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ネットアイドルミーヤ爆誕 and 初めての異世界訪問 その2

 ネットアイドルミーヤのプロモーションビデオを撮り終えたあと、俺は早速取り終えた動画の確認作業に入った。ミーヤにはその間暇だろうからと、俺は撮影報酬のために用意していたコンビニのプリンを一個、ミーヤにあげた。



 ビデオカメラの中で、はにかみながら自己紹介をするミーヤ。シャツの襟からのぞく太ももが素晴らしい。そして、猫耳にカメラが近付いてゆき……エクセレント。

 俺の前でプリンを食べた現実のミーヤが、こんなにおいしいお菓子は初めて食べたと、驚いている。

 この子は何を食べても驚くのではないだろうか。俺は内心そう思いながら、動画の確認に忙しいので、上の空で適当に返事をした。



 動画は十分弱だったので、確認はすぐに終わった。完ぺきである。あとはこれをパソコンに取り込んで、字幕を付けるなどの編集作業をする必要がある。それはまた、後日やろうと思う。



「あの……」



 俺が頭の中であれこれ考えていると、とっくにプリンを食べ終えていたミーヤが声をかけてきた。



「あの、他に手伝えることってないですか?」



 ミーヤはそうに尋ねてきた。



「いえ、もう大丈夫です。本日の動画の撮影は終わりです。また後日よろしくおねがいします」

「い、いえ、こちらこそよろしくおねがいします」



 ミーヤが頭を下げると、猫耳も少し前にペタンとなった。シャツが大きいので、鎖骨のラインまで丸見えになった。



「あ、そうだ、もうその服は着替えてもらってもいいですよ。私はまたトイレにこもっているんで」

「分かりました」



 俺はトイレにこもり、ミーヤは自前のぼろぼろの服に着替えた。ミーヤからシャツをかえしてもらった際、俺はもし収入が入ればミーヤに何か服を買ってあげようと誓った。



「さて、では一つ目の仕事も終わったので、次はミーヤさんに街の案内をお願いしたいと思います」

「はい、まかせてください」



 意気込みを見せるミーヤ。対して俺はかなりビビっていた。



「あの、その前に、何か注意事項はありますか?」

「注意事項ですか?」

「そう、例えば、こういうことをすると、この街では危ないよとか」

「特には……、他の街と大して変わらないと思います。スラムや細い路地には入らないこと。あとなるべく金目のものは他の人に見せないこととか……」

「なるほど」



 俺は財布と鍵の他には何も持たず、身一つでいくつもりである。これなら問題ないだろうと思ったのだけれど、ミーヤから思わぬ指摘を受けた。



「……ただ、タナカさんのその格好は、少しめだつと思います」



 その言葉に俺は驚いた。ちなみに俺の恰好はTシャツにジーンズというごく普通のものである。



「えっと……、その上の服にはみたこともない絵がかかれているので」

「なるほど」



 俺はミーヤの言葉に従い、Tシャツは無地のものに変えた。

 これで本当に大丈夫だろうか、変なトラブルに巻き込まれたりしないだろうか、と不安は尽きない。

 しかし、ここで一歩を踏み出さないと、幸運を無駄にしてしまう。金を稼ぐ絶好のチャンスなのである。

 俺は覚悟を決めた。

 そしてついに、異世界に旅立つ時がやってきた。



「それでは、案内をお願いします」

「はい、任せてください」



 ミーヤが扉を開き、俺は後に続いて、異世界への一歩をついに踏み出した。ちなみに異世界の扉が、先日拾った鍵で閉まることは、もうすでに確認済みである。

 俺は鍵をしめ、街を見渡した。

 西洋風の街並みに、ぱらぱらと歩く異世界の人々。空気が日本より少しだけ、乾いているような気がした。不審者に見られないように、俺はなるべく平静を装った。



 空には地球と同じように、太陽が輝いている。



「えっと、タナカさん。どこか行きたい場所はありますか?」

「そうですね……」



 どこにいけばよいのか、よく分からない。



「とりあえず、商売をするにあたって、なにか事前に知っておくべきところを」



 俺の漠然とした返しにも、ミーヤは分かりましたと返事をした。



「えっと、タナカさんは、もうこの街の商人ギルドには行きましたか?」

「いえ、行ってません」



 というか存在すら知りませんでした。



「そこに行くと何ができるんですか?」

「えっと……、これはご存じだと思いますが、何かお店を出したりする場合には、商人ギルドの登録が事前に必要になります。あと、他にも色々と商売のお手伝いをしてもらえると思うんですけれど……ごめんなさい、詳しいことは分からないです」

