第0章 第0話 ―序章開幕―
この作品に目を通した人には、是非とも感想に貴方の妄想(好きなロボット)をお聞かせ下さい
内容の要求に該当しないものであれば大歓迎します
――メインシステム、パイロットデータの承認を開始します――
――パイロットデータの称号を完了 最終ログアウト地点への意識転送を許可 転送を開始します――
読者諸君、初めまして。私の名前はシド。…そう、この世界ではシドと呼んでほしい。無論、コテハンと言う奴だが、その先は詮索しないのがメカマスターの鉄則だ。勘弁願おう。
さて、先程の案内音声で察する人も多かろう。此処で長々と挨拶する必要もない。
そう、此処は『オリメカランド』だ。この時代では知らない人はいない『オリジナル メカニカル ダイバーズ』と言う全世界を熱狂させるロボットゲームの世界の事を、オリメカランドと言う。
『オリメカ』と言うのはオリジナルのメカと言う意味だ。片仮名四文字に省略する日本的な呼び名から分かる通り、これは日本のゲームだ。しかも、予算が少なくなりつつある今時――と言うか日本のゲームとしては珍しく、破格の予算を注ぎ込まれ、その上アップデート計画の発表は常にクラウドファンディング、つまり募金と並列進行する。
募金に参加したユーザーには、金額に応じた超高性能なパーツを惜し気もなく…、それこそゲームバランスがぶっ壊れる様な『ぶっ壊れパーツ』が大量にプレゼントされる上、通常の課金ショップには絶対に並ばない訳だから、毎回パーツ目当てのユーザーが「何処の国家予算なんだ」と目が眩む様な金額を注ぎ込む。
無論、一人一人の投入額は国家予算と比較すれば小規模だが、そこいらの募金とは協力者の金額が桁違いなのが有名だ。その高額っぷりからアップデート後の資金運用は、使用金額を発表の上、国際支援団体に二次募金と言う形で引き渡される。
この事は利用規約にも書いてあるし、アップデートの度に運営がテレビ出演して迄知らせているので法的問題の疑惑がどうこう、と言い出す奴は余程の権力者でない限りは、白い目で見られる。何より運営はその辺りを気にしているので、国際弁護士軍団の雇用と育成にも力を注いでいる、と何時もメンバーを自慢している程だ。
勿論、最初からこれ程大盤振る舞い出来た訳ではないが、何せ一世紀以上運営され続けているゲームなだけに、単純な売り上げだけでも馬鹿にならない。
…そう『一世紀以上も』だ。
つまり君たち読者が生きている『今』…、此方からすれば古い時代になるが、其方から見たこの世界は未来と言う事になるのだろう。
過去の世界に干渉する、このメッセージは極秘技術を利用して実現しているし、これがあれば危険な犯罪もノーリスクで完了するだろうから、管理は厳重だ。
何故、そんな危険な事を、と思うかも知れないが、それは愚問だ。故にその程度の疑問には既に回答を用意してある。
私がこの世界を愛しているからだ。其れも並大抵の事じゃない。その事、良く覚えておいて貰いたい。