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世界を救いし聖女は、聖女を止め、普通の村娘になり、普通の生活をし、普通の恋愛をし、普通に生きていく事を望みます!  作者: 光子


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数十分前、リーシャ宅を出たイマルとサクヤは、何故か、リーシャの家が見える場所で、隠れていたーー。



「……サクヤはん、俺等、何してんの?」

大きな草をカモフラージュに使い、身を隠しながら、隣にいる、発案者のサクヤに尋ねた。



「イマル兄ちゃんは気にならないの?!お姉ちゃんの昔の男なんだよ!?」

「その言い方止めい!色々誤解されるで!」



ノルゼスの存在が気になるサクヤは、イマルを無理矢理誘い、リーシャの家の様子を伺っていた。


「いや、ここからやと中の様子も分からへんし、意味ありまっか?」

待機場所が遠過ぎて、話し声も聞こえない。

ただ、家から出ていくかどうかが確認出来るだけ。



「え?話し声を聞いちゃったら、それは盗み聞きだよ」

「なんやごめん」


本来のサクヤの真面目な部分が見えて、別に盗み聞きを推奨した訳では無かったのだが、イマルは何故か謝罪した。



「気にし過ぎかな?お姉ちゃんの昔の仲間なら、良い人かな?」

「……どやろな。嘘はついてたみたいやけど」

「え?!嘘?!」

「寧ろあんな分かりやすい嘘の付き方で、なんでリーシャはんも騙されるのかが分からへんわ」



不自然に大きな声で、目を泳がせながら吐いた言葉。


「偶然、リーシャはんに会ったゆーんも、パーティ抜けたゆーんも、気ままに旅してんのも嘘やろ」


目的は分からないが、意図的にこの村に来て、リーシャに会いに来た。



「何でそんな嘘つくの?お姉ちゃんに早く教えなきゃっ!」

「まぁ待ち。なんか理由があるかもしれへんし、ちょっと様子見てもえーやろ」

「そんな悠長な事言って、お姉ちゃんを取られてもいーの?!」

「取られてって……物や無いんやから」



大好きなリーシャがいなくなるかも知れないと危惧したのか、サクヤは半泣きで、イマルに訴えた。


「落ち着きて!そんなん、リーシャはんが取られるって確定した訳でも無いのに」

「やだやだ!あんなどこの馬の骨とも分からない奴に取られるくらいなら、兄ちゃんで良い!」

「何や兄ちゃんで良いって!どーゆー意味や!」



冒険者に憧れていたはずなのだが、今はもうリーシャを巡るライバルに変貌を遂げたらしい。


「ーーなんやよー分からんけど、多分、リーシャはん、あの男の事、あんまり歓迎して無いと思うで」


埒が明かなくなって来たので、落ち着かせる為にも、もう1つ、感じた事を教えた。



「え?ほんと?」

「多分やで。てか、嘘ついてる思たんも俺の主観やねんから、そんな突っ走らんといて欲しいんやけど……」


バレバレの嘘だと思ったが、確たる証拠がある訳では無い。

純粋に自分が言った事が100正しいと信じて疑わないサクヤに、少し落ち着いたタイミングでお願いした。




「あ!出て来たよ!」

リーシャの家からノルゼスが出て来たのを、草陰から覗く。


「何話してたんだろ」

「……サクヤはん、いい加減、もー帰りましょか」



ジーーと監視するサクヤに向かい、イマルは呆れたように告げた。







リーシャ宅。


ノルゼスが帰った後、リーシャは肩の力が抜けたのを感じ、椅子に腰掛けた。

聖女時代の知り合いに会う事に、無意識だが、緊張していたのが分かる。



(ノルゼス……聖女だった時も、そんなに話した事は無いけれど……)



記憶の中の彼は、いつも最前列にいて、魔物を倒していたイメージがある。

私との会話は少なく、連絡事項を伝える程度で、世間話をした事は1度も無い。城に戻った時も、彼は私と直接会話をする事は無く、王様や王子を通して、話をする。

先程面と向かって話したのが、ある意味初めてと言える。


(私はもう、聖女ではありません)


自らの意思で、聖女の地位を捨てた。

今の私は、リーシャ=ルド=マルリレーナという、1人の村娘に過ぎない。


何度も何度も、心の中で繰り返す。



(大丈夫…ですよね?王様にきちんと願いを叶えて貰いましたから、それに背けば、国の威信に関わりますし……何より、私は聖女の地位を捨てた身。普通なら、城に戻る事を許される立場では無い)


ある意味、城を捨てた。とも取れる願いをし、追放に近い形で、王都を出た。



(皆さん、私が城を出る時も、普通でしたし……)


引き止められる言葉をかけられる事も無く、最低限の荷物と、所持金を城の兵士に渡され、1人で城を出た。



(うん。気にし過ぎですね。駄目ですね……自意識過剰、被害妄想ーーー私なんかをわざわざ連れ戻しになんて、来ないですよね)



実際は、がっつり聖女を連れ戻す為に派遣されている。





リーシャは気分を入れ替える為に、パンパンっと、自身の頬を叩いた。


「よし、明日からも頑張りましょう」



言い終わると、元気良く、椅子から立ち上がった。










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