漁村発見!
==========<みぃ君視点>===========
4人が立っとる浜辺から漁村を見ると何も遮るものはないのでしっかり村の様子が見て取れる。
ほんで、漁村の陸地側はめっちゃ近くまでジャングルが迫っとる。
ごんさんにここから少し移動しようと言われ、みんなで漁村が見えるジャングルの木々の影まで移動した。
声が響くとまずいから小声で話そうとごんさんが提案する。
ももちゃんは小声ながらごんさんに疑問をぶつけた。
「ねぇ、ごんさん。ここへ移動したってことは、あの漁村が私たちにとって害があるかないかを見極めたいってこと?」
「うん、そうだね」
自分の推測が当たった事に頷いとるももちゃんの横で、めりるどんが眉を顰めた。
「じゃあ、あの漁村が私たちにとって脅威になる場合はどうやって見分けるの?」
ごんさんはしばらく考えて「村民がどれくらいの武器を携帯しているかと、その武器の種類。後、鍛冶屋の数と規模かなぁ。不必要に重装備で常に武器を携帯している人の数が多ければその村は俺たちにとって脅威となり得ると思う」と一つの指標を示した。
「あのね、私はね、子供の数とその子供たちの様子も一つの指標になると思うんだぁ」とは、ももちゃん。「だってね、子供がかなりの数いるとなると村に相当数の女性がいるってことだし、子供がのびのび育ってる様なら普通の村って気がするの」
『ああ!』と頭の上に光った電球が浮かんだかの様な表情で、ごんさんが「うん、それもいい指標だね」と追認する。
「で、あの漁村が普通の漁村だとして、どうする?」とももちゃんがみんなの顔見回しもって訊ねた。
「殲滅する」とボソっと言うてみた。みんなの反応が楽しみや。
ぎょっとして思わず反射的にめりるどんが、「え!?殲滅って、それはないわぁ」と返した。
でも、ももちゃんは、それも選択肢の一つやから最初から外さへん方がええと言い出した。一番殲滅に反対しそうやのに、こないな突拍子もない時に、意外な案も受け入れるあたりが彼女の持つアンバランスさの一つでもある。
ごんさんは一瞬も戸惑う事なく「そうだね。殲滅は選択肢の一つだね。ただし、万が一殲滅を選択するなら、こちらの被害を最小限に抑えつつ、数倍の人数を殲滅できるだけの武力がないと現実的ではないけどね・・・」と括った。
まぁ、しばらくは村の様子を観察してみよ といことになり、男女一人づつの2組に分かり、ちゃう場所から村の中を観察することにした。
幸いなことに、分不相応な武器を持っとる村人もおらんし、結構な数の女性と子供がおんのも確認でけた。
子供たちはやせ細ってはいるが、健康そうに村の中や浜辺を駆けずり回っとった。
小学生くらいになると親の仕事を手伝っとるみたいで、みんなよく働いとった。
離れたところにいたごんさんとめりるどんがこちらに戻って来たわ。
「で、どう思う?」とめりるどんの方から話を振ってきよった。
ももちゃんと組んどったわてが前もって答えを決めとったから間髪いれんと「うん、普通の村やと思うで」と返すと、「じゃあ、殲滅はなしね」とめりるどんも素早く応酬した。
殲滅っちゅう選択肢を除外したさけ、次は村との接触を図ることになるが、そうなるとどないして接触するかを決めんならん。
ごんさんは暫く無言で考えとってんけど、何をしたらええか答えが出た様やった。
「漁村だし、船も複数あるし、多分彼らの食事は魚介類が主だと思う。なので、罠を仕掛けて動物を捕獲し、普段はあまり食べていなさそうな肉をプレゼントしつつ交渉をしたらどうかな」
ももちゃんも、ごんさんの案をすんなり受け入れた。もちろんわても受け入れた。
4人の中でも熟考型のめりるどんは直ぐには返事をせなんだが、「でも、彼らの生活水準を見ると地球の中世よりちょっと前な雰囲気だよね。う~ん。プリミティブな時代には地域信仰とか盛んかもしれないので、もしかしたら神聖視してる動物がいるかもしれないよ?できたらそういうリスクを避けることができればベストだと思うんだけど」と賛成を表明しつつも新たな提案をして来たわ。
「せやな。おもろい着眼点やね。うんうん、ええなぇ。ただどうやって神聖視しとる動物がおるかどうか割り出せるんやろう?」
自分が出した案が遡上に載せられ、他の三人から何の案も出ぇへん事を確認したごんさんが更に提案することにした。「う~~ん。そういう事なら、神聖視されてる動物を割り出すより、普段から食べている動物を割り出して、それを捕まえて持って行く方が現実的だと思うよ。例えば、肉を調理すれば骨が出るだろうから、ごみを少し調べるとか、彼らが身に着けてる皮があったらそれから割り出すとかね」
「すっご~~い。ごんさん!よくそんなにスラスラ思いつくねぇ。うんうん。その方法でいってみよう!ただ、また動物を捕まえるのはごんさんの仕事になりそうで申し訳ない」といつもの様にももちゃんが単独で決定して まう。
でも知らへん仲やないので、みんなもこないな流れには慣れとる。幸いなことに、今さらいちゃもんを言う人はおらへん。
交渉するにもすぐに動物が手に入るわけやないので、今日のところは川の付近まで戻って野営をすることにした。
移動を開始する前に、村人の身に着けてる皮やゴミ捨て場で骨を遠目に確認するのは忘れんと実行した。
川まではすぐそこやけど、煙を炊いても漁村から見えんところまで移動せなあかん。
1時間ほど川を上っていったら、左手に少し小高ぉなった場所があり、おっきな岩にくぼみができとるところがあった。
川からは、歩いて5分くらいの距離。
洞窟の前には何本かの木が生えていて、外から丸見えになることはおまへん。
野生動物とかが住み着いとる跡はなく、昨日と同じ要領で仕度をすることにした。
ただ、今回は川がめっちゃ近くにあるので、ごんさんはみんなに蔦で簡単な網の編み方を教え魚用の罠を作り、川の中に沈めてから、動物を捕らえるための罠を仕掛けに行ったわ。
わては少な なってきた蔦の切り出しを、ももちゃんは枝や木、ほんでフルーツの採取をはじめた。
めりるどんはわてからカーディガンを受け取って飲み水作りを担当しつつ、近場の草や枝を集めた。
ごんさんが戻って魚が罠にかかってへんかどうか確認したが、まだ何もかかっとらへんかった。
「魚が一匹でもかかってたら、罠の餌にしようと思ったんだけどなぁ・・・。そんなに上手くはいかないかぁ」と残念そうや。
今朝焼いたお肉がまだ残っており、この気温の中、明日の朝までもつかどうか分からへんので、全部食べることにして、その日は満腹のまま就寝した。
今夜の火の番も、昨日と同じルーティンってなってん。