潜入
眠い・・・
神官シルクがもう一脚椅子を準備してくれた
私と巫女様は椅子に腰をかけ神官シルクはベッドに座った
私は単刀直入に自分の記憶を取り戻す為に魔術師グラディウスに会いたい
その為に魔術の間に行きたいと相談し
巫女様と神官シルクはそれほど驚きもしないで聞いて考え出した
「王家のエリアには、本当に限られた者しか入れないです。私も王様からお呼びがかからなければ入る事は出来ません」
巫女様が難しい顔をした
「わたしも同じ様なものだ。月に一度祈りの日だけ入る事が出来るだけだ」
神官シルクもため息混じりに首を横に振る
やはり難しいのか・・・・・
「・・・・・祈りの日に一緒に紛れ込めませんか?」
駄目元で聞いてみた
「そうですねー神官は皆顔を覚えられてるし、そこそこの位の高い人達です。協力してくれる訳が無い・・・・・」
シルクは少し考えて、何か閃いた
「そうか!祈りの日に神官と一緒に騎士も数人王家エリアに入ります。神官を護衛するという名目で」
「協力してもらえるかしら?」
巫女様は大丈夫?という疑いの目で神官シルクを見る
「ええ、大丈夫ですよ。わたしは騎士団には顔が効きますから」
ニッコリ微笑む神官シルクを見て、私はさっきの少年を思い出し赤面し巫女様は冷たい目で神官を睨んだ
な、成程ね、深く聞くまい
祈りの日は3日後だった
その日は侍女の仕事を休みにしてもらい、早朝から神官シルク部屋に向かった
「おはようございます。さあ、コレに着替えて」
神官シルクから出された物は騎士の服と鎧である
着替えてって言われても、正直着方がわからない
服を受け取り鎧は傍に置いて私が困っていると神官シルクはニヤリとして
私の両肩にそっと手を乗せ着ていた侍女の服に沿って手を滑べらせた
ゾクッ・・・・・
顔を首元に近づけ色気たっぷり声で耳元で囁く
「着替えさせてあげましょうか?」
朝っぱらからこの人は
こんな人が神官ってこの国大丈夫かと心配になる
私は顔に熱が集まってきて少し涙目になった
このセクハラ神官を突き放し
「じ、自分で着ます!部屋から出て行って下さい」
「ここはわたしの部屋ですよ?さぁ早く着替えないと」
く・・・こんな奴に助けを求めるんじゃなかった
再び私の服に手をかけようとしたその時
ガチャ
扉が開いた
「まったく、いい加減にしないと神官職首にしてもらいます」
すごい形相で神官を睨む巫女様
あーーーーー素敵すぎです!
私はささっと巫女様の後ろに隠れた
「騎士に変装するのでしたら、コレが必要かと思いまして」
私を見てニコリと優しく微笑み手に持っていた長い布を貰った
これは・・・・・サラシだ
そうですよね、人並みにある胸の膨らみを隠さないといけなかった
神官がわたしがソレを巻きましょうっと言った瞬間
絶対零度の瞳で巫女様が睨み、今でも蹴飛ばしそうな勢いで神官を部屋から追い出した
巫女様に手伝ってもらいながら無事、騎士の服と鎧を着付けた
「ありがとうございます。すみません、なにからなにまで」
私は突然巻き込んでしまった巫女様に感謝と謝罪をした
巫女様は少し悲しげにでも嬉しいっといった表情で
「気にしないで下さい。カリンさんの記憶が戻ればアキラが喜ぶのでしょう?わたくしは今もアキラの仲間ですもの」
一緒に冒険した仲間の絆
なんだか羨ましいな。
私の着替えが終わって部屋を出ると神官シルクもどこかで着替えを済ませて待っていた
昨日とは違い、シルバーの髪を一つにまとめ紺色の羽織を掛けいかにも正装だ
黙っていれば、渋いダンディな神官様なのに・・・・・残念
巫女様と別れて神官シルクと一緒に騎士が待つ場所に行った
護衛の騎士は4人で半分顔が見える兜を被っているが昨日の少年もいるのがわかった
一番体が大きくおそらく偉い?騎士に神官が話かける
「任務ご苦労様です。こちらが神官騎士見習いのカリスです、さぁ騎士長に挨拶を」
と、私を見て促す
そう、私は神官の遠い親せきで神官見習いカリスという事で同席させてもらう形になった
「よ、よろしくお願いします」
頭を下げ挨拶をすると騎士長は少し眉間に皺をよせ軽く頷いた
「今回だけですよ。粗相がない様気を付けるように」
神官シルクはすまないねっといった表情を騎士長にした
その後は案外簡単に王家のエリアに入る事が出来た
こんなのでセキュリティ大丈夫なのだろうか?
神官を祈りの間まで送り届けると祈りの行事が終わるまで基本的には騎士は自由だ
ちなみに祈りの行事は3時間ぐらいある
騎士の待機する部屋もあるが私は目的を果たす為に部屋を出る事にした
騎士長に何処に行く?っと止められたがトイレっと言って誤魔化す
それでも許可を出そうか悩んでいると
「では、僕も行きます」
昨日の少年が一緒に行く言ったので騎士長は了承した
う、気まずい。
二人で部屋を出たがどうにかして少年と逸れないといけない
少年が話しかけてきた
「僕はマロン・シュライド、マロンって呼んで欲しいな」
兜を被っている為表情がよくわからなが口元はニコリと笑っている
「カリス・マクイーンです。よろしくお願いします」
あまり喋ると女だとバレてしまうので短く挨拶をする
どう見ても少年のマロンは神官護衛をするという事はきっとそれだけの実力があるのだろう
もしくは・・・・・コネ?
どうやって逸れようかな
考えながら厠に付くと
「君はどっちに入るの?」
「え?」
驚きマロンを見る、私が女だって事がバレている
クスっと笑っている少年
「神官様に聞いているよ。大丈夫僕が時間稼ぐから行って」
「そうなんだ」
一瞬緊張が走った体から力が抜ける
「あまり長い時間は無理だから急いでね」
「うん。ありがとう」
私は急いで魔術の間を探す事にした
巫女様から大体の場所は聞いていたのであまり目立たないように
コソコソしながら一直線に目指した
マロンの時間稼ぎはカリスとトイレでニャンニャンしていたと報告するそうです凹
頑張れカリン!