流れ着いた男に記憶は要らない?
12.20 一話に地図追加、その他途中から大幅に話が変わります。読んでくれていた人には申し訳ないです。
http:http://19919.mitemin.net/i221937/
アース大陸の大体地図
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
流れ着いたもの
早朝、まだ薄暗い浜辺を散歩するのがロッテの日課だった。潮の香りを感じながら、砂浜をサクリサクリと歩いていく。もうすぐお気に入りの場所につく、ロッテはそこで朝日が昇るのを眺めるのが好きなのだ。
歩いているうちに、何かが浜に打ち上げられているのが見えた。遠目からすると流木のようだ。形の良い流木は家での飾りに使える、そう思って駆け寄ってみるとそれは人族の男だった。
村人以外の人族を見るのは初めてだ、ロッテは吃驚しながらも、そーっと男のに腕に触れてみる。まだ暖かいし、よく見ると息もしている。ぱっと見た感じでは怪我も無いようだ。
「おーい」呼びかけつつ、頭を突いてみる。
「う…うん」倒れていた男が目を覚ました。
「ここは…?」「いや…それより…」一人でブツブツと言っている。
「無視するなー」そう言って、もう一度頭を突く。
「ああ、すまない」
「アタシはロッテ、あなた名前は?」
「…わからない」
「? 何いってるの?」
「自分の名前や、ここに何故いるのか、全く解らないんだ…」
そんな事があるのだろうか? ロッテにはわからなかった、言葉が出ないでいるうちに朝日がさしてきた。
朝日の中、男の真っ白な髪を見てロッテは確信した。この人は、アタシに精霊様が贈ってくれたに違いないと。それはロッテの大好きな昔話、海から来たツアールという主人公と同じ色だったのだ。
「なるほど、なるほど」
ロッテは男の周りを一周する。服はボロボロで背中と胸に傷痕が見えた、体つきはしっかりしていて、海の男たちにも負けていない。
「精霊さま、感謝いたします」ロッテは小声で呟くと
「じゃあ村にいくよー」と声をかけた。
流れ着いた男
「おーい」
(…ん…)
誰かに頭を突かれている感触…なんだろう…? 目を開けると、しゃがみこんでこっちを見ている女の子がいた。
「ここは…?」
上半身を起こし、辺りを見渡す。砂浜…? 全身はずぶ濡れになっている。それにしてもここはどこだ? 何故こんな事に? そもそも…。
「おーい、無視すんなー」そういって女の子はまた頭を突いてきた。
「ああ、すまない…」
「アタシはロッテ、あんたは?」
「…わからない」
「? 何言ってるの?」
「自分の名前や、ここに何故いるのか、全く解らないんだ・・・」
こんな説明で信じて貰えるだろうか? 彼女…ロッテの様子を伺ってみると、意外にも何やら納得したような顔で頷いていた。
「なるほど、なるほど」
初対面の相手の言うことを信じてくれるようだ。ちょっと乱暴な言葉遣いだが、きっと素直な良い子なのだろう。なぜか嬉しそうにしているのが気になるところだが・・・。
日が昇り、明るくなってきた中で改めて女の子を見る。歳は8歳くらいだろうか?
肩までくらいある金色の髪とやや尖った耳、綺麗な金色の瞳がこちらを見つめていた。
ロッテは、じーっとコチラを見ながら俺の周りを一周すると「精霊様、感謝いたします」なにやら小声で呟いた。
「よし、じゃあ村にいくよー」
「案内してくれるのかい? それは助かる」
「いいんだよ、アタシはあんたの持ち主になるんだからね!」
えっへん! とばかりに腕を組んでそう宣言するロッテ。
「…なぜそうなる?」
「砂浜に打ち上げられたものは、拾った人のものになる。それがルールだってジイちゃんがいってた」
だからアタシが持ち主だ、とドヤ顔である。そういうのものなのか? 記憶が無い俺にはルールなど持ち出されてもわからない…。
「それは生きている人もなのか?」
「当たり前だろー、アタシには死体を集める趣味はないし」
そういう意味では無いのだが…というかそんな趣味のヤツがいるのか? 色々と思うことはあるが、ここに居ても仕方が無いのは確かだ。村に行けばジイちゃんとやらにも話が聞けるだろう。
「とりあえず今のところは了解した」
「なんだかすっきりしない返事だけど、まあいいや」
「あ、そうそう、あんたの名前はツアールで決定ね」
そう言うと、クルリと向きをかえて鼻歌まじりで歩き出した。
「ツアール、か」やれやれ、名づけ親には従っておくとしよう…。