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ラードできちゃいました

==========<みぃくん視点>===========


 今回は、コサージュやリボンのついた買い物籠がめっちゃの数揃ぉた。

 運びやすい様に、マトリョシカの状に大きさを微妙に変えて15個。

 5個づつの買い物籠マトリョシカが3つでけた。

 後、ごんさんが捕まえてくれた動物2匹と4人が食べた動物の皮が3枚。


 4人で今回の物々交換で欲しいもんを話しもって、漁村に向こぉて歩いた。

 いつもこういった話はももちゃんが言い出しっぺや。

「やっぱりさぁ、大きさの違う鍋が最低でも2つは欲しいよね。食べ物用と石鹸づくり用は分けたいよね」

 料理の事ならわてもちぃとばかし詳しいでぇ。

「この前、めりるどんが砂糖を煮詰めるのに湯煎にしたいって言うとったから、鍋の大きさを違えるのは大事やんな」

 わてのコメントに我が意を得たりとばかりめりるどんが矢継ぎ早に欲しいもんを並べた。

「そうなのよ!砂糖が焦げたらそれまでの労力が無駄になるから、湯煎が安全だよ。後は、砂糖シロップを入れる陶器とか。竹もどきだと、砂糖シロップを吸っちゃいそうだもんね。絶対陶器が欲しいよ。後、後、ラードとか塩作りの時に必要なフィルター替わりに使う目の詰んだ布切れも絶対必要だよね」

「後、靴!これは絶対欲しいよね。毎回、バナナの皮で加工しなくて良くなるのは大きいよ!みぃ君にいつもバナナの皮とか蔦を取って来てもらわないといけないし、ごんさんに蔦を結んでもらわないといけないし、やっぱり今のは面倒臭いよね」

「いや、俺は蔦を結ぶくらい別にいいけど・・・・。でも、靴があれば便利だよな」


 靴は、みんな前から欲しかってんで、出来合いのものより、自分たちの足に合わして作って欲しいっちゅうのが4人の考えや。


 村に着くと、モリンタと漁に出とらへん村人たちが出迎えてくれはった。


 女性たちは、買い物籠マトリョシカを見て、声高に話しとる。

 前回とちゃうデザインにしてよかったとめりるどんとももちゃんはニンマリと笑う。だって女性陣の目の色がちゃうんや。もしかしたらこちらにとって都合のええもん々交換を実現できるキッカケになるかも。


 今回も砂の上に交換したい物と持って来たものの絵を描く。

 こまい陶器の壺は模様もない素朴なもんやけど、砂糖シロップを入れるには申し分のない物で、結局3つ手に入った。


 鍋も大きさのちゃうものを2つ手に入れることがでけた。


 布は目がつんだものをと粘ったために、枚数は少な目だが10枚もらえた。


 最後に4人全員の靴を作って欲しいと伝えるために、漁村の中でも靴を履いとる人の足を見て、その靴の絵を描き、自分たち4人を手で指す。


 動物の開きとでも言う様な皮らしき絵を描きごんさんに実際に今回持ってきてもぉた皮を右手で持ち上げてもらう。それを手をハサミの形の様にして切ったり、縫うジェスチャーをし、続いて靴の絵を指し示す。いっぺんに指を4本立てる。

 ほんで、今回持ってきてや、まだ交換が終わってへん残った籠全部の絵を丸で囲み、靴4つの絵を指し示す。


 村の中でも靴を履いとる人は少ないが、モリンタは4人の足を見て同じくらいのサイズの女性の靴を寄こしたが、4人が欲しいのは自分たちの靴で、使い古しの靴やあれへん。

 ごんさんの狩りがここまであんじょういっていな 、皮で靴を作ろうとは思わなんだが、実際毎日複数の動物が罠にかかっとるので、皮の有効利用を兼ね、自分たちの足にあった新しいもんを誂えたかったんや。


