袋の鼠たち
キリいいとこまでいこうと思ったら長くなってしまいました。
痛そうな表現が全然上手くできないなぁ。
――なんで。
「そういえば、まだ名前言ってませんでしたか?」
――なんで。
「とりあえず今はシェイン=イルニスと名乗っています。まぁ以後お見知りおきを」
――なんでこいつが。
「なんでアンタがここにいるのよ……!」
フォルトゥナは魔導書を起動させ、いつでも迎撃できる態勢を整える。
「なんでって言われましても……」
仮面の男――シェインが困ったように首を傾げた。
「雇い主がここに行けとうるさいので」
「違う! そうじゃない――それも気になるけど――なんでアンタ生きてんのよ!?」
あの路地で無数の《霧幻》で串刺しにし、燃やし尽くしたはずだ。
魔導書を使われる前に攻撃したのだから、魔術で防げたはずがない。魔導書の起動までには早くても五秒は要する。間に合うはずがないのだ。仮に燃やし尽くされる中、魔導書の起動に成功させたとしても、治癒術を発動して助かる見込みはまずない。
つまり、死から逃れられる術はない。
にも関わらず。フォルトゥナの目の前に立つこの男は、確かにその足で立ち、話し、生きている。
「あー……それですか」
シェインの言葉に思考を現実に戻される。
「僕こう見えて生命力強いんですよ」
「……あっそ」
適当すぎるシェインの返答に、フォルトゥナは警戒を解かない。
「いやぁ、それにしても助かりましたよ。統治局の連中が結界張ってるせいでこのアパートに近付けず、どうしたものかとあれこれ考えていたら、この人達が術者を始末してくれたんですから」
シェインの視線が、体中の全ての骨を粉砕され床にめり込んでいるフードの暗殺者の死体に向けられる。
「おかげで彼が結界を張り替える一瞬の隙に何とか潜り込めました。ほら、これだけ騒いで暴れてるのに全然人が起きて来ないでしょ? 建物内部の人間すらごまかせる素晴らしい結界だ。優秀な術者だっただろうに残念ですね」
言葉の割に、全く悲しくなさそうだ。
まだこの現状に頭の理解が追い付かない。
なぜ自分が狙われるのか。死体となった四人の暗殺者。そして殺したはずなのに生きている仮面の男。
だが、一つ、確実に確かめておくことがある。
「アンタは私の敵?」
「味方ですね、一応」
「じゃあここから逃がしてくれる?」
「それはできませんね」
答えは出た。
『こいつは、敵だ』。
魔力を右手に集中、剣の形に成す。
そして腕を振り上げ――
パキッ。
――肘から先が、逆方向にポッキリと逆方向に折れた。
「…………え?」
フォルトゥナは急に力が入らなくなった右腕を見上げる。
右手から剣が落ちる。ぶらん、と滑稽に揺れている右腕。
そして襲い来る激痛。
「…………えぅ? ……う……うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!!?????????」
右腕を抑え絶叫する。
仮面の男は黙ってその様子を眺めている。
「あぇ? え? えっ? ひぐぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううぅぅぅぅぅっ!!!!!」
右腕が? 折れてる? 右腕? 私の――
パキキッ。
バランスを崩し、地面に倒れこむ。
なぜ?
