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第七章 結束 ―Solibarity―

 第七章 結束 ―Solibarity―


「ツッコミどころありすぎやなぁ。この研究所」

 彼女は他の二人と同様、とくにどうということもなく、すみやかに研究所へと運ばれた。

「ツッコミどころって、例えば?」

「まず、床も壁も全部鉄ってセンスなさすぎやぁ〜とか、

 なんで四十代のおっちゃんが研究員やねん!もうちょっと若いのにしろや〜とか、

 なんでこんな可憐な美女が見るからに怪しい男三人に囲まれて生活しなきゃならへんのやぁ〜とか」

「・・・自分で可憐な美女というのはあからさまにおかしいが」

「だってその通りやもんっ。」

 彼女がどんな仕草をしようがおかまいなしに彼は続けた。

「まず、標準語をしゃべったらどうだ?ここは関西じゃない」

「標準語?これが標準語やあらへんのか?」

 ・・・・・・

「生まれと育ちは」

「生まれも育ちもトゥールの首都、大阪や」

「・・・お前の生まれた場所に行って小一時間問い詰めたい。

 お前らは自分達のことをどんな風に思ってんのかと。

 お前らは他の世界を見たことがあるのかと」

「何や渉。行きとうなったら連れてってあげるけど」

「・・・激しく遠慮しとく」

「そういえば、うちらってなんで呼ばれたん?」

 彼らは彼女がここに運び込まれた翌日、彼に呼び出されたのであった。

「さあ。あれ関連だっていうことはほぼ間違いないだろ」

「あれ、と言えば一号機に乗っとったのって、渉なん?」

「そうだが、どうかしたか?」

「渉弱すぎ」

 やはり、純血の関西人だけある。

「・・・お前・・・・・・」

「だって、どんなやつが現れたかと思ったら、猛進してくるだけのアホな有人兵器やもん。

 笑い死ぬところやったわ」

「・・・・・・

 ところでお前、あれの操縦がなんでうまいんだ?」

 彼は彼女と話しているとどうやら不機嫌になってしまうらしい。

「あれ作ったの、うちが越してきた近所のおっちゃん連中やから、

 出来たころに全部見せられてん。操縦も習ったんや。

 だから、あれが隠されていた場所もわかったんよ」

「どうりで」

「これぞまさに人徳っていうやっちゃな」

 彼女が言うこともまんざらではない。


「・・・ついた瞬間に直行かよ」

 三人はそれぞれのMWFUWに乗せられていた。

「ま、結束力を高めるということで、みなさんにちょっとした戦いをやってもらいます」

「バトロワみたいな言いかたするなよ。

 それに結束力を高めるんだったら全員でドミノを並べて倒すとかやりゃあいい話だろ?」

「まあ、ドミノ並べもやろうかなと思ったが、

 MWFUWにそれだけの精密作業をやらせることが出来ないということと、

 何より予算が無いからな」

 彼が口をはさんだ。

「ここで戦闘をするほうがよほど予算がかかるのでは?」

「大丈夫大丈夫。ミサイルとか機銃関係は今ロックしておいてあるから。

 それに、そうしておかないと星名に不利だからな」

「星名のこと微妙とか言っといて、結局はそれかよ」

「うちのこと微妙、やと〜?」

 二号機が格納庫の壁を思い切り蹴る。

「おい。やめろって星名」

「うちのことブサイクよばわりするやつに、苗字など呼ばれとうない!」

 一号機が二号機を横から蹴った。

 抵抗する暇もなく二号機が横に倒れる。

 二号機は自動プログラムによって再び起立した。

「何すんのや!」

「お前が壁なんか蹴って倒壊なんかしたら危険だからな」

「ここは地下だぞ」

「ええい!そんなことどうでもいいんや!」

 二号機が一号機を壁に叩きつける。

 一号機がその場に疲れたように座り込む。

「んだとコラァ!」

 お互いに倒し倒されの戦闘がはじまった。

「ところで城ヶ咲研究員」

「なんだ?」

「なんのために戦闘をさせるのですか?

 ・・・彼らの場合は喧嘩のようですが」

「戦闘っていうより、むしろ喧嘩のほうがいいんだ。

 喧嘩するほど仲がいいってことで」

「それは喧嘩をするのは仲がいいという証拠であり、

 喧嘩をさせれば仲がよくなるという意味ではないと思いますが」

「まあ、とにかくお前達が仲むつまじくドンパチやればそれだけでいいんだ」

「はあ・・・・・・」

 三号機が一号機と二号機の仲介に入る。

「お前らいい加減にしろ。それでも成人を迎える身か」

「「うるさい!黙っとれ!」」

 が、両機に同時に蹴られてしまった。

 三号機が火花を散らしながら停止する。

「お前ら、俺に向かって黙れ・・・だと」

「「その通り!」」

「その言葉、そっくりそのままお前ら二人に返してやる!」

「「臨むところだ!」」

 それから約三時間、格納庫には火花と罵倒、暴言が絶えなかった。


「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 三人は指一本も動かせなくなり、MWFUWから無理矢理引きずり出された。

「はぁ・・・・・・

 若者よ。大人になれ」

「「「矛盾してる」」」

「ま、そこまでシンクロできるなら仲が良くなったと考えていいか」

「「「こいつらと仲が良い?

  反吐が出る」」」

「わかった。お手上げだ」


 彼らが同時に目を覚ましたのはそれから約六時間後だった。

「「「寝てたのか?」」」

「「「それはそうとお前ら一緒に喋るな」」」

 まるで三つ子であるかのような口調だった。

「「「OK。まず渉から」」」

「年甲斐も無く馬鹿なことしちまったな。俺ら」

「もっとも、二十代もいっておらへんから年甲斐も無くっちゅうのは変やろ」

「お前、十代だったのか?」

「よっぽど剣崎の方が十代らしくないやんか。口調とかいろいろ。

 それに渉より大人やしな」

 彼は疑問を抱いた。

「それは落ち着いているってことなのか?老けてるってことなのか?」

「両方や。両方」

「せめて片方にしてくれ。こいつと比較されるとこっちが困る」

「俺もだよ」

 彼女は少し笑った。

「「なんだよ」」

「兄弟みたいやなって思ったから」

「「いい加減にしろ」」

「そういう所なんよ」

 二人は溜め息をついた。

「結局、城ヶ咲研究員の思うがままになったな。マイナスではなかったが」


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