 モリンタは「う~~~ん」とうなって、頭を抱えてしもた。

 

「もしかしたら、靴はこの村では作ってのうて、別のところから買って来てるんやないかな?」と思いついた。そうかもしれへんちゅうことになり、どないするかとその場で話し合ぉた。


 まず、この村で靴を作れる人がおんのかどうかを確かめたいのやけど、ももちゃんにもどうそれを絵で伝えるかっちゅうアイデアが浮かばへんかったみたいや。


 モリンタもうんうんとうなって、4人もうんうんとうなっとる状態やったけど、めりるどんがついっと前に出て、村人が履いとる靴を指し、今度は村全体を指す様に手をおっきく動かした。ほんで靴を縫っとる様なジェスチャーをし何人かの村人に手を向け頭を傾げた。


 モリンタはそれを見て横に首を振った。

 そらこの村では靴を作る人がおらへんちゅうことだとわてらは理解した。


 徐にももちゃんが地面にこの漁村の簡単な地図を描いた。靴の絵を指し、棒で、海側である下を除いて漁村の上左右を指し、手で縫うジェスチャーをする。


 モリンタは村の右側、それもめっちゃ距離の離れた所を指した。


 またまたわれらは「う~~ん」と唸ってもうた。

「どうする?靴は諦めないといけないのかな?」とももちゃんが悔しそうに言う。

「針と糸があれば自分たちでできないかなぁ?」とごんさん。


 布と違ぉて、皮はなめさんならんし、固いので針も太めのもんでなければすぐ折れて まう。

 新しい案が出ぇへんまま、他になんぞと変えるとしても、何と交換したらええんかすぐには案が湧いてきぃひん。


 モリンタたち村人はわてらが靴以外でどないなもんと交換したいと言い出すのかじっと待ってくれとる。

 それを見たももちゃんが、あまり村人を待たせるのも得策やないと感じたみたいで、ちゃっちゃと纏めに入った。

「ねぇ、靴底を革にして、その他を布で作ればいいんじゃないかなぁ。でもって、布となめした革と、ハサミと針、糸と交換でどうかな?」

「う~~ん。ももちゃんの案が現実的なのかどうか分からないけど、靴が欲しいとなったら自分たちで作るのが結局早道なのかもしれないね。昔、赤ちゃん用の靴は作った事があるから、大体でよければ作り方は分かるよ。ただ、その時は手芸キットだったから、針を通さなければいけない部分に最初から穴が開いてたんだよね」とめりるどん。


 なんぞ考えとる風やったごんさんが、思い切った感じで「そういえば、鳥の骨は生だと砕いた時に先が尖がるから、その骨をつこて予め革に穴をあければ針を通しやすくなるはずやから、大丈夫やと思うで。ただ、生の鳥の骨を得るために、鳥を捕まえへんとやな・・・・。ん!そうだ魚用の網が欲しわ」と靴作りが実現しそうな案を出してくれはった。

 

 もし靴が作れなんだとしても、針と糸、ハサミと布はあっても困らんっちゅうみぃ君の意見もあり、結局ももちゃんの案が採用され、もっぺん交渉を始めた。


 さすがに漁村やさかい、網はあった。ハサミは現代の使いやすいハサミやのうて、糸切りハサミしかあらへんかったさかい、ハサミではなくよく切れて工作がしやすい比較的ちまなナイフを希望し、太目の針数本や糸、丈夫な布を必要な分交換した。

 革は、以前持ち込んだ皮がなめしてあり、それを交換してもろた。


 これやと買い物籠の数と見合わへんので、素焼きの壺やめっちゃの量の糸を追加で交換した。素焼きの壺の中には、急須のおばけの様なもんがあり、ももちゃんが「おおお!あれはBotijo!」と大喜びして手に取った。