左足首が反時計回りに捩じれて二回転したから。
ゴキッ。
「ぎゃあああぁぁっっ!!?」
右手の親指が逆方向に反り返る。
グキッ。メキッ。ポキッボキッ……
「あぐっぐううううううううううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅっっっっっ!!!!!!」
人差し指が関節を無視して様々な箇所で折れまくっていく。
メキメキっメキッパキキッ……
中指と薬指が捻じ曲がり絡み合い螺旋を描く。
「いやあああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁっっっっ!!!!………お、お願い! も、もうやめて……痛い! 本当に痛いの!! これ……」
ボキンッ。
薬指が――
「あがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁあぁぁぁっっっ!!! …………っごろずごろずごろずごろず!! ごろじでやる!! ぜっだいにごろじでやる!!!」
体のあちこちが無理矢理に捩じられ曲げられ、折り畳まれていく。
のたうち回ることもできず、激痛から逃れるために呪詛の言葉を仮面の男にぶつける。
「やっと命乞いしたかと思えば、次の瞬間には『殺す』ですか。面白いなぁ」
シェインがフォルトゥナの横を横切り、倒れている床を起こすとドカッと腰かける。
「はいはい、分かってますよ。殺しませんって。……あ、ちょっと探し物するんで手伝ってくれます?」
「わたしの…からだ、ぢゅう…………折っておいて……よくも……」
にこやかに話しかけてくるシェインを、フォルトゥナは息も絶え絶えに睨み付ける。
「…………できるわけ、ないでしょう……!」
「できますよ?」
「っ! こいつ……!」
怒りのあまり、痛みも忘れて立ち上がり掴みかかろうと――
――立ち上がる?
「ほら、何ともないでしょう?」
捩じ切れたはずの左足首に痛みがない。
恐る恐る視線を落とす……普通だ。骨が皮を突き破って飛び出したりはしていない。
右腕もだ。普通に動く。指も何ともない。
先程まで滅茶苦茶に壊されたはずなのに、泣き叫ぶほどの激痛が襲っていたはずなのに。まるで嘘のように元通りになっている。
「げ、幻術系の魔術……?」
「さぁ? ちょっと違うとだけ言っておきましょう」
涙と涎を乱暴に袖で拭い、シェインを睨み付ける。
魔導書を使用せずに魔術を使えるなんて聞いたことがない。一体どうなっているというのか。
「これで少しは大人しくしてくれますか? こっちもいちいち魔術で突っかかられてその度に対処するのは面倒なんでね。首を四回転半させられて死にたくはないでしょう?」
相変わらずにこやかに、だが確実に殺気が込められた警告。フォルトゥナは恐怖と屈辱を抱き、従うしかなかった。
これ以上暗殺者が来るとも限らないため扉の近くにはいたくない。かといって、シェインにも近付きたくない。できるだけ彼から離れた位置でベッドの端に腰を下ろす。
「大丈夫ですよ、何もしませんから」
「…………アンタ、今朝も襲ってきたけど……何が目的なの?」
「いえ、ちょっとした情報を手に入れたので助けてあげようかと」
「ちょっとした情報?」
「あなたは七十二時間以内に死ぬ」
「…………は?」
七十二時間以内に死ぬ? 誰が? 私が?
「らしいです」
シェインが奇怪な仮面を外し、素顔を晒す。
「らしいです、って……」
「あぁ、正確には一日経ってるからあと二日もないのかな? 実は僕もよく分かってないんですよ。雇い主が情報を出し渋ってましてね」
シェインがここにいない誰かに、まるで聞かせるかのように不満を口にする。
