第九章 決戦 ―Decisive―
第九章 〜決戦〜 Decisive
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
三人は目の前の光景に絶句していた。
倒壊し、跡形も無くなったビル。
今も燃え続ける車や民家。
ビル風によって発生した多数の炎の竜巻。
あちこちであがる黒煙は今を昼と感じさせないような暗さにしている。
そして何より、上空を飛んでいる五百メートルはあろうかという戦闘機と、
そこから落ちてくる点のような無人兵器に目を惹いた。
「お前らはそこらへんにいる無人兵器は気にせずに戦闘機を破壊することだけ考えろ。
無人兵器は兵装ビルでなんとかする」
「兵装ビルって・・・ただの足止めにしかならないって言ってだじゃねえかよ!」
「・・・飽和攻撃をしかけたが主砲が一基壊れるだけだった。
なら、無理でもさせるしかないんだ。それが俺に出来る最高のことだからな」
もう一度彼は戦闘機を見上げた。
「だが、どうやってあそこまで行くんだ?」
「MWFUWには飛行能力が無い。
三号機はミサイルとレーザー砲での攻撃をするしかないだろう。
一号機、二号機は三号機が重傷を与えて戻っていく戦闘機に乗って直接叩いたほうがいい。・・・かなり危険だが。
その後に二号機がエンジン部分への突破口を開き、一号機が撃って終了だ」
「わかった」
彼は彼との通信を切った。
「聞いたか?」
「ああ」
「もちろんや」
「剣崎。頼む」
「わかった」
三号機は飛行機の迎撃を開始する。
一号機と二号機はもっとも高い兵装ビルで待機する。
「剣崎!」
「わかっている!」
三号機はレーザー砲を彼らに向かって発射するが、かすりもしない。
「城ヶ咲研究員」
「ミサイルでは無理だ。戦闘機自体が吹っ飛ぶ。
エンジンにかするかかすらないかの微妙な度合いを見ないと、戦闘機は帰艦しない。
がんばれ・・・つたない言葉だが、これしか俺には言う事が無い」
「了解」
三号機にミサイルのロックがかかる。
三号機は即座にミサイルを相撃ちにし、回避する。
「がんばれ剣崎!」
「ファイト!」
「・・・子供じみた言い方しやがって」
三号機のレーザー砲が戦闘機をかすった。
二号機が飛び乗る。
「俺のも頼む」
「今のでコツはつかんだ。安心しろ」
三号機のレーザー砲が戦闘機をかすった。
一号機が飛び乗る。
「星名の乗ってたやつが敵の戦闘機に撃墜された。
やつらは容赦しない。気をつけろ」
「わかった!」
一号機がミサイルにロックされたことを告げる。
「ちっ・・・・・・」
ミサイルがミサイルを撃墜した。
「サンキュー!」
「発音の良くない英語など聞きたくない。とくにお前のはな」
一号機が彼に飛び移った。
一号機が彼に向かって機銃を放った。
鋭い音を立てながら、全ての弾は火の海へと消えた。
「二号機が来るまで待て。お前のでは無理だ」
「わかった」
戦闘機の機銃が一号機に向けて発射された。
一号機は戦闘機の甲板を駆け出す。
が、たかだが五百メートルの戦闘機。端はすぐにきてしまう。
一号機は戦闘機から足を踏み外す。
「コクピット?」
彼の下に人の姿が見えた。
「まだ負けたわけじゃねえが、一矢報いてやるか!」
一号機はコクピットのガラスを思い切り蹴った。
数個の小さな塊とガラスの破片が飛び出す。
一号機はすぐさま消え失せた。
「操縦不可能かよ!」
「神上!体勢を立て直せ!直立すれば小規模の被害で済む!」
「操縦不可能だぞ!」
「こういうときこそ根性を使うんだろ!」
「使いたいときだけ使いやがって・・・・・・
曲がれー!」
少しずつ、一号機が回転をはじめた。
「無理だ!間に合わない!やめろ!」
「・・・不可能を可能にするのが根性じゃねえのかよ!」
地上からわずか十メートルの地点で一号機の体勢は整った。
一号機の脚部が嫌な音をたてる。
「脚部の状態からして戦闘機に飛び乗れるチャンスは一回だ。
はずすな」
「わかった!」
一号機が兵装ビルの屋上へと上る。
「落ちてきやがって。高校もそんなふうにして落ちたのか?」
「余計なお世話だ!」
一号機が帰艦しようとする戦闘機に飛び乗った。
乗るのとほぼ同時に三つのミサイルのロックがかかる。
「まかせろ!」
三号機のミサイルはミサイル二機を撃破した。
「はずした!」
一号機が不安定な戦闘機の上でターンをする。
「なにも、お前にしかミサイルの特権が無いわけじゃないんだ!」
一号機のミサイルが最後のミサイルを矢の如く撃墜した。
「行け。あとはお前だけだ」
「OK!」
「聞きたくないと言ったはずだが」
「さあね」
「わかった。帰ってきたらまた殴ってやる」
「・・・のぞむところだ!」
一号機は彼へ飛び移った。
一号機の脚部が今までに無いほど嫌な音をたてた。
「二号機は全ての場所をこじ開けて無人兵器との戦闘に入っている。
あとはお前がそれを破壊すればほぼ終わりだ。
撃ったら一刻も早く出ろ。巻き添えをくらうまえに」
「わかった!・・・というより俺、さっきから『わかった!』ばっかり言ってるな」
「つべこべ言うな!」
一号機は二号機がこじ開けた穴から中へと進入する。
「壊れるんだ!早く!一刻も早く!」
一号機が放った刃は彼のエンジンを見事直撃した。
爆発した確認を取らないうちに、一号機は素早く脱出した。
頭上で何か爆撃とは違うような音がした。
「・・・機能停止か」
すでに操縦室には一つのランプもついていなかった。
「さて、このままスクラップになるか、気絶して生き延びるかは運命にまかせましょうか」
一号機は地面に脚部から激突し、そのまま動くことはなかった。