それ今ここで片付けちゃいましょう」

「いやエルサン、せっかくのバースデーパーティにそんな事で時間をとってもらうわけには…」

マルコは恐縮しながらもUSBメモリをエルに渡す。

「皆んなで協力すればそんなに時間もかかんないでしょ。入力は俺の方が早いからやろうかエル?」

アキラが言うのを手で制すエル。

「私一人で大丈夫。たぶん一分もかからない」

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