「まぁライアン=ローガンとクルス=シフル……この二人は昼までに殺されたから、死ぬというのは本当なんでしょうけど。この現状を見てもね」
シェインが床に放置している暗殺者たちの死体に目をやる。
「こいつら何なの?」
シェインはその答えを、禿げ頭の肩のタトゥーを蹴って示した。火炎を吐くように舌を突き出している龍が彫られている。
「闇ギルド『赤舌』のメンバーですよ。今朝君が盗みを働いた男も同じタトゥーが彫られていました」
フォルトゥナもその名には聞き覚えがあった。老婆のボスが率いるムーンライトシティの五大闇ギルドの一つだ。暗殺者が言っていた『ママ』というのも、ボスのことだろう。メンバー全員にそう呼ばせているという噂を聞いたことがある。
「あいつらしつこいですよ? 厄介なのに目を付けられちゃいましたね」
「なんで!? 私が殺したわけじゃないのに!」
「大体見当は付いてますけどね……でもその辺り、ちょっとそこで寝ている彼に聞いてみましょうか」
彼とは誰――そう尋ねようとした瞬間、足元から声がしてフォルトゥナは飛び上がった。
「……バレてんじゃねぇかよ」
自ら流した血の池に沈んでいた、オールバックのノリが軽そうな男――ウルフが目を開いていた。
「わざと浅く斬りましたからね」
「いやいやお前、大量出血してんだけど。目悪いの?」
横一文字に斬られた胸から血をドクドク流したまま、ウルフが身を起こす。
また死んだはずの人間が死んでいない。フォルトゥナは眩暈がした。
「ったく、やっぱ魔導書初めから起動しておいて正解だったぜ。おかげで何とか死なずに済んだ」
彼の左手の人差し指に、魔力を帯びた指輪がはまっているのをフォルトゥナは認めた。あれが彼の魔導書だろう。
「まぁでも、これから選択次第では結局死ぬんですけどね」
「オイオイ、兄ちゃん。俺も舐められたもんだな」
ウルフが不敵な笑みを浮かべる。
「どうせ俺が口一番軽そうだと思ったからわざと生かしたんだろ? ふざけんなよてめぇ。俺は仲間を売るようなクズな真似――」
「じゃあ骨いきますね。面倒なので上半身全部ボキッと」
「いやホントまったくその通りで。どうぞどうぞ質問ドンとこい何でもカモン!」
「あっ、そうですか? では遠慮なく」
「…………」
フォルトゥナは呆れて物が言えなかった。
「彼女を狙う理由について教えてもらえますか?」
「上からの命令だよ。俺も詳しくは知らねぇんだけど……アンタさ、どうせ今朝路地で死体から何かまずいもん盗んだんじゃねぇの?」
ウルフがフォルトゥナに尋ねかける。
「そ、そんな重要そうな危なっかしいのはなかったわよ!」
「四人も送り込んで殺せっつうんだぜ? よほど見られちゃまずいもんだろうよ」
「予想通りですね。クライアンレスさん、盗んだものは?」
「盗んだものって……数本しか残ってない煙草の箱と、小さくて黒い筒状の何かだけ――」
「それだ。その小さくて黒いの、今どこに?」
「えっと、確か……」
シェインに促され、ベッドの横の小物入れを漁る。使い道は分からなかったが、そのうち転売できるかもと思い残しておいたのだ。
「……あった! これよ」
「やっぱり、記憶媒体か」
シェインはそれを受け取ると懐から、蝙蝠の翼がはえた眼球――通信ゴーレムを取り出した。
「夜兎、聞こえてましたよね。今からそちらに送ります」
目玉がパックリと横に裂けて、牙の生えた口が覗く。その大口にシェインは記憶媒体を放り込んだ。
――――………
「……ふむ。やはり厳重にロックされていますね」
シェインたちがいる団地からは遠く離れた、本が所狭しと積み上げらえたとある部屋の中央。そこに夜兎は立っていた。
彼女の周囲の床には握り拳程度の小型ゴーレムが複数配置され、シェインから送られた記憶媒体のデータなどを立体ホログラムで空中に映し出している。