「なるほど、ではそこにむかいましょう」



 俺はミーヤに先導され、商人ギルドへと向かい歩き出した。



「ちなみに、その商人ギルドって何時までやっているんですか?」

「えっと……日の入りまでだと思います」



 曖昧と思えるようなミーヤの答えに、俺は一瞬面くらった。

 しかし、そういえば昔の人はそれほど時間に正確に生きていなかったということを、思い出す。

 きっと、この異世界もそうなのだろう。



「なるほど」



 納得した俺は、頷いた。

 他にも特筆すべきものはないかと、あやしくない程度に、周りを見渡す。



「ここら辺に、お店はないんですか?」

「えっと……、ここはどちらかというと裕福な人の住宅街です。お店とかは別の区画になります」

「へー」



 確かにすれ違う人も、イメージにおける冒険者のような人ではなく、どちらかというと商人のようないでたちの人のほうが多い気がする。ミーヤのような獣人に、耳の長いエルフのような人、そしてドワーフと思しき小さな人もちらほら見かけた。ただみんな、異世界クオリティーなのか、非常に美男美女が多い。



 そして特に驚いたのが、荷車をひく大きな亀のような生き物だった。きっと馬の代わりで、あれが魔物のなのだろう。



「タナカさんって、この街に来る前は何をしていたのですか?」



 ミーヤがそう尋ねてきた。何もしてません、とはいえない。



「えっと、適当に行商人的な何かをちらほらと……」

「そうなんですか、それで最近この街にこしてきたんですね」

「はい、そうなです」

「でも、他の街の商人ギルドには行ったことはないんですか」

「あーっと、えーっと、その……商人ギルドのないような小さな村々を回っていまして……」

「そうなんですか……ずっとお一人で旅をされているんですか?」

「ええ、まあ、両親と妹が遠い所に住んでいますけれど、一人ですね」



 そんなこんなで会話しながら歩いていると、目的の商人ギルドについた。



「ここが商人ギルドです」



 ミーヤが紹介してくれたその建物は、二階建ての中々に立派な建物だった。扉の上には天秤のマークが掲げられている。

 ただ奇妙なことに、商人ギルドの周りは余り活気がなかった。商人ギルドの周りにはもっとたくさん、店が並んで人であふれているのかと思ったけれど、確認できたのは古着やと思しき店と酒場だけで、他の建物は扉が完全にしまっていた。加えて人も少なかった。



「今登録しますか?」

「そうですね……でも、登録に住所とか本人確認とかいらないんですか?」

「いえ、特に何も要りません」



 おお、流石異世界。なかなかにおおらかである。



「あ、でも、銀貨一枚かかります」

「え、マジですか」



 早速、壁にぶち当たってしまった。日本円は恐らく使えないだろうし、銀貨は持っていない。というか銀貨とは、中々に古風なファンタジーである。



(しかし、銀貨か……)



「あの、金貨って使われてます?」

「? え、はい、もちろん使われてますけれど……」



 おお、それはすばらしい。その金貨を日本で売れば大儲けできるかもしれない。



「ええっと、では、登録はまた後日でいいです。他のところを回りましょう」

「はい。どこか行きたいところはありますか?」



 そうだな……。とりあえず、異世界で金を稼ぐ方法を考えないといけないし……、現代から持ち込んで上手く行けそうな定番のものと言えば……調味料?



「では、何か食材とか、そういうものを売っている市場のようなところはありますか?」

「市場ですか、分かりました」



 俺はミーヤに連れられ、市場のある区画にむかった。そこは商人ギルドの場所からほどほどに近い場所だった。



「だいたい、このあたりから市場です」



 市場にたどり着いた俺が真っ先に抱いた感想は、意外に人が少ないというものだった。たしかに市場というだけあって、道端にはいくつもの店が並び、人も今までのところ比べれば格段に多い。ただ現代のスーパーを知っている俺からすると、非常に人の数が少ないように思えた。



(それに……)



 俺は市場の中を歩きながら、ちらりと横目で、店の隣に立つ、ごつい男をみた。帯剣したその男性は、近づいてきた客をじろじろと睨んでいる。おそらくその店の用心棒のようなものなのだろう。どの店にも、一人二人、そのような人がいた。



(なんか、おっかないな……)



 用心棒のような人がいることだけではない、店の人も、客も、なんだか表情が硬いのである。かと思えば、時々、買い物客と思しき人の怒号もきこえてくる。

 その時前のほうからおさない男の子が、両手に果物のようなものを抱えて走ってきた。その後ろを、鬼のような形相をした男がおいかけている。



「待てや、糞がき!」



 男の子は必死になって逃げていたが、大人の脚力にはかなわないらしく、ついに捕まってしまった。俺の位置から、ほんの数メートル先で倒れこむ男の子。男の子はそれでも落とした果物を拾おうと必死だった。しかし、そんな男の子に対して馬乗りになる男。そして、



