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1Hチャレンジシリーズ

1H作文チャレンジ20171117

作者: あるつ

1時間でどれだけかけるかなシリーズ一作目

本人の文章能力向上のための練習台

乱文散文あり、時間内に収めるためのクソ展開あり、適当な描写あり。

お題:睡眠 冬 テレビ 

僕は変わった夢を見る。

しかし夢といっても、見えるものは何もない。聞こえるものも、感じるものもない。真っ暗闇。

少しだけ訂正。暗闇の中で流星のように光る何かが縦に、横に、駆け巡る。

この何かの正体はつかめない。手掛かりは見当たらず、何かをつかもうとしたとき、意識が浮上していく。

いつもこのパターンだ。


脳内が起床を意識する。鼻と耳が繋がっているあたりに軽くキーンとした耳鳴りに近い音がかすかに聞こえる。

これは雪が積もったとき特有の音。なぜ聞こえるかはよく知らないが、この音を感じると雪が積もっている確信がある。

案の定窓の隙間からは白化粧をした隣家の屋根が見えた。が、周囲の冷気にはっとなり、逃げるように布団の中へ。

部屋の中でも氷点下に近く、体温で暖められた布団にくるまったまま、もぞもぞと周囲を探す。

見つけた。エアコンのスイッチ。

暖気が吐き出されるまでしばらく。部屋がかろうじて活動できる温かさになるまでもうしばらく。

やっと動き出したころには起床からすでに30分近くが経過していた。


朝の支度。インスタント味噌汁と昨日買ったセールの菓子パンを齧りながらテレビをつける。

大物コメンテーターが連日辛口で切り込む番組が好きだ。

が、しかし。今日はテレビが動かない。リモコンも、側面のスイッチも反応なし。

同じタコ足から延びるケトルでお湯は沸かせたので、電源は生きているのだが。

スマホから症状を検索する。といっても、この症例だと無数に原因が考えられてしまう。

あれか?いやこれか?探してるうちに、ふと一つの投稿が気になった。

『最近、電子機器のハッキングが多いんだってさ。内部のプログラムを壊されて、起動できなくなるらしい』

なぜこの投稿が気になったのかといわれても、勘としか言えない。

ただ、昨日の寝る前の番組を思い出した。


それは番組の最後、エンドロールが流れているときである。

出演者が手を振り、画面が引きになっている。

画面を消そうとしたときのボタンの押し間違いにより偶然開いたネットストリーミング機能のページが画面の端をなぞるようにL字で表示され、本来の番組は通常より縦横比を縮小して放送された。

L字に開かれた特設ページには「おめでとうございます!」の文字。

応募も何もしていないし、こういったキャンペーンがあるという話もなかった。

意味の分からない文言。薄気味悪さを感じた僕は早々に電源を落として寝たのだ。


とりあえず、テレビの謎症状と引っかかるワードについては置いておいて、出社の時間。詳しくは帰ってから考えよう。


しかし、帰宅しても症状は変わらない。

サポートに問い合わせるが、本体不良の可能性があるため家電量販店に持ち込むのが良いとのことだった。

仕事終わりで疲れもあるし既に電気店は閉店している。次の休日だなと心に決め、今週のテレビはあきらめて生活することにした。


その日の夜。昨日と同じ暗闇の夢を見た。時々闇を光の筋が裂く。

そう、昨日よりも光が強く、はっきりと認識できたのだ。

その光は何とか手に届くことのできる距離にあると感じた。

手を伸ばす。光に触れた。が、光は掌にぶつかることなくすり抜けて彼方へと。

その時だ。頭の中に不思議な文字の羅列が浮かび上がった。

『1001000011001010110110001110000』

それは0と1の符号の塊。なぜそれが思い浮かんだかはわからないが、その羅列には心当たりがある。

二進数表記だ。エンジニアの端くれ、またはこちら方面に興味があれば存在くらいは知っている。

主に電気製品の制御で使われる表記方法。電気の流れる、流れないの2通りで表現された信号。

通り過ぎる光に次々ぶつかってみる。

『01100111011011010111011001100101』

『00000110110101100101』

『00000101000001001111010101110100010101010010』

何の羅列かはさっぱりわからないが、どの光も2進数の信号を打っていた。

通り過ぎる光がだんだんと多くなっていく。その中に一条、青い光が混じっていた。

『00000000000000000000000000000000000』

これまでの信号は0と1が並んでいたが、この青い光は0のみだ。

その青い光の行く先を追う。すると周囲の黄色い光が吸い込まれたと思うと、青い光になって吐き出された。

そして分散した青い光はさらに周囲の光を吸収して青い光を放っている。嫌な予感がする。

必死に追いかける。そもそも光に追いつくことは無理なのだが、そこは夢の中。追いつくような勢いで加速し、あっという間に追いついた。

この青い光を止めないといけない。しかし、青い光は通り抜けるだけ。脳内には0の並びが浮かぶ。

もがきながら、結果を変えたいと願った。青を青でなくしたい。その思いに応えたのか、通り過ぎた青い光は赤い光になって抜けた。

脳内に浮かぶのは、すべて1の羅列。

その赤い光もまた周囲の光を吸収するも、はじき出されたかのようにただの光が拡散する。青色にも、赤色にも変色していない。

これが何なのかよくわからないが、とりあえず現存の青い光を赤い光に変えていく。

目につく青い光をすべて変えた。これ以上青い光が出てくることはなかった。

よくわからない不安も払拭され、安心したのか、夢が解けて僕は再び深い眠りについた。


翌朝。いつものルーティングでテレビをつけようとする。

そういえば壊れてるんだった、と思いリモコンを投げようとした時だ。

いつも通りのように、テレビがついた。

昨日は何も言わなかったテレビが、ついた。

何が変わったのか、どうなったのか、さっぱりわかっていない。

まあ、とりあえず良しとするか。そう思いながらいつも通りに過ごしていく。





もちろん、彼の夢がこの結果に影響を与えたことは言うまでもない。

この後訪れるのは、世界にとってほんの小さな、しかし重大な戦い。


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