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嵐のように現れた王子達が帰った後ーーー
「本当に、皆様には多大なご迷惑をおかけした事をお詫び申し上げます」
広場に戻り、村人達の前で正座をし、深々と、地面につくほど頭を下げようとするリーシャ。
「止めて止めて!」
「リーシャちゃんは何も悪く無いから!」
慌てて村の人達は制止した。
驚きの連続過ぎて聞き流していたが、国を救いし聖女が、一緒に村で過ごしていたリーシャだったのだ。
「でも……私のせいで皆さんにご迷惑を」
「あの王子のせいだ!リーシャが謝る事は無い!ほんとに……あんなのが王子で、この国は大丈夫なのか?」
ゲンの心配は最もだ。つい先程王子の暴走を見た村人達も、城で王子の世話をしている者達も、皆、そう思っている。
「元ですが、聖女であるという事を隠していましたし……」
(((多分言われても、信じて無かった)))
村人達全員の総意である。
辺境の村ヘーゼルは、他からの情報が中々入って来ない、僻地にある場所だ。そんなヘーゼルにも、国を救った聖女の話は、少しは回って来た。
お淑やかで清楚で儚げな絶世の美女。
リーシャは勿論、可愛いが、お淑やかで清楚で儚げか。と言われれば、首を傾げる他無いし、そもそも、聖女がこんなに何も出来ない人物だとは思わない。
「この村にも、守護の魔法で来たんやな」
「はい。あ、でも、魔物に遭遇しなかったのは本当ですよ。もしかしたら、寝ている間は来ていたのかもしれませんけど、寝ていたら気付かないので」
聖女に死なれたら困る。が、聖女の守護の力を知っているからこそ、ある程度、城から出ても大丈夫だと思われ、城から追放した。でも、リーシャが気付かないだけで、実は辺境の村ヘーゼルに来るまで、隠れて護衛がいたのかも知れない。
「本当に……隠していてごめんなさい」
「いや、まー、リーシャちゃんの過去に何かあるんじゃないかとは思ってたけど、ほんとビックリだよ!凄いねあんた!この国を救ってくれてありがとね!」
肉屋のマルシェは、笑いながらリーシャの肩をポンッと叩いた。
「そうですね。リーシャさんが世界を救って頂いたお陰で、大分、過ごしやすくなりました。感謝します」
酒場のジェラードも、頭を下げて感謝を伝えた。
「リーシャ」
「はい、村長」
神妙な趣で、リーシャを見つめる村長。
(も、もしかして、この村から出て行って欲しいと言われるのでしょうか?)
これだけ迷惑をかけたのだ、言われても仕方無いと、でも、何とかこの村に置いて貰えるように、謝ろう!と覚悟を決める。
「ーー守護の魔法って、どのくらい力があるの?もー何でも守っちゃうぞ!って感じ?」
「へ?あ、えっと、基本、どんな攻撃とかも、防げます」
まさかの力の確認をされ始めた。
何故でしょう?危険な力で無い事を確認する為でしょうか?!
「おい強欲親父!早速リーシャはんの力を使おうとするんやない!」
使える者は何でも使え精神の村長兼イマル父。
「王都全体を守護してるって言ってたねー。凄くなーい?もしかして、この村も出来たりする感じ?」
「おい!」
「はい。出来ますよ。しましょうか?」
イマルが止めるのも聞かず、次々と会話を進める村長。
「んーそれはさ、例えば、リーシャが死んだ後も、守護の力は残るの?」
「いえ、残りません」
私が死ねば、聖女の力は消える。だからこそ、王様は私を過保護に守り抜いた。
「ならいーや」
「!」
このまま、守護の魔法を使って村を守ってくれと言われるのかと思ったのに、断られた。
「いいのですか?」
「うん。だって、今はそれで良くても、リーシャが死んだ後、子供や孫達が困る事になるよ。ちゃんと、自分達の力である程度守れるようにしとかないとね」
「あ…」
村長は、先の、未来の事まで考えている。
「ただ、今度、私も久しぶりに釣りに行きたいなぁ♡って思ってたから、是非連れて行って貰えると有り難い!」
「え?あ、はい。喜んで」
「おいこら!どさくさに紛れて自分の欲求を叶えようとすんな!」
リーシャの手を握りながらお願いする村長の手から、イマルはリーシャを引き離した。
「おーおー、何だ嫉妬か?そー言えば、お前等いつ結婚するんだ?明日か?明後日か?」
「はっ?!何言うてんねん!」
「あんな公衆の面前で付き合ってるって宣言しといて、そっちこそ何言うてんねん」
「!あれはーー!!」
周りを見渡せば、マルシェもジェラードもゲンも、皆が生暖かい目を向けている。
「いやぁほんと、リーシャちゃんの思いが報われてほんと良かったわぁ」
「イマルも大分頑固だったからなぁ!結構前から好きになってたクセに、中々認めやしねぇし」
「幸せになって下さいね。娘の暴走ーーフォローはお任せ下さい」
口々に言いたい事を言ってくれる。
(そうです…!私、さっきイマルに、付き合ってる!って言われたんでした!!)
一連の騒動でそのまま流していましたが、決して忘れた訳ではありません。寧ろ、鮮明に覚えています!
『俺とリーシャはん付き合ってるから、諦めて帰ってくれへん?』
思い出すだけで、顔が真っ赤に火照る。




