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第五章 休息 ―Rest―

第五章 休息 ―Rest―


 彼は気絶する前とほぼ同じ状態で起きた。

「剣崎龍牙の第一印象・・・最悪。

 少なくともコンビは組めそうに無いな」

 時刻は気絶する前とほぼ変わりなかった。

「そうか、二時五十五分か・・・ん?」

 彼はもう一度時計を見た。

「起きた時間は一時ちょい過ぎ、それから二時間待って気絶させられたってことは・・・・・・

 また十二時間以上寝ちまった」

 彼は椅子から立ち上がった瞬間によろめいた。

「っ・・・腰痛い・・・・・・」


「どうした神上。腰なんかさすって」

 そこには彼らが座って談義をしていたところだった。

「・・・昨日とは大違いだな」

「あの時は初対面だったからな。まさかお前がMWFUWの搭乗員とは知らなかった」

「名前がわかるってことは、ある程度聞いたんだな?」

「そうだ。城ヶ咲研究員から聞いた」

 彼は苦笑した。

「なにがおかしい」

「城ヶ咲・・・研究員か」

「お前に言われる筋合いはねえよ」

 彼は苦笑しながら椅子に座った。

「で、お前らもう午前三時過ぎだと思うが何か食わなくていいのか?」

 彼らはパソコンの時計を見た。

「ここには時計が無いし窓も無いからな」

 彼は思い出すように言った。

「ところでここってどこなわけ?」

「お前らの町のちょうど下だ」

「具体的にどのあたりなのですか?」

 彼はまた苦笑した。

「何がおかしい」

「いや、何でもない。続けろ」

「・・・また殴って欲しいのか?」

「それだけは勘弁」

 彼は彼に向き直った。

「話を戻しますが、具体的にどのあたりなのですか?」

「役所から地下約五百メートルのところにある」

「なんでそんな地下にあるんだ?」

「地上に陣構えてたら狙われてTHE・ENDだ」

 彼はまた質問をした。

「破壊された一号機、三号機はどうなっているのですか?」

「どっちもついさっき出来上がった」

「ちょっと待てよ。もし、全機が修理中の状態でやつらが襲ってきたらどうする気だ?」

「役所周辺にある兵装ビル郡の助けをかりるしかないだろ。

 足止めにしかならないけどな。

 その前にしばらくやつらは来ないだろ。あれだけのことをやったんだからな。

 その分、次に来る時は今までの比じゃないやつらが来るだろうな。

 その前に二号機のテストが引っ掛かって欲しいもんだ」

 彼は椅子から立ち上がった。

「どうしたんだ?」

「お前の知ったことではない」

 そう言って彼は台所へと向かっていった。

「どうしたんだ?」

「少し夜食を・・・と思いまして」

「・・・あのなお前、人と接する態度をそうやって変えるのやめろ。

 嫌われるぞ」

「友達、親友などというのは人間にとって暇を潰すための絆に過ぎない」

「・・・それだからだめなんだ」

 彼はやかんに水を入れはじめた。

「そもそも、お前に嫌われたところで俺にとってはプラマイ0だ」

「ずいぶんひどいこと言ってくれるじゃないか」

 彼はやかんの底を拭いて火にかけた。

「結構几帳面なんだな」

「いくら拉致されてきた場所だからといってガス代を無駄にするのは良くない」

「ガス代なら税金だから思う存分使っていいぞ。水道代も電気代も」

「税金というならなおさらです。ただでさえ苦しい市民の懐を分けてもらってるんですからさらに大事にしなければなりません」

 彼は台所を漁りはじめた。

「なあ、二号機のこと教えてくれよ」

「やだねったら、やだね〜。やだねったら、やだね〜。はこ〜ね〜はち〜り〜の〜は〜んじ〜いろ〜お〜っお〜」

「熱唱しなくていいから。しかも歌詞が間違ってる気がするのは俺だけ?」

「気のせいだ。もし違うなら作者のせいだからな」

「だから作者ってなんだよ」

 誰も答えない。

「シカトするなよ」

「ところでその歌はなんですか?」

「氷川きよしの『箱根八里の半次郎』」

「最新の曲ですか?」

「ニ、三年前だったかな?」

「ということはSPEED解散とほぼ同じ時期ですか」

「いや、SPEEDはもっと前だろ?」

「その頃に聞いた最新の話題はそれだったが。

 なぜかそれをその頃に言ったら大爆笑だったが」

「当たり前だろうがよ」

 彼は彼の前にスナック菓子を置いた。

「どうも」

「それを食べて待っててください」

 彼はそれを横取りしようとした。

 が、あっけなく彼に妨害されてしまった。

「・・・また殴りやがった」

「あいにく、暴力でしか感情表現が出来ない性質でな。

 お前はこれでも食って待ってろ」

 彼は彼に何かを投げた。

「・・・するめ・・・・・・」

「お前だってまだ若いんだろ?あごを鍛えろあごを」

「・・・親父みたいなこと言うなよ」

 彼はそれをじっと見ている。

「交換しないか?」

「まあ、いいが・・・するめの方がいいのか?」

「最近、酒飲んでなかったからな」

 彼は台所に向かった。

 が、またもや彼に妨害されてしまった。

「・・・お前、口と手を一緒にしろよ」

「奇形児にでもなれというんですか?」

「そういう意味じゃない。第一、酒ぐらいいいだろ。酒ぐらい」

 彼はまた台所に向かう。

 が、またまたもや彼に妨害されてしまった。

