epilogue
全てが終わった後のお話。読び飛ばしてもらっても大丈夫です。
私の部屋の中、ソファーに座っているシエルへと寄りかかる。
感じる柔らかな肌に温もり。語り掛けるように、声をかける。
「シエル」
「なんですか? お嬢様」
「お前は……私の傍からいなくなったりしないよな?」
「当り前じゃないですか、私はお嬢様のメイドですから」
その言葉に私は満足げに頷き、肩を寄せる。感じるシエルのお腹の胎動。幸せの証。
人間との争いも終わり、長い間望んでいた平和な生活。今の私にはシエルがいれば十分だ。たとえ、いつかシエルの寿命が尽きようとも……その命は繋がっていく。
「やっほー!」
「なんだ、テティスか」
「なんだとはひどいねぇ。これでも色々手伝ってあげたのに」
「で、何で来たんだ」
「シエルちゃんの様子を見にね。もうすぐなんでしょ?」
「ああ、あと数週間だろう」
こうやって時折、他の龍達が遊びに来る。全てが終わった今ではそれも簡単なものとなっている。
……数週間後、子供が生まれた。
周りにはテティスやレア達だけではなく、各魔物の長達も集まっていた。
「可愛いですね」
子供を抱きかかえ私へと微笑みかける。
「ああ、可愛いな」
シエルが抱えるわんわんと泣く子供を見て、私も微笑む。
争いはなく、シエルも元に戻り、幸せだけのこの物語。
……もう少し、あと少しだけこの夢想に浸っていよう。