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5話 ザ・ママっ子

ハイハイが出来るようになり、行動範囲が広がった


と言っても柵で囲われててママの周りでしか行動をとれない。危険な場所へ行かないようにと設置してる意味もあるのだろう。怪我をしない様に見守るママ。そんなママの心配を掛けない為にも一人で家中動き回る事はしない。むしろ柵の中から脱出するなんて想像したこともない。


そう、私はママの傍から離れたくないのだ


ハイハイの練習でママが私を下ろして離れると私はお花の香りを頼りに全速力でハイハイするのだ。離れると少し寂しくなるけどママの所まで辿り着くと優しく撫でてくれるのが好きでたまらなく何度も頑張れる。ママも喜んでくれてるのなら良いけれど盲目聾者の私には伝わりづらいのが少し残念だ。


(でも私、ママの為に頑張るからね!)


ハイハイの練習が終わると、ベッドで寝てた私もシーツ窒息事件以来殆どの時間をママの背中におんぶ紐で括られて過ごす様になった。常時感じられる様になったママの温もりにお花の良い香り


(落ち着く...むにゃ...)


一人で寝るのと違ってずっと一緒に居られる嬉しさと暖かさ、それに安らぎを感じる


こんなに落ち着いて眠れたのは今世で初めてだ。前世は孤独で寝ても、覚めても、空虚しか感じられなかった。でもママがずっと一緒に居てくれたおかげで最近は悪夢でうなされる事も無く、起きるとお花の良い香りがするから安心感だけではなく心も満たされる。


もしかしてこれが幸せなのかもしれない

いや、きっと私の幸せだ


ママと一緒にいる事、愛してもらえてる事。気づけばそれが私の一番の幸せになってた。

幸せ計画とか考えてたけどすぐに目標達成したのだ


二度目の人生で私が幸せになれる方法:

①ママ

②ママ

③ママ


私の幸せはママなんだ。

愛してくれるママの傍に居られるから幸なのだ



そう、私はママが大好きなのだ



私は完全なるママっ子

ママっ子の中のザ・ママっ子と誇らしげに語れる。盲目聾者(この身体)では誰かに喋れる訳では無いけど語れるのだ。ママっ子と言う単語は正に私の為に出来た言葉に違いない。

もうママの傍から絶対に離れたくない。だって、ママが傍にいると安心するんだもの!


(ママ!大好きだよ!!)


前世でクラスメイトが親がウザいから自立したいとか言ってたけどなんて贅沢な悩みなんだろう。私は絶対に親離れなんてしないと心に誓った。


(外の香りがする。ご飯をそろそろ作る時間になったんだ)


ママの偉大さはとりあえず置いといて、ずっとベッドにいた時と違ってママの背中で共に行動すると全部嗅覚を頼りだけど一日の行動パターンが分かるようになった。


起きてから香水の香り、外の香り、もっと強い香水の香り、外の香り、料理の香り


強い香水の香りの後にハイハイの練習が始まり、料理の香りの後にママは私をベッドに戻す。あの窒息事件以来重いシーツを上に掛けなくなって、代わりに藁で出来た籠が上に載せてあった。藁は軽いし空気が通る度干し草のいい香りがするけどやっぱりベッドの上に何か被さってる事が少し気になってしまう。


不思議に思うけどママがやる事は全て完璧だから異世界文化の違いとかなのかもしれない。


(不思議と言えばもう一つ... )


シーツ窒息事件で感じたエネルギーの塊。


最初は一つだった塊もその日以来どんどん増えて行って今は八つくらい私の周りにいる。塊は私が手を出すと近づいて触りに来て、たまに肩や頭に乗ったりする。指を怪我した時感じたママのエネルギーと似た感覚。


(ここが異世界ならこのエネルギーは魔法と解釈しても良いよね?)


その塊は其々違う魔法(エネルギー)みたいなのを出してた。


冷たいの、暖かいの、濡れてるのやビリってなるのもあって本当に不思議だ。

最初に感じた風の塊の仲間だったりするのかな?その子もあの日以来ずっと私の傍から離れてない。


(やっぱり不思議だな〜日本ではこういうの無かったから一体何だろう...うわっ!)


急にベッドが丸ごと揺れた


たまに感じる大きな振動

数回大きな振動を感じると終わる

テンポも無く、不安定で長引く時も少なくない


そして暫くすると、ママが私の元へ来て撫でてくれる。起こしたかもしれないから確かめに来たのかな?


(私なんかを心配してくれるママ...大好き!)


今回はいつものお花の香りの他に微かにお酒の匂いがした


(誰か来たのかな...むにゃ...)


ハイハイの練習で疲れたのか、ママの手が暖かくて気持ち良かったのか、気になった事全て忘れてぐっすり眠った


(明日もママの為にハイハイを頑張るぞ...)

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