表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/82

18










「どうですか?」

「…うん、普通に苦いよ。焦がし過ぎだし……それに、野菜、ちゃんと切った?なんか、塊があるけど」

 丸ごと人参の黒焦げが、鍋に沈んでいる。



「はい、切りました」

「……よくそんなにはっきり言い切れるね」

 真っ直ぐな顔で言い切られ、逆に感心する。


「お恥ずかしながら、この様に、料理は初心者でして、とても下手なのですが、今、まさに頑張っている最中でして」

 リーシャは、ニコッと笑顔をサクヤに向けた。


「一緒に頑張りませんか?」

「一緒に…」


 急なお誘いに、サクヤは戸惑い、返事が出来ず、俯くと、チラリと、火傷したリーシャの手を見た。


「僕と一緒にいたら……また、怪我しちゃうよ?怖くないの?」

「どうしてですか?サクヤは、わざとしたのでは無いですよね?なら、怖がる必要がありません」


 魔力の暴走を止めれず、相手を怪我をさせてしまう。

 その事を恐れ、距離を置こうとする彼を、私は、怖いとは思わない。


「今日から特訓ですね」

「え…えっ…と…」


 否定しないのを肯定と捉えるリーシャに押され、サクヤは次の言葉を上手く出せず、ただ戸惑った。





「おお?!リーシャじゃねーか!」


 そこへ、顔見知りのゲンがやって来て、声をかけられた。


「ゲンさん」

「じいちゃん」


「何やってんだお前等?」


 どうやら、今いるこの場所はゲンの家らしく、出掛けていたゲンは、いるはずの無いリーシャの姿を見て、驚いた表情を浮かべた。






「サクヤがすまねぇな!リーシャ!」

 話を聞き、リーシャが怪我した箇所を冷やす為の氷を持ってきながら、ゲンは申し訳なさそうに謝罪を口にした。


「かすり傷ですし、全然平気ですよ」

「いや、でもーー」


 赤い腫れは、水脹れになっていて、痛みはあるが、我慢出来る。


「それよりも、今日からサクヤと特訓をする約束をしたんです」

「僕了承してないけど…」


 庭先の縁側で座りながら、勝手に決定事項にされた約束に、サクヤは口を開いた。


「何?!サクヤと?!仲良くしてくれんのか?!」

「はい」

「くぅ!こんな出来の悪い孫と仲良くしてくれるなんてーー!サクヤをよろしく頼む!リーシャ!」



「じいちゃん!僕了承してないってば!」


 本人である自分を置いてけぼりに話を進める2人に対し、サクヤは急いで否定したが、最早後の祭りだった。



「頑張りましょうね、サクヤ」

「…うぅ。じいちゃん、全然僕の話聞いてくれないんだもんな…」

 実のおじいちゃん公認で、リーシャは野菜スープの特訓、サクヤは、魔法の特訓をする事が決まったーー。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