「これね、スペインに現在もあるんだけど、この素焼きの入れ物の中に水を入れておくと、入れ物の表面に水がにじみ出てきて、中の水が冷やされるんだよ。気化熱ってやつ?これでめっちゃ冷えたお水が飲めるよ~」と小躍りしていた。


 そんなももちゃんやモリンタを横目に、村の女たちはそれぞれが欲しい籠を漁り、わいわいと姦しい。

 マトリョシカの中でも小さ目の籠には、おっきい買い物籠との差別化を図るために、藁もどきで作ったコサージュを巻き付きやとったさかい、こまい買い物籠の方が人気があるようやった。女心はわからん。


 でも、これでこの村の大人の女性の半数には買い物籠が行きわたった感じや。

 新しい主力となる品を作らな 、今後の交換におっきな期待はでけへんね、とわてらは認識を新たにした。


 小屋への帰路は、石鹸を作るなら海藻で灰を作った方がええっちゅうめりるどんの提案で、みんなで海藻を採り、小屋へ戻った。


 戻って早々、干物を作るために魚を干しとった場所で、海藻を広げて干す。海藻を乾燥させて燃やしやすくするためや。

 もちろん食材としても使えるかもしれへんので、海藻のパッチテストも行ってん。

 干物は料理の得意なわてが、魚を捌いて干した。川魚やから、海の魚の様な美味しい干物になるかどうかは現在実験中や。


 ごんさんはそのまま鳥の捕獲の為に、網をつこた罠を仕掛けるべくキャンプを出たわ。


 残りの三人は、新しい鍋も洗い、目ぇの粗い布なら目の詰んだ布より安く交換できるので、ハナからラード作りにつこてもええのやないかちゅうことになり、めりるどんの指揮のもと、早速ラードを作り始めた。


 とっておいた背脂を細かく切り、水と一緒に鍋に掛け、灰汁が浮いてきたら丁寧にごんさんが作ってくれとったお玉ですくい出す。

 肉と油が分離しよるさかいに、布で濾す。

 本来なら油の方は冷蔵庫で固めるが、ここにはそんな贅沢なもんはおまへん。

 出来たラードの半分を、ラードが入った器が流されへん様に、ほんで水が中に入らへんように石などをつこて固定し、川で冷やす。

 固形っちゅうよりは緩い感じのラードの出来上がりや。


 残り半分のラードで早速料理につこてみよ ちゅうことになったわ。

 ラード作りで濾した時にできたそぼろと、めりるどんが「冒険がしてみたい!」と言い出し、漁村からの帰り偶然見つけた芋の様な植物をつこて炒め物作った。


 皆、彼女の体調は大丈夫か心配したが、肩の痛みはあるものの、その他の痛みはここに来てから出てへんとのこと。最初は、今までに繰り返し患ったことのある病気が再発せぇへんか様子を見ときたいが、特に病気が発症しそうな感じではなかってんさかい、お転婆魂がうずき出したのやろ。男性陣に負けへん様、自分もいろんなもんを探してみたいとはりきっとった。


 この日食べた芋の炒め物は、芋をサイコロ状に切り、中に火が通ったらそぼろを入り、塩味だけの味付けやけど、ラードの香ばしさも相まってめっさおいしくでけた。

 こちらに飛ばされて初めて料理らしい料理を食べることができ、「うまーーーー!」と4人が4人とも声を挙げた。

「これでビールがあれば・・・」と元々ご飯よりお酒が好きなごんさんがぽつりとこぼしたのは致し方のない事やった。

 わてもビールは飲みたい。


 翌朝、突然ももちゃんが、「ラードの匂いって料理の時は香ばしくておいしいけど、あたためて油状にした時って独特の臭いがあるよね。石鹸をラードで作って臭くならないかな?」と疑問を呈したラードの臭いについては昨夜の内から、いろいろと考えとった様や。


「植物性の油の方がいいんだけど・・・今はないしねぇ」と答えためりるどんに、「ココナッツもどきがあるんやから、ココナッツオイル取れるんちゃうか?」と先日採取したココナッツを思い出しもって提案してみた。


