用語
随時、追加していきます
●ウィズ
パラレルワールドの観察・情報収集を目的に、本編開始より六十年前に極秘裏に作られた魔導器。だが稼働直後になぜかこの世界をパラレルワールドと認識、以後は外部からのアクセスを一切受け付けず、完全に独立した存在としてこの世界を監視し続けている。
情報収集を目的として作られているため、電子機器類や監視ゴーレム、その他情報に関する物を全て掌握している。基本的に元々設定された自身のプログラムに従い稼働しているが、いくつか変化していたり、元々存在しないはずのプログラムも有している。中でも本来はパラレルワールドから迷い込んだ人間を元の世界へ強制転移させるプログラムであった『自浄プログラム』は、今では対象者を抹殺するものへと変貌してしまっている。駒として放浪蟲と月狂蟲という全く新しい生物を作り出して制御下に置いて使役することで、現実世界にも介入と干渉を行っている。
自身の存在が露呈することを極度に嫌い、自身の秘密に少しでも近付く者がいれば、前述の自浄プログラムを悪用して排除する。
・管理者
ウィズへのアクセス権限を持つ者のこと。元々は夜兎たち8人の制作者が管理者であったが、稼働直後からそれは無効になっている。しかし、現在でもウィズは外部に情報を流している節があり、新たに管理者となった者がいると見て、夜兎はその者の正体を探している。
●ムーンライトシティ
沈むことのない月に支配された、太陽の存在せぬ夜の都市。
汚染されたとして、他地域から隔離されている。全体が階層化されており、都市と呼ぶのに相応しいインフラを備えた地上を「セントラル」、それより下の階層は「ブラックスポット」と呼ばれている。都市の周囲に結界が張られており、市外へのアクセス経路はセントラルのどこかにあるとされる一ヵ所のみ。
地下であるのに雨が降り続ける『アンブレラ』や三日に一度しか出現しない地区など、この都市では非常識こそが常識である。
ブラックスポットには階層の上から順に第一コロニーから第六コロニーまでが存在する。下の階層に行くほど治安が悪化していく。中でも最も地下に位置し汚染源にも近い第六コロニーは謎の奇病が流行っており、ここに住むことはすなわち死を意味する。
●統治局
セントラルに本部を構える、国直属の治安維持機関。ムーンライトシティの治安維持全般を任されており、警察よりも上の権限を与えられている。また、放浪蟲や月狂蟲の研究、それにまつわる事件の解決も行っており、魔導士としての局員の実力は警察のそれよりも高い。
局員は特級のSクラスを除き、上から順にA~Eの階級に分けられ、『エージェント』または『捜査官』と呼ばれる。Bクラス以上のものはコードネームを与えられる。
実は上層部のごく一部の人間はウィズの存在を知っているが、なぜかそのことを公にせず、他の局員にすら知らされていない。
●放浪蟲
月光の下で活発に動く、人・蟲・機械が融合したような人間サイズの化け物。妖精態。危険度はレベル1。
六十年前に月狂蟲と共に突如としてこの世界に現れた。意思を持たず、主に群れで行動し人間を捕食する。現在はムーンライトシティの周囲に広がる『砂海』にしか生息していないが、月狂蟲が引きつれてくる形で都市内部に被害を及ぼす。一匹だけならばDクラスエージェントでも対処可能な程度の強さだが、如何せん数と種類の多さ、そして生命力の高さが厄介。現在、十数種類が確認されている。
●月狂蟲
放浪蟲がより人型になったような姿をしている。放浪蟲を統率する存在で、力も遙かに強力。自己再生能力を有するなど、身体能力がハイスペック。捕食器官である『虚枝』と固有の病原体『霧蟲血』を駆使し、人間を狩る。ハイヴなど一部を除き、ウィズの支配下にある。感情の起伏が激しく、総じて精神面や言語能力に難がある個体が多い。脱皮を繰り返し、変生態→完全態または殻生態→老生態へと成長していく。外見が人に近ければ近いほど強力とされ、統治局は『レベル○(○には2~6の数字が入る)』で危険度を評価する。また、人間に擬態し社会に溶け込んでいる個体は統治局から名前を付けられ、駆除の対象となる。それらの危険度はレベルではなく、『○級(○にはSまたはA~Eのアルファベットが1~3文字入る)』で表される。なお同じ級でも、例えばAAA級,AA級,A級と三段階あるが、その場合は文字が多い方がより危険ということである。また、危険度(特に級の方)は個体の強さだけでなく、形態や被害度などを総合的に判断して算定されるため、危険度が高いから強い個体とは一概には言えない。
・変生態
レベル2~4またはB~E級。
ほとんどの月狂蟲はここに属する。
・完全態
レベル5.6またはA級。
人としての意識を保ったまま、放浪蟲に近い生物然とした姿(覚生態)にもなることができる。
1匹だけでもAクラスエージェントを含むチームを壊滅させられるほどの力を持ち、特にAAA級はSSS級と並び、異次元の強さを誇る。
・殻生態
S級。
変生態が脱皮を繰り返すうちに、ごくまれにこの形態となる個体が存在する。体表を硬化させて蛹のように動かず、何もしてこない。
・老生態
SS級,SSS級。
殻生態が脱皮をした形態。虚枝が独自の変質を遂げており(例えば、ハイヴの意志を持ち肉体を構成している虚枝)、月狂蟲として見ても異質な存在である。霧蟲血もトリッキーである。
