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詩*見つめて*

ある日の残像

作者: a i o




送る日に/


さようなら。この地平から送る、君の夕焼けへ。掻き乱れる色から色へ。そして終息する深い夜へ。星をくぐり、明日の光の中で待ち合わせをしよう。何を置いても、何を背負っても、光は射してしまうから。さようなら。別れだけは真っ直ぐに届け。区切りなんかじゃないこれはすべて労りのことば。





幸福予備軍/


野の花、白い蝶、薄い雲。芝生は柔く鮮やかに。優しい思い出に仕上がる前に、息を吸って。ビニールシートが膨らんで、通り抜けていく風よ、風。ほんの少しの憂いなら見逃しておくれ。木漏れ日、微笑み、青い空。今日はなんて美しい日。





回転木馬/


かたい白馬のたてがみ。つん高いバックミュージック。仰々しい電飾の黄色。乗せられまわる、眺めたのは道化た動かぬ日常ばかりで。上下する馬車。つやつやのミラー。追い抜けない尻尾。手を振るひとの残像を、振りきるように冷ややかな風を切って走り出せば私、いつか笑って手を振り返すひととなる。





旅するベンチ/


不安定な夕暮れでした。微睡みながら、張りつめていました。公園の物静かなベンチに腰掛け、巡らすのは思考とも言えない断片的なイメージ。何を作っているのかも分からずに続ける、あやとりのように、さ迷う。古びたベンチから、小さなつむじ風、舞い上がる落ち葉の錆びたような赤、運ばれる港町の潮の匂い、境界も曖昧な水平線、傍らの小さな星、その先の名も知らぬ彼方。

それは、不安定な夕暮れでした。瞳の奥が揺らぐばかりの夕暮れでした。







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