BL疑惑
全然BLぽくないでふ・・・・・。
アキラとの約束の日がきた
私は仕事を早めに終わらせ侍女寮に戻ると男でも着ていそうな服装を選び着替える
姿鏡の前に立ち深く深呼吸をして変身の魔法の小瓶の液体を一気に飲んだ
身体が煙に包まれモスグリーンの長い髪の美青年が姿鏡に現れる
髪を一つに束ね、一応自分の身なりを整えチェックして
「おかしくないかな・・・・?」
ハッ・・・・・
これじゃまるでデートに行く前のウキウキしてチェックしている乙女ではないか!!
顔を真っ赤にして恥ずかしくなりワザと自分の服装をわざと着崩して街に出た
約束のお店は街ではわりと有名なお店で繁盛している庶民的な居酒屋だった
場所もすぐにわかり店の前でアキラを待つ
もしかして・・・・・来ないとか?からかってすっぽかすとか?
あってほしいような、そんなひどい事して欲しくないような微妙な心境にかられていた
「あ、イズミさん!」
その声にぴくっと私は反応して辺りを見回すと、道の向こう側から小走りで駆けて来るアキラが見えた
今日もラフな格好で、少し青みがかったシャツに動きやすそうなカーキのパンツ姿と爽やか笑顔だ
これが普通の男女なら、きっとキュンポイントだのだろうが、私は今は男男男男
っと頭の中で呪文のように繰り返し
相談相手相談相手相談相手相談相手
もしからしたら、口でブツブツ言ってたのかもしれない
通りすがりの人が奇妙な目で私をチラ見していた気がする
「早かったですねーさ、中に入りましょう」
ごく自然な笑顔で微笑みかけるアキラに私は複雑な心境で頷いた
初めて来た街の居酒屋はとても賑やかでガヤガヤしており、誰がなんの話をしているのかよく解らない
アキラと私は奥のテーブルに案内され、とりあえずビール的なラージュラというアルコールをアキラが頼むと私もわからないのでそれをお願いした
「実は心配していましたーもしかして来ないかもって」
ははっと笑いながら話すアキラが自分と同じような事を思っていたんだなーと思い可笑しくなって私も笑う
飲み物が早速届き、適当に注文するとアキラと私は乾杯をして
ここに向かう途中に猫を見たとか、国の景気がどうとか他愛のない会話をした
なんだ、やっぱりただの話相手が欲しかっただけかー
少し安心した私は滅多に飲まないアルコールがどんどん進み気が付けは3杯目になっていた
「イズミさん結構いける口なんですね?」
「え?あまり飲まないからーたぶんいけない口ですよぉ?アキラさんビール何杯目ですか?」
「2杯目かな?」
「私3杯目です!かったぁー」
誰も争ってないのですが、酔っていた私は妙な競争心をアキラに向けるとブッ噴き出し大笑いをする
「わかったわかった!その勝負受けますよ!お姉さんお代わり!!」
店員さんを呼んでアキラは2杯目の残りをグイッと飲み干し3杯目のラージュラを受け取りにやにや笑いながら一気に飲み干す
げげ、そういえば、アキラは会社の付き合いとかあるからアルコール強かったな・・・・・
私は一気飲みなんて出来ないですよ・・・・・
結局3杯目の後半にはおなかがパンパンになった私は素直に敗北を認めアキラは結局5杯は飲み干し、会計もアキラがしてくれた
もちろん、払います払いますって言いましたよ!
男同士なんだし、基本割り勘でしょ!?
しかし、誘ったのは自分だからと断固と拒絶されしぶしぶ引き下がりました
ちょっと酔い覚ましに歩くことになり、街をフラフラ歩いていると大きな建物が目についた
「ここ、国立図書館ですよ。最近俺は調べ事をしててここによく来てます」
「へーここが国立図書館なんだ・・・・・」
話には聞いたことがあったけど、見たのは初めてかもしれない
国で一番大きい図書館でありとあらゆる書物があるらしい
一般に観覧できるものとそうでないものあるって言ってたかな?
あまり書物に興味がないので気にしてなかった
国立図書館の表に大きな掛け時計が目につき時間が10時を回っている事に気が付いた
「そろそろ、帰らないと・・・・・」
私の中で浮気疑惑?が晴れているアキラをみると目を細め微笑んでいる
「また、一緒に飲みましょう。いつがいいですかねー?」
「えーと?」
全く断らせる気ないらしい・・・・・半強引にまた3日後の夜の約束になってしまった
まぁ楽しかったしいっかなーっと思い、それではと帰ろう背を向けると
バッと背後から抱き付かれ
耳元で
「また・・・・・ね」
ぞわわわわわわーーーーーーー
体中鳥肌がたち、アルコールが入って赤くなっている顔がさらに熱を持つ
アキラはすぐに体を離したが私はバッと睨みつけると
笑顔で振って見送っていた
なんで笑顔!?
なに!やっぱりBL路線に走ってるのアキラ!?
私は半べそをかきながら走って侍女寮に帰った
疑惑再発・・・・・
もう少しの我慢・・・・・我慢・・・・・