「それだっ!!!」と残りの3人が頷いた。

 ココナッツもどきは地球と同じくパサパサ感のある白い果肉は食べ れるので、貴重な食材としてちょいちょい食べとった。

 でも、ココナッツを割っても油がにじみ出るちゅうことはなかってんさかい、油があるとしたら果肉だろうと検討をつけ、みんなで細かく切って水を加えた。

 これは前に漫画で椿油の作り方が紹介されとったさかい、それを覚えとったももちゃんの記憶を元にしたんや。

 油を採取するのに、まずは素材を水と混ぜるっちゅうのが、水と油分が反発せぇへんのかと不思議に思うたさかい覚えとったみたいやで。


 白い牛乳の様な色の液体になったけど、油やあれへん。

「ん?これってココナッツミルクとちゃうの?アジアンな料理作る時に重宝するんだよねぇ」と普段から家で料理しとるからこそ、味に覚えがある液体を舐めてみた。

「ええええ?これがココナッツミルクだとすると、オイルは果肉からじゃないの?」と残念そうなももちゃん。


 もしかしたら、ココナッツミルクからココナッツオイルが抽出できるかもしれへんから、このまま加熱して濾過してみよ ちゅうことになってん。

 こないな時、主婦の知恵を発揮してくれるめりるどんが提案をした。

「濾す前に、果肉を揉んで、もっとミルクを濃くした方がいいんじゃない?」

「そうだね。めりるどんが言う様に濃くした方が結果を判断しやすいね」とモモちゃん。


 果たして、ココナッツオイルはココナッツミルクから採れた!

 布で濾す前にはココナッツオイルのええ香りがそこら中に広がった。

「おおおおお!」と4人が喜びの声を挙げる。

「これでいい匂いの石鹸ができるね」と浴びの時にええ匂いの石鹸で体を洗えるとあって、みんなの石鹸つくりに対するやる気はうなぎのぼりになってん。


 ほんでココナッツオイルを濾すと、黒いカスがぎょうさんとれてんけど、好奇心旺盛なめりるどんがちょっと指でつまんで口に入れよった。

 めりるどんの口が「お」の形に無言で開いて、そのまま何回もカスをつまんで口に運んどる。

 あれだけ何回も口に入れとるちゅうことは・・・・・わても素はよ口に入れてみた。

「!」

 知らず知らずの内にわての口も「お!」の形に開いた。

「おおおお!これ、うまいで!」

 わての声に、残りの2人もせいてカスに手を伸ばす。

「おやつ的な何かだね、これ」とももちゃんもバクバク食べだす。

「これってさぁ、手間がかかっても定期的にココナッツオイル作ってもいいおいしさだよね」とめりるどん。

 ココナッツの黒いカスを食べながら、ビールが欲しいと思うたのはごんさんだけやあれへんかった。


 この日は、まだ海藻は乾いてへなんだが、今までの調理などで溜まった灰をつこて石鹸を作ってみよ ちゅうことになったわ。

 採れただけのココナッツオイルをつこて作ったため、めっちゃの量になったわ。

 ピンクの竹もどきを切って作った入れもんに入り、暗所で一晩放置し、様子を見る事になったわ。


 明日は、サトウキビもどきで砂糖シロップを作ることにして、今日は、その為の素材収集と、食糧と薪の採集に集中する事にした。


 めりるどんが見つけた芋もどきは、4人にとって貴重な炭水化物やから、今回の食糧探索は芋もどきを採取するのが主な目的や。


 意外とキャンプの近くにも芋もどきは生えており、結構な収穫ってなってん。

 その日はフライドポテトもどきを揚げ、みんなでワイワイ食べて寝てん。

 ごんさんだけは相変わらず「ビールが欲しい・・・」とつぶやいとった・・・。


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