「この泥棒が、死ね! 死ね!」



 大男が男の子の頭を、思いっきり殴っていた。必死になって、手で頭をかばう男の子。

 俺はただ、何もできずに突っ立っていた。



 俺の服の袖をミーヤがつかんだ。ミーヤの顔を見ると、悲痛な面持ちで、少年のほうを見ている。

 やがて少年は、気を失ったのか動かなくなり、男も満足したのかおちた果物を拾って去って行った。

 そして何事もなかったかのように、周りの人は男の子を無視して通り過ぎてゆく。



 俺はあまりの衝撃に、言葉を失っていた。



「あ、あの、タナカさん。行きましょう」

「あ、ああ」



 ミーヤに促され、俺は歩き出した。

 俺も少年を無視して通り過ぎた。

 きっと価値観が現代とは違うのだろう。彼はきっとスラムの子で、彼は食べ物を盗んだ。だからつかまって殴られても、文句は言えない。



 俺はこの異世界が、とても怖い場所である様な気がしてきた。俺はこの場所では何の後ろ盾もない。だからきっと、何かトラブルに巻き込まれれば、あの少年のようにだれも守ってはくれないだろう。



 俺とミーヤが歩いていると、また目の前でどなり声が響いた。客と思しき男性と、店主らしき女性が大声で言い争いをしていた。



「おい、てめぇ。なんだこの値段は! ぼったくりじゃねぇか、ふざけんじゃねぇぞ!」

「はっ。いくらの値段をつけようがそれは私の自由だろう! 嫌なら買わなくて結構だよ、こっちだってね、金よりまだ物のほうが信じられるってもんだ!」



 結構いかつに男性にも、全くひるまない恰幅の良い女性。



「このブラックオーガの肉はね、うちの旦那のパーティーが死ぬ思いして狩ってきたものなんだよ、これ以上はびた一文まけられないね!」



 その店の用心棒と思しき二人が、剣を抜いて客の男性の前に立ちはだかる。男性はぶが悪いと思ったのか、舌打ちをして去って行った。



(怖いよ、異世界の市場スリリングすぎだろ……)



 俺は縮みあがっていた。

 俺はうつむいて、決してその恰幅のよい女性と目を合わせないようにしながら、その店の横を通り過ぎようとした。

 しかし、



「待ちな、そこの亜人間の女の子を連れた兄ちゃん」



 声をかけられてしまった。

 心の中で絶叫する俺。

 しかし冷や汗を流しながらもなんとか無表情を貫いた。

 無視するのも怖いので、立ち止まり、その女性に恐る恐る聞いてみる。



「えっと、私のことでしょうか?」

「そうだよ、あんたのことだ。こっちきな」



 手招きされてしまった。助けを求めてミーヤに目線をやっても、ミーヤは俺を見上げるだけだった。

 俺は、その女性の店の前にたった。両脇を挟む、男性二人がめちゃくちゃ怖い。早くその剣はしまってほしい。



「なんでしょうか」

「ふむ……」



 じっと俺のいでたちを上から下までなめ回すその女性。俺は生きた心地がしなかった。



「……あんたのその服、中々にいいもんだね。とくにそのズボン」

「え? あ、そうですか?」



 上はTシャツだけれど、下はジーパンである。もしかしたらジーパンが高級品に見えたのかもしれない。

 その女性は、俺にむかってにかっと笑ってみせた。



「どうだい、あんたのその上下の服と、ブラックオーガの肉で物々交換しないかい?」

「物々交換ですか?」

「そうさ、私達が狩ってきたブラックオーガ全部とさ。今着替えが今ないって言うんだったら、ぼろを一枚やるからさ、帰りはそれを着て変えればいい」



 ブラックオーガの肉というものがどれほどの肉なのかは知らないけれど、今着ている服を失ってまでほしいとは思えない。というか、売れるのなら物々交換ではなく、きちんとお金がほしい。

 しかし、Noと言えないのが日本人の悪い所である。



「いや、その、ブラックオーガの肉を食べたことがなくて……」

「なんだって、そりゃもったいない。ブラックオーガの肉は脂が多くておいしいんだよ。それに日持ちの魔法もかけてあるから、食べない分は売ればいい。こんな時代だから食べ物はいくらでも高く売れるさね」