『解除できます?』
「十分もあればお釣りが来ますよ」
ホログラムに触れ、データをいじくる。
「ロックされた複数のファイルがありますが……不用心にもパスワードは同じものが使われていますね」
データを構成する古代文字の羅列――術式コードを表示させる。この記憶媒体のように術式コードを核として構成されているもの――所謂、魔道具や魔導器は夜兎にとって得意分野だ。造作もない。
これならば『見付かる』前にうまく切り抜けられそうだ。
問題は――
『その技術、どこで会得したんです?』
脳内に響く、物腰が一見柔らかそうな声。
思念花を通じて彼の行動を聞いていたが、やはり難がある。対象者を大人しくさせろとは命令したが、あんな甚振るような真似をしろとは言っていない。
藁にも縋る思いで彼と接触する博打に出てみたが、蓋を開ければ期待していた戦闘力も大したことがなく、むしろ自分の現状がさらに悪化した気さえする。
兎にも角にも、解除を早く終わらせ、彼らと合流する必要がある。
「ロックの解除を試みます。ファイルの中を確認するので、それが終わるまでクライアンレスさんを死ぬ気で守ってください」
――――……
「善処しますよ」
シェインがさっきから独り言を呟いている。思念花越しに相手と会話しているのだろう。
フォルトゥナは尋ねてみる。
「話してた相手……雇い主?」
「まぁね。厳密には雇用関係にはないのですが……とりあえず彼女があの記憶媒体の中身を確認し、それを武器に、暗殺を止めるよう直接彼らのボスと交渉します」
「そう上手くいくと思ってんのか? おめでたいやつだぜ」
ウルフが鼻で笑う。
相変わらず血が胸からドバドバ垂れ流しになっているが、大丈夫なのだろうか。
「さぁ? そこは僕の仕事ではないので。まぁ、これでとにかく万事解決しそう――」
次の瞬間、大きく伸びをしようとしたシェインの喉元を何かが掠めた。
「――とはいかないらしい」
シェインは壁に刺さったナイフにちらりと目をやり、それを投擲した人物に視線を向ける。
獅子を思わせる髪型と顔立ちに、それに見合う屈強な肉体の男が立っていた。その後ろに三人ほどまだ人影が控えている。
「ウルフさん、あなたのお友達ですか?」
「いやいや、あんなライオンみてぇなやつ知らねぇよ!」
「フォル! 無事か!?」
背後に控えていた人影が飛び出そうとし、仲間に止められる。
その顔が月光に照らされて、フォルトゥナが驚きの声をあげる。
「リ、リンク!?」
「あぁ、では統治局の御一行様ですか。あの結界を破るなんて、優秀な術者がいたんですね」
「お前が殺したからじゃねぇの?」
ウルフがフードの暗殺者の死体を指差す。
「あ……」
「五体満足で捕まりたくば、大人しく彼女をこちらに渡して貰おうか」
獅子顔の男が剣を抜く。
シェインは溜息を吐くと、再び仮面を被って立ち上がった。
「ライオンみたいなあなた……〝奮獅子〟のガルディア隊長ですね」
フォルトゥナは首筋に何か冷たいものが押し当てられたのを感じた。
確認するまでもない。背後に立つ、シェインの右手だ。
「噂は聞いていますよ……厄介な相手だとか」
「ならば貴様らの取るべき選択肢は一つしかない。グズグズするな。私の部下が彼を――エージェント・バートリーを抑えていられるのも時間の問題だぞ」
額に青筋を立て、今にもシェインに飛びかかりズタズタに引き裂きそうな形相のリンク。
だがそれを見て何がおかしいのか、フォルトゥナの背後でシェインがクックッと笑う。
嘲りでもない、純粋な笑い。
まさか、この状況を楽しんでいる?
統治局のエージェントを四人、しかも一人は隊長クラスを前にして逃げ場がないのに?
