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コンテストしようぜ!! その4

 はっきり言おう。最年少出場者のロンドニは、ある特定の趣味の男性には一番スタイルが良く見えるのだ。つまり胸部の辺りがふくよかなのだ。

 ボンキュッボンではない。ウェストが少し太いから。

 だが、胸部が大きすぎるので、多少ウェストに幅があっても気にならない。


 黒髪にマーガレットの花を差し込み、胸の下に切り替えがある、胸を強調するドレスを着込んでいる。

 恐らくだが、セクシーになりすぎない様にスカートを感じ良く膨らまして、体全体の線は出ない様に工夫しているらしい。

 おとなしい白色の服っていうのも、ポイントが高いかもしれない。

 セクシーなのに清楚、そんな感じの装いに一定の男性ファンを獲得できそうだった。



 女性の部が終了すると、投票はまだせずに、男性の部に突入した。

 男性出場者の3名は全員、背が高く、背中に筋肉が付いている。

 女性出場者の身長にバラつきがあったのに比べ、男性出場者のスタイルにはあまりバラつきがなかった。

 ただ、髪の色が黒、茶、金と見事に分かれていた。

 

 最初に登場したオルランドが黒髪で、歌った歌は冒険者を主人公にした童謡だった。

 あまりしゃべらない寡黙な印象を与えるが、ぶっきらぼうではなく、ただしゃべるのが苦手という風に見えた。


 2番目に登場したのは、茶髪のライアだ。はっきり言って歌はそれほど上手ではないが、どうにも人懐っこい人で、ももちゃんとのやり取りも巧妙だった。

 前列でコンテストを食い入る様に見ている女性たちの熱い視線を欲しいものにしていた。


 コンテスト最後の出場者は、ゴルという金髪の青年だった。

 日本だったら皆が振り返って二度見するくらいのハンサムだ。

 ただ、こちらの世界は顔よりも体格の方が重視されるので、今回の出場者の中で抜きんでている容姿とは言い難いが、それでも幅の広い背と、長く適度に筋肉のついている脚など、容姿は間違いなく良いと言える。

 そして、歌は3人の中で一番上手かった。


 女子の部、男子の部、全て終わり、いよいよ投票の時間となった。

「みなさん、今年のアイドルコンテストの出場者全員のパフォーマンスが終わりました。いよいよ皆さんに投票をして頂く事になります。お手元にまだ赤と白の玉はお持ちですねー?」とももちゃんが聞くと「「「おおーーーーーー!」」」と大きな声で答えてくれる観客が多かった。


「では、前列のみなさんから順番に舞台に向かって左から右に移動して下さい。その際、女性の出場者の中で一番良かったと思った人の前に置いてある箱に赤い玉を、男性で一番良いと思う人の箱に白の玉を入れてください。誰に入れたか知られたくない人は、全ての箱の上に手を差し出して、投票したい人の時だけ玉を箱に落とす事もできますよ~。では、押し合わない様に時間を掛けずに投票をお願いしまーす」とももちゃんが促すと、最前列にいた子供たちから投票を始めた。


「投票をありがとうございました~。では、投票の結果を出すため、箱の中身を数えますね」とももちゃんが言うと、ごんさんや、みぃ君、めりるどん以外にも料理人のボルゲ、シン、ウェイトレスのミルとルルが舞台に上がり、それぞれの出場者の横に立ち、担当する箱に手を突っ込んだ。


 運動会の玉入れの数え方の様に、ももちゃんが「い~ち」「に~い」「さぁ~ん」と数えるのに合わせて、玉を箱から出し、別の入れ物に入れていく。


 男性出場者の投票数はほぼ横ばいだったが、女性は途中からロンドニとジャギンナの一騎打ちとなり、「ご~じゅ~うに」とももちゃんが言った途端に、ロンドニの玉を箱から取り出していたみぃ君の手が広げられ、玉が握られていない事をみんなに見せた。

「「「「おおおおーーーーーー!」」」」

 観客から大きなどよめきが発生した。


「第一回アイドルコンテストの勝者は、女性はジャギンナさん!男性はライアさんです。お二人には賞金の金貨を贈呈致します~」とももちゃんが言うと、ごんさんが二人に金貨の入った箱を進呈した。

 ライアは芸能人としての才能が高いのか、その場で箱を開け、観客に中の金貨が見える様に箱を動かす。


「優勝者のみなさんは、りんご亭が総力を挙げて、芸能人としてデビューできる様に尽力致します。もちろん!他の参加者のみなさんも、この後、話し合いを設けさせて頂いて、双方が同意すればデビューの可能性がございます。今、この会場にいらっしゃるみなさんは、将来のスターが誕生する瞬間に居合わせた事になりますっ。今後も、今夜の参加者がスターになれる様、応援をお願いしまーす」とももちゃんがコンテストを締めくくると、観客から大きな声援と拍手が起こった。


 ジャギンナはその可愛い目を真っ赤にして泣いていた。

 よほど嬉しかった様で、舞台の最前列に座っていた自分の母親に舞台から降りて抱き着いた。

 

 これから出場者全員とアイドルとしての契約をするつもりのももちゃんが、肩に力を入れた。

 とりあえずは、アイドルになれる様に訓練してもらいたいのだ。

 そのための、給料制で契約を結びたいのだが、肝心の給料をどれくらいにするかという大仕事がももちゃんには残っているのだ。

 普通、こういった契約事は、こちらの慣習に従い、みぃ君やごんさん等の男性陣が担当してくれるのだが、芸能関係はももちゃんが表に立って久しいので、今回はももちゃんが契約にあたらなければ、コンテストの出場者たちの方が不安がるだろうということで、ももちゃんの首筋はコンテスト中の司会をする事の緊張感からも解放されずにカチンコチンのままだ。


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