「国家研究員たる者、酒と煙草と女は禁止すべきです」

「・・・そういう法律ないんだからさー」

 今度は彼に気付かれないように忍び足で行った。

 が、彼に振り向きざまに顔面に肘うちをくらわせられた。

 彼は壁まで一気に吹っ飛んだ。

「・・・てめぇは俺を怒らせた」

 彼は彼に掴みかかろうとする。

 しかし、あっけなくかわされ、、首を絞められた。

「このまま、グキッといきたいですか?」

 彼は彼の手を思い切り何度も叩く。

 彼は背負い投げで無理矢理戻された。

「剣崎龍牙に対する心得その一。逆らうな」

「・・・OK・・・ボス・・・・・・」

 彼の顔が床に突っ伏した時、やかんの水が沸騰した。

 彼は用意しておいたカップ麺にお湯を注ぐ。

「出来ました。あと百六十五秒待ってください」

「OK・・・・・・」

「・・・俺のは?」

「それぐらい自分で作れ」

「・・・ったく」

 彼は彼と全く同じ動作を繰り返す。

「ところで今の、実力の何割?」

「二割九分六厘ってとこか」

「・・・細かいな。まあ、だいだい三分の一ということか」

 彼はひたすらに待つ。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・なあ」

「なんだ?」

「話さないか?何か」

「何も話すことだけが暇を潰すための方法じゃない。

 瞑想なり考え事なりしろ」

 彼は考え事をする。

「そういえば、おふくろどうしてるかな・・・・・・行ったっきり戻ってないからな・・・・・・心配してるだろうな・・・・・・そういえばここって軍の制服とかないのかな・・・・・・あったらかっこつくんだけどな・・・・・・そういえば――」

「考え事するなら静かにしろ。瞑想の気が散る」

「え?俺、脳内でしか考えてないけど。まさか心の声が聞けるってやつか?」

「そんな非現実的なことを言うな。それにお前、あからさまに考え事口に出してるよな」

「そうなのか?」

「今までの十何年か気付かなかったのか?」

「今までの十何年か気がつかなかったってやつだな」

 彼は最後にこうつぶやいた。

「お前、結構優しいとこあるのか」

「は?なんっつった?」

「空耳だろ」

「ま〜たまた〜。そ〜んなこと言ってる時に限って結構良い事言ってたりするんだよな〜これが」

 やかんの水が沸騰した。

 彼はカップ麺にお湯を注いだ。

「・・・お前、カップ麺の表示読んだことあるか?」

「あるぞ」

 彼はお湯を入れてすぐ食べていた。

 もちろん、麺は固まったままである。

「・・・ここに『お湯を入れて三分待ちましょう』って書いてあるだろ」

「知ってるさ」

 カップ麺を通常通りに食べている時にはありえない音が響く。

「普通のことは絶対にやらない。これぞマイ・クオリティー」

「発音悪いな。Qualityだろ?それにQualityは品質っていう意味だぞ」

「細かいことは気にしない。これぞマイ・クオリティー」

「だから、意味間違ってるって言ってるだろ」

 何もかも無視して彼は食べつづける。

 彼は床から再起動した。

「城ヶ咲英、再起動」

「MWFUWの音声パクるなよ」

「もともと著作権は俺にある」

 そういうと彼はまだ百六十五秒経っていないカップ麺に手をつけた。

「まだ早いですが」

「俺は少し固めが好きなんだ」

「俺は固すぎが好きなんだ」

「お前は例外だ」

 ようやく普通にカップ麺を食べる音が響く。

「お前は食わないのか?」

「あと五秒だ」

「・・・細かいな」

 彼は四秒後に食べはじめた。

「一秒早いじゃないか」

「一秒早くカップ麺を食べる。これぞMy Quality」

「自分で意味否定しておいて使うなよ。・・・発音良いのは認めるが。

 それに台詞がかぶってる」

「台詞は黒澤監督が撮る映画に出演している役者のみが使っていい言葉だ」

「ずいぶん古いところは知ってるんだな」

「あの勝進太郎を帰らせた黒沢監督が古いだと?

 恥を知れ」

「実際そうなんですけど」

 彼がまた一口運ぼうとした時だった。

「引っ掛かった!」

 彼は口に含んだ物を撒き散らしながら言った。

「二号機か?」

「その通りだ!・・・だが、やつらが来てないな。

 戦闘以外のときは隠すようにしてあるのに」

「じゃあ、どうするんだ?このままだと乗ったやつに好き放題やられるぞ」

「お前らが行ってとっ捕まえてこい」

「了解」

「・・・りょう・・・かい?」

 彼が少しパソコンをいじると部屋の隣に一人用のエレベーターが表れた。

「それに乗って格納庫に行け。その後は乗り込めばそれでいい。後は俺が指示する」

「いよいよそれらしくなってきたな」

 二人はエレベーターに乗り込む。

「では、御武運を」

 エレベーターが凄まじい勢いで上昇する。

 格納庫に着くまでに十秒とかからなかった。

 二人はそれぞれに乗り込む。

「これから二機同時に地上に引き上げる。Gに注意しろ」

「G?なんだそりゃ」

「飛行機とか宇宙船が急激に上昇する時に発生する強力な重力のことだ。

 体に強い衝撃がかかる。

 用意は出来たか?」

「完了しました」

「いつでもどうぞ」

「MWFUW一号機、三号機、射出!」


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