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「まぁ、男はそう言うの苦手だしな。イマル君も早く結婚して、良いお嫁さんを見つければ、万事解決だぞ!」
「……悪気があんのか無いのか分からんけど、余計なお世話や」
良い笑顔でイマルの肩を叩きながら言うジェラードに、イマルは軽く睨み付けながら返事をした。
(お嫁さん……イマルの……!)
なりたい!が正直な所で、口に出してしまいそうな所だけど、これは流石に、好き。と言ってしまってるものになりそうなので、ちゃんと自重する。
嫌われたくありませんからね!
「ちなみに一応聞くが、うちの娘はーー」
「ハッキリ言うわ。絶対無い」
「だろうなぁ…イマル君が婿になって、カリンの暴走を止めてくれたら、大変助かるんだがなぁ」
「俺を暴れ馬の手網にしようとすんの止めてくれますか」
娘の暴走には度々頭を悩ませている所らしく、父親としては、早く結婚して、婿に娘の世話を丸投げしたいーーもとい、落ち着いて欲しいと願うばかり。
ジェラードとも別れ、村長宅へ向かう。
村長の家は、この村では1番大きく、集会にもよく使われており、宿の無いこの村では、冒険者が村を訪れた際の宿泊場所にもなっていた。
ザワザワと、村長の家の周りに集まる村人達。
「皆、暇人やな」
イマルはそこまで冒険者に興味が無いらしく、集まっている村人の数に驚いた。
「おお、サクヤ!イマル!リーシャ!」
「じいちゃん」
集まっている村人の中に、ゲンの姿もあり、こちらに気付いたゲンは、3人に声をかけた。
「無事に魔物を倒したんだな!良くやったぞ!」
「や、止めてよじいちゃん」
がじがしと、孫の頭を誇らしげに撫でると、サクヤは照れくさそうに、嫌がった。
「何や。ゲンさんも冒険者に興味あるんかいな」
「いや何、出来るなら手合わせをーー」
「流石に止めとこうよじいちゃん」
「歳考え」
サクヤにイマル、2人に即座に否定され、ゲンは気まずさそうに頭をかいた。
現役時代は、村で1番の戦士として、魔物を狩っていたが、御歳60歳。今は一線を若い者に任せ、退いているーーはずなのだが、今も毎日の鍛錬は欠かさず、イマルにも度々、体を動かすのに付き合ってもらっている為、滅多に来ない冒険者と聞き付け、あわよくば、手合わせ願いたいと、ここまで来たようだ。
「冒険者はんにも迷惑やろ」
「う……む」
渋々納得する。
「てか、冒険者はん来たんやったら、村長も忙しいかー」
魔物の討伐の報告をしに来たのだが、それ所ではなさそうだ。
「村長には用事があるから、ワシが伝えといてやってもいいぞ」
「ーーーじいちゃん、冒険者さんに、無茶なお願いするつもりじゃないんだよね?」
優しい申し出だが、前の発言から、冒険者目当てとしか捉えられないサクヤは、ジト目でゲンを見た。
「違うぞ!ほんとに村長に用があるんじゃ!信じてくれ!」
孫に疑われ、必死に自分の潔白をアピールするが、イマルと揃って、疑いの眼差しを向けられた。
「ゲンさん、ありがとうございます」
1人、リーシャだけが、ゲンの好意を素直に捉え、お礼を述べた。
結局、ゲンの好意に甘え、3人は、リーシャの家に寄る事になった。
事の発端は、サクヤの、「お姉ちゃんの家に行ってみたい」との言葉。
リーシャがサクヤに家に遊びに来て下さいと誘ってから、幾日か経ったが、日が合わず、今日まで実現出来ずにいた。
丁度、サクヤの保護者であるゲンの許可「いいぞ!行ってこい行ってこい!」も取れたので、イマルも誘い、遂に実現する運びになった。
「楽しみだなぁ」
嬉しそうに微笑む姿は、本当に可愛い。
「対したおもてなしは出来ないのですが……」
引っ越して1ヶ月と半月が経ったが、身一つでこの村に来て、ほぼ、村の人達の善意で頂いた物の中で生活しているし、細々と山菜集め等でお金を稼いで暮らしているので、出せるお菓子の1つも無い。
「ううん!そんなの無くても全然いいよ!だって……その、僕、その……こうやって、誰かの家に遊びに行ったりする事、今まで無かったら……その、嬉しくてーー」
「可愛い……!可愛さの天才です!」
照れ臭さそうに俯きつつ、頬を染め、垣間見てる笑顔に、ドキドキが止まりません!
「可愛さの天才……初めて言われたよ、僕」
「リーシャはんはほんまに人を天才にしてしまうなー」
事ある事にリーシャに天才と言われている2人は、慣れたように、新しくサクヤについた天才を素直に受け入れた。




