第十章 終幕 ―End―
第十章 〜終幕〜 End
「あれは終わったのか・・・・・・」
彼が起きてはじめに口にした言葉はそれだった。
「あそこから落ちたわりにはどこも痛くないな。
ま、人生、健康が一番ってか」
彼は素早く布団から出るといつもの場所へ向かった。
「誰もいない」
いささか、普通の表現のような気もするが、彼らのいない部屋はひどくみすぼらしく見えた。
「手紙?」
そこには
「役所の屋上で日の光を浴びてくる。
役所の屋上へは格納庫へ行くエレベーターでさらに上に上がると行ける」
とだけ書いてあった。
「役所の屋上って・・・行けたのかよ」
そこには三人が夕日を見ながら黄昏ていた。
「キモッ」
「何がだよ」
「どう考えてもこの三人が揃って夕日を見てたらそう思うさ」
「どういう意味や。それ」
「ま、深くは考えるな」
彼は彼らと同じように夕日を見た。
「そういえばおっちゃん、これからどうなるん?」
「あれだけのことをやってのけたからなぁ。
MWFUWの戦闘能力が評価されて量産型が作られることはほぼ間違いないだろう」
彼は大して長くも喋っていないのに一息ついた。
「そうしたら、トゥールもズェルダになんとか互角の位置までにはいけるだろう。
それと、数日後にはお前らの表彰なんていうのも待ってるんじゃないのか?
もとはといえば、お前らただの民間人だからな」
「え〜、表彰〜?そんならいろいろ服とか買ってこなきゃならないやん」
「意味無いだろそんなの?」
「じゃが・・・ん?・・・なるほど。
それは服を買っても意味が無いということは、今のままで十分美人やっていうことやな?」
「さあな」
「神上。そこはきちっと否定しておかないとだめだぞ」
彼は何も言わなかった。
「とりあえず、お前らどうする?
このまま軍に入れば即少佐ぐらいになれることはほぼ間違いないが。
それに、何しろ経験者だからな」
「私は入りません。戦場が好きでは無いので」
「俺は入ろうかな」
「なんや。つい昨日まで入りたくないって言っとった人が。
それに、親からは否定されたんやろ?入るなって」
「親に反抗ってことをしてみたかったっていうのも一つはあるが、
俺らが命をかけて守ったこの町を、この国をこれからも守りたいと思ったからな」
「うちはそんな気、全然無かったけどな。
うちは入ろうかな。渉も入ることやし」
彼が茶々をいれる。
「おーっと、渉を追うのか?星名」
「なんか、一応戦友っちゅうことで親しみ持ったからな。
うちがいへんと、軍でも何かやらかしそうやし」
「俺はトラブルメーカーじゃないぞ」
「しそうやって言うとるだけや」
「なんだかんだで星名、結局お前も否定しないんだな」
夕日が少しずつ欠けはじめる。
「その前におふくろに会えるか?」
「おーっと渉、マザコンか?」
「そういうわけじゃねえよ。
軍に入りたいっていうのも言わなきゃならないし、
また打たれなきゃいけないと思ってな」
「せっかくうちが渉のキレそうな台詞を言ってやったんに、スルーしおった・・・・・・」
「ま、人生いろいろあるさ」
彼は彼女の肩に手を置く。
「なんや?抱き寄せようとしとるんか?」
「いや。なぐさめだ。
っていうかそれぐらいわかれよ」
「神上、剣崎、星名。どうやら軍にも入れなくなったようだ」
彼はいきなり大声でそう言った。
「どういうことだ?」
「どういうことも何もそう言うことだ。今までありがとうなお前ら」
「城ヶ咲研究員。星名。それに神上。ありがとう」
「おっちゃん。龍牙。渉。ありがとう」
「俺も言ったほうがいいのか?
・・・お前らありがとう」
その後、何事も無かったかのように彼らは爆風に包まれた。
あとがき
今回はMWFUW、対無人兵器用有人兵器をお読みいただき、誠にありがとうございます。
完成度としてはまちまち・・・ですかね。
それぞれの章に文の量の違いがあったので・・・なんなんだかなー。
ちなみに↑の文章までが過去に書いたものとなります。
某所では既にUPされていますが、再UPということで。
…直す気はないッス。サーセン。