・虚枝
月狂蟲の体から生成される捕食器官。人間を捕食する際に使用される他、月狂蟲最大の攻撃手段でもある。虚枝の基本的な性質によって月狂蟲は以下の四つの症例に分類されるが、形状は個体によって大きく異なる。
・Seljury
金属質の虚枝が特徴。体に巻き付けるように虚枝が螺旋状に硬化することが多い。四症例随一の高度を誇り、攻撃・防御共に申し分ない。特に近接戦闘で威力を発揮する。この症例の月狂蟲はスタミナも高く、単純な戦闘能力は四症例で一番高い。個体数が最も多く、ほとんどの月狂蟲はこの症例である。
・Psytra
その個体のトラウマを再現した形状を取る(例えば蜘蛛がトラウマならば、蜘蛛を模した虚枝になる)。そのためこの症例の虚枝は、おおよそそれとは思えない見た目をしていることがしばしばである。また、この症例に属する月狂蟲は特に精神が不安定であり、戦闘時に発狂して暴走することが多い。暴走時の瞬間的な戦闘力は、Seljuryすら凌駕する。
・Alterego
左右非対称な虚枝を有する。何よりも最大の特徴は、二つの霧蟲血を有すること。そのためAlteregoとの戦闘時には、他の症例以上に霧蟲血の感染に気を配らなければならない。半面、虚枝自身の硬度はそれほどでもなく、月狂蟲自身のスタミナも低い。個体数が非常に少ない。
・Downpour
硬化と軟化を繰り返す流動的な虚枝が特徴。個体数がAlteregoと同じく希少。形状を変化させることに長けており、戦闘はもちろん非戦闘時でも非常に応用が利きやすい。半面、虚枝自体の硬度が非常に低く、単純な戦闘力は四症例の中で最低クラス。そのため力技ではなく、トリッキーな戦闘スタイルを好む。
・霧蟲血
月狂蟲が有する病原体。同じ霧蟲血は一つとなく、霧蟲血は個体ごとに独自の物である。無論、症状も異なる。感染経路は様々だが、虚枝が皮膚や粘膜に接触することによる接触感染が多い。
●魔力
人間が生まれながらに持つ不思議な力。体内を通ることで肉体のあらゆる能力を強化し、体外へ放出すれば攻撃手段と化す。また魔導書の起動及び魔術の発動にも必須など用途は様々。体外に放出した場合、揺らめく炎のような形状をしていることが多いが、中にはライラのように電撃のようなものを帯びたりと個々人によって異なる。また個人が持てる魔力の最大量は生まれながらに決まっているが、鍛えることである程度の増加は可能。消費すれば一定時間で回復していく。
魔力自体は本来体に有害であり(ウルフ曰く、ドーピングみたいなもの)、許容量を超えると中毒状態になり、最悪死に至る。
●魔導書
戦闘に関する魔術を記録できる魔道具。起動前は身に着けて持ち運びできるように装飾品の姿をしているが、起動させると実体のある本の形で(魔導書によっては別の形で)顕在化する。起動させるには、ある程度の魔力の鍛錬が必要。術式さえ判ればどのような魔術も記録することは可能だが、それらを使いこなせるかは本人の力量次第。修練を積めば魔導書ごとに異なる『固有魔術』が追加されていく。
以下の制約がある。
・魔術を発動する場合は、発動終了時まで記されている該当ページを開いたままにしておく必要がある。
・魔術の効果範囲は最大で、術者の視界360度である。
・一度魔導書を閉じると、次に起動するまで三分のインターバルを要する。
●魔術
魔力を性質変化させたもの。発動には術式の把握・魔力コストと発動条件を満たす必要がある。戦闘に関するものは魔導書も必須。
上級魔術には詠唱が必要なものも多く、その場合は正しく詠唱を唱えなければ100%の力を引き出せない。
魔術の中には扱いが難しく危険が伴うものも多々あり、中でも『時』および『空間』に関する魔術はその最たる例であり、テレポートのような利便性のある魔術を使いこなせるものはごく僅か。26の魔術が禁術指定されており、ハイヴはレイシーを生き返らせるためにそのうちの一つを手に入れようとしている。
・思念術
魔術の中でも特異で、この術を使用できるか否かは完全に先天的な適性に左右される。
『思念花』と呼ばれる発光する魔力の花弁を操作し、それを介して遠方の物を見たり音を聞いたりすることができる。また同じ術者の思念花を有している者の脳内に話しかけることもできる。これらの能力を利用して広範囲に渡る情報の収集・伝達を行う者が『思念術者』である。また、相手の心を読んだり、逆に自分の心を読まれることを防いだりといった芸当も行える。熟練者は思念花を爆発させたり盾にしたりなど戦闘にも参加させることが出来る。
●魔道具
魔力を有した道具。日用品から武器まで様々に存在する。
●魔導器
魔道具よりもさらに精密さを要して魔力で作られた機械。だが製作が非常に難しいため、成功数は片手で数えられるほど。そのためパソコンなどの電子機器類は未だに現役である(セキュリティには魔術を使用しているが)。唯一、一般の普及に成功したのは通信ゴーレムと監視ゴーレムのみである。
・通信ゴーレム
動物を模した手乗りサイズの通信機器。ディスプレイの情報をホログラムとして立体的に映し出せる機能を持っている。安価であり、ブラックスポットの住人でも所持している者が多い。
・監視ゴーレム
監視カメラの役割を果たす。最大の特徴は所有者が遠隔で移動させられること。