「は、はぁ……」



 押しが強い。このままでは負けてしまう。



「待って下さい、ブラックオーガの肉、いくらとですか?」



 そんな時、俺の代わりにミーヤが答えてくれた。さすがミーヤ、でもそれでは交換が前提になっているぞ。



「なんだい、あんたは。私は今、この兄ちゃんと取引をしているんだ。関係がないなら引っ込んどいておくれ」

「関係は、あります。私はタナカさんに雇われているんです」



 ミーヤが力強く反論すると、その女性は舌打ちをした。ミーヤ、すごい。



「あ、あの、ミーヤさん」

「はい、何でしょうか、タナカさん」

「私、ブラックオーガの肉よりお金のほうがいいかなって……」



 俺がこっそりとミーヤにそう言うと、ミーヤは分かりましたと頷いた。



「タナカさんは、ブラックオーガの肉より金貨のほうがいいそうです」

「金貨だって?」



 その女性が眉間にしわを寄せて見てきた。いや、金貨が高すぎるなら、銀貨でも何でもいいんですが……。



「あんまり手持ちの金貨が多くなくてね。どうしても金貨がいいのかい?」

「ええ、できれば……」

「そうかい。じゃあ、金貨三枚でどうだい?」



 金貨三枚。俺は金貨を見たことがないけれど、それが本物の金だとしたら、ものすごい金額になるのではないだろうか。

 驚く俺に対して、ミーヤの感想は真逆だった。



「待って下さい。そんなの話になりません。タナカさんの服はおかみさんも見てわかるとおり、とてもいいものです。それを今の時代に金貨三に枚なんて、ありえません。せめて十枚はもらわないと」

「はっ、十枚だって! そっちこそふっかけすぎもいいところだよ。物の相場ってもんを学んできなお嬢ちゃん、どんなにだせても五枚だね!」

「そちらこそ! 今の……」



 俺はヒートアップしてきたミーヤの肩をたたいた。そして首を振る。

 やめてください、二人とも怖いです。



「あ、じゃあ五枚でいいです」

「タナカさん!」



 声を上げるミーヤ。

 大丈夫、大丈夫だからと俺はミーヤをなだめた。



「……ふん、なら交渉成立だね。金と着替えの布を一枚持ってきてやる。そしたら着替えるんだよ」

「え、ここでですか?」

「ああ」



 その女性が用心棒の男に目線をやると、その男はどこかに走っていた。おそらく金と着替えの布とやらをとりに行ってくれたのだろう。



「……それとね、あんた。大きなお世話だろうけれど、そんな小さな女の子に交渉を任せるって、男としてどうなんだい」

「はい、おっしゃる通りです」

「タ、タナカさんはすばらしい男性です!」



 しょげかえった俺にかわって、ミーヤが必死に反論してくれる。なんていい子なんだろう、ミーヤは。



「あんたがそうやって甘やかすから、その男は駄目なんじゃないのかい?」

「そ、そんなことありません。タナカさんは私を助けれくれました! それに、今回の交渉だって、私が勝手にやっただけです!」



 二人の言い争いはその後も続き、人生ベスト急に居心地の悪い状態で待つこと五分、ようやく用心棒の男性が布を一枚抱えて戻ってきた。



「ほら、これに着替えな」

「えっと、着替える場所とかは……」

「あ?」

「いえ、すみません」



 俺は市場で上と下をぬぎ、パンツ一枚になった。そしてその服をその女性に渡して、代わりに用心棒の男性からぼろい布のような服をうけとった。

 本当にぼろい。でかい雑巾みたいである。



「それとほら、金だ」



 その女性からさんから金貨を五枚手渡された。金色に輝くそれらは、ずっしりとした重さを感じる。これにはどれくらいの金が含まれているのだろう、俺の心は一気に踊った。

 俺は金貨を財布の中に入れて、頭をペコペコと下げ、俺は布一枚で店の前を後にした。

 なんだかすごく疲れたので、俺はすぐさま自分の部屋に帰ることにした。



 帰り道もミーヤに送ってもらい、俺は無事に自分の部屋にたどりついた。

 早く着替えたかった俺は、すぐに部屋に入り、ミーヤも部屋に上げた。

 


「えっと、ミーヤさん。明日は休みにしたいと思います」



 服を着替えた俺は、ミーヤにそう言った。

 明日はさっそく、この金貨がいくらになるか調べなくてはいけない。

 心の中でぐふぐふといやらしい笑みを浮かべる俺に対して、神妙に頷くミーヤ。



 そこで俺は、あることを思い出した。



「ああ、あとこれ」



 俺はミーヤに金貨を二枚手渡した。



「え?」



 差し出された金貨と俺を見比べて、ミーヤは戸惑っていた。



「いや、自分だったら金貨三枚で売ってたので、残りの二枚はミーヤさんに差し上げます。それに今日はすごく助かりました」



 実際、ミーヤがいなかったら。そもそも今この手にあるのは、金貨などではなく、ブラックオーガとかいうよく分からない魔物の肉だったであろう。いや、そのまえにミーヤがいなかったら、一人で異世界探索なんてできなかったか。

 本当に今日はミーヤさまさまである。



「あと、明日も日が暮れる前にきてくれれば、食べ物はあるので」



 ミーヤは差し出された金貨を、おずおずと受け取った。



「……タナカさんは少し、人が良すぎると思います」



 呟くような声で、ミーヤは言った。



 いや、自分で言うのもあれだけれど、決してそんなことはないと思う。

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