フォルトゥナは彼の正気を疑った。
「ヘイヘイ、ストップストップ!」
緊張を孕む空間に、ウルフの騒がしい声が割って入る。
「おたくら俺も捕まえる気満々みたいだが、俺は『赤舌』だぞ!? 『欲しい時に欲しいだけ情報を売ってやる代わりに、統治局はボスの命令で動く分には一切関知しない』っていう、俺んとこのババアとあんたらのお偉いさんが昔交わした協定! まさか破るつもりじゃねぇよな?」
「あぁ、確かにそうだ。犯罪集団相手に忌々しいことだが……しかし、今回はそういったことは事前に聞かされていない」
「はぁ!? んなわけねぇだろ、もう既に話は付いたって――」
その時、ウルフの通信ゴーレムが着信を知らせる鳴き声をあげた。
「バレルのおっさん、ナイスタイミングだぜ! いいか、てめぇら耳かっぽじいてよく聞きやがれ!」
全員に声が聞こえるようにスピーカーにする。
『ウルフか。貴様、今どこにいる?』
通信ゴーレムから威圧感たっぷりの声が発せられる。
「バレルさんすみません。少し厄介なことに巻き込まれちまいまして――ですけど、必ず! クライアンレスの首とって帰るんで――」
『……? 何を言っている?』
「へ? クライアンレスの暗殺――」
『クライアンレス? 誰だそいつは?』
「誰って……バレルさんとボスが俺達に命令――」
『グハハハハハハハハッ! 俺とボスが命令だと? 貴様また飲みすぎたな? まぁいい。新しい仕事を頼みたい。酔いを醒ませてさっさといつもの場所へ来い』
それで通信は切れた。
通信ゴーレムを握るウルフから冷や汗が滝のように流れ落ちていく。
「………………あれぇ? バレルさん、もしかしてボケちまったかなぁ? 歳だもんなぁ、うん」
統治局の四人が武器を構える。
「どわーーーーっ! タンマタンマ! これ絶対何かの間違いだって!」
――――……
「夜兎……どうも様子がおかしい」
シェインは嫌な予感を覚える。
「聞こえていたと思いますが……通信相手のバレルという男、知らぬふりで部下を切り捨てるのではなく、本当にこの暗殺について知らない様子でした」
『……どういうことです?』
「それともう一つ、少し気になっていたのですが。僕が殺させた禿げ頭の男……彼女を殺そうとはしましたが、記憶媒体のことは一度も口にしていませんでした。もし記憶媒体を奪い返すことが目的なら、先に隠し場所を割らせてから殺した方が効率的なのに――」
『待ってください、ロックを解除できました。中身を確認します』
――――……
「…………これは……」
夜兎はファイルの中身を全て確認し、愕然とする。
全てが空だ。何も入っていない。
この記憶媒体は、何も記憶させられていないのだ。
こんな何もない物を奪い返すために暗殺を命じた? いや、バレルという赤舌の幹部は何も把握していなかった。そしておそらく彼らのボスも。
つまり、他の誰かがウルフたち四人にフォルトゥナの暗殺を秘密裏に命じたことになる。
一体、誰が?
――まさか。
その時、ふと記憶媒体の長々と書かれている術式コード、その一節が目に飛び込んできた。
そう、あの一節が。
「――――っシェイン!!」
次の瞬間、夜兎は叫んでいた。
夜兎が触れていないにも関わらず、ホログラムに映し出されたデータが勝手に動き始める。
「今すぐ彼女を連れてそこから退避しなさい!」
『イタタ! だから叫ばれると頭が――』
「いいから早く! お願いだからっ!!」
夜兎の必死の叫びをあざ笑うかのように、視界の端では、膨大な量の古代文字がまるで波のように次々とホログラムに現れては消えていく。
術式コードが書き換えられているのだ。夜兎はホログラムに触れ、それを妨害する術式コードを書き加える……駄目だ。全くスピードが追い付かない。
「早く逃げて! お願いだから言うとおりにしてっ! 間に合わなくなる前に――」
突然、術式コードの書き換えが止まる。止まるどころか、術式コードが全て消滅した。
代わりにホログラム上に映し出されたのは、三つの単語と一つの疑問符。
『WHO』 『ARE』 『YOU』 『?』
「……見付かった」
夜兎の全身を恐怖が走り抜ける。
「【ウィズ】に見付かったわ! 自浄プログラムが発動する!!」
――――……
〝パターン45〟『失敗』
【APPX-0741】〝自律モード〟『起動』
〝APPX―0741に連絡〟『アクセスを許可』
〝自浄プログラム〟
『開始』
次回からバトルとグロとキモさが増える予定です。
やっとR15らしくなる!……はず。