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囚われた親友に  作者: tukimine
7/11

過去6

 ―――合格発表日。


 会場へ向かう。そこには既に大勢の受験生が集まっていた。その前には、受験番号が、合格者が貼り出されている。

 大丈夫。俺は、やり尽くした。

 一歩一歩、重い足を進めた。ガッツポーズをして喜ぶ者もいれば、泣いてしゃがみこんでいる者もいる。俺はどちらに転ぶのだろうか。人が多く、前の方には行けないので、後方で目を凝らして確認することにした。


『……………!』


 ……………あった。俺の………番号だ。あった。俺は………合格したんだ!


『~~~っ!………ふぅ~っ………』


 大きく息を吐いて、やっと肩の力が抜けた。

 英二にちゃんと報告出来る。笑って、良い報せだと。


『え………』


 俺は目を疑った。また別のボードの前に、奴が………英二がいた。


『英二……?』

『あ、陵………っ』

『お前、どうし………っうわ!?』

『陵っ!俺、俺っ!』


 突然抱きついてきた。何事かと混乱するばかりで、これは自分の夢かとも思ったくらいだ。


『俺!………受かった!』

『は?どこに』

『ここ、ここ!!東大だよ!!』

『……ええ?お前……受けてたのか……?』

『内緒でな!へへ……』

『自分で無理とか言っていたくせに……どうして』

『分かんないのかよ?そんなの簡単な問題だぜ?その良い頭で考えてみろよ』

『……?………と、とにかく離れろ』


 盛大に抱きついてきた英二。それはもう目立った。大きい男同士が、こんな大勢いるボードの目の前で抱き合っていれば至極当然だ。取り敢えず、目的を果たしたので帰路に立つ。


『やったな!俺達、大学も一緒だぜ!?超ウキウキしてきた!』

『ああ、そうだな』

『やっぱ努力は報われるんだな』

『お前は遊んでたんじゃないのか?』

『そりゃ息抜きくらいはしてたけどさ。それ以外は、友達のお兄さんの所で勉強教えてもらってたんだ。現役東大生の』


 そんな伝があったのか。さすが、広い顔に尊敬する。それ以外だって学ぶべき所は沢山あるが、今はもうどうでもいい。今は、ただ喜びを分かち合いたい。


『英二。また遊びに行こう』

『!……陵から遊びに誘われんの初めてじゃね?』

『ああ、そうかもしれない』

『あははっ……なんか、さ………今更、だけど……っ』

『っお、おい!大丈夫か?』


 英二は柄にもなく泣いていた。我慢するわけでもなく、堂々と泣いて笑っていた。男らしく、清々しい涙だった。

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