王子いい人
ほんとに少しだけボーイズラブかすります。
「・・・・・すまない。失礼する」
魔術師グラディウスは俯き項垂れ部屋を出ていく
私はもう止める気力もわかず力が抜けていった
そんな倒れそうな私をエル王子が受け止める
困った顔をして
「大丈夫・・・な訳ないか・・・」
そういうと優しくベットに座らせてくれた
王子は隣に座る
怒り泣いて、しばらくボーっと放心状態だったが
フッと我に返る
早く戻らないと、神官シルクと少年騎士マロンが困る事を思い出した
「あ、私、戻らないと・・・・・」
ぼそっと呟き立とうとすると王子が止めた
「大丈夫だ。魔術師が作った代わりを行かせている。もうとっくに帰ってるさ」
私は思った以上に眠っていたらしい
魔術師グライディウスが私の代わりを魔法で作り鎧を着せて帰したのだ
ちなみにこの部屋はエル王子の部屋のひとつで誰も近づかないように命令しているとの事
「落ち着くまでゆっくりすればいい。帰りたくなったら言え」
王子はそういうと無言で横に座って胸のポケットに入っていたハンカチーフを私に差し出した
こんな高級そうなハンカチーフ洗って返せるだろうか
ぐちゃぐちゃになった顔を拭いてそんな事を考える
はぁー
ため息しかでない
「もう、記憶なんて諦めて村に帰って静かに暮らすのが一番な気がしてきた」
つい思っていた事が口から出ていた
別に王子に聞いてほしい訳でもない愚痴を次から次にぼやく
「第一、ここ3年の記憶しかなかったけど不便しなかったし勇者さんに出会わなければわからなかった訳だし勇者さんだって私に出会ってなければこんな事にならないで姫様と幸せになってただろうし」
出会わなければ・・・・
「たぶん。あそこでお前に出会ってなかったら魔王は倒せなかったっと思う」
エル王子が私をみて呟いた
「なんで?」
首を傾け疑問を投げかけた
「俺たち魔王討伐の旅をして2年間少しづつ強くなってたけど到底魔王にかなう力なかった。お前に会うまではな、アキラがお前と出会った直後から死にもの狂いで強くなって3か月後に魔王を倒した、まさに死闘だったよ」
その時の光景を思い浮かべているのだろう。少し顔が引きつり苦笑いするエル王子
「お前に会うまではどこか控えめで優しい奴だったが、お前に会ってからドSだったぜーもう、俺が何を言おうが却下されてさ・・・・最後には王子だと思って甘えるな!本物の戦士になれって・・・はは」
いやー参った参ったっと頬杖をつき私をちらっと見た
「あいつにはお前の記憶があるんだ。そんなに想っている人をなかった事にしていいのか?」
優しく少し切ないスカイブルー瞳に吸い込まれた
イケメン王子か納得してしまう
頬を染めて目が離せず見つめ合っていると変な空気になる
エル王子の頬杖をしていない方の手が伸びて私の髪を撫でる
これは・・・・マズいです
バッと立ち上がり
「へ、部屋に帰ります!」
私は顔を赤くしてエル王子が見れないので扉に向かって歩いていく
「・・・・・そうか、ちょっと待て。内密に送らせる」
っと私の頭をポンと叩きエル王子は部屋を出ていった
ドキドキ
あれ?
それから使いの者に抜け道を案内され、こっそり城の侍女寮に帰った
次の日も普通に侍女の仕事をこなす
仕事の合間をみて昨日の事を報告しようと神官シルクの所に行った
そして、神官シルクの扉の前
「いや・・・・・あん」
・・・・・・
デジャブですか?
これってダメな奴ですよね?またですか?
私は扉をノックしようかどうしようか固まっていた
け、経験上巫女様みたいに開けることは私には不可能です
ノックしようとした手を下げて
また出直そうと来た道に振り返ると
扉が開いた
「!?」
衣服はみだれ上気した顔の神官シルクが現れた
「ここで開けてくれないと面白くないじゃないですか?」
「はぁ?」
私は思わず失礼とわかっていても軽蔑な眼差しと気の抜けた声がでた
扉の中に視線を移すとそこには案の定マロンがほぼ裸でうずくまってます
これは見れない・・・・
顔を背けようとした瞬間変な物が見えた
ベットの奥に
それは
私?
思わずマロンを無視して二度見してしまった
「な・・・?私が!」
とても可愛いドレスを着ている私らしい人を指さし神官シルクを見る
「あーアレですか?昨日グラディウス殿に頂いた人形です」
とニコニコしながら私を見て薄らと笑う
「興奮しますよーカリンに見られながらするのは・・・・・」
にやりとイヤラシイ顔をして唇を舐める神官シルク
私は赤面し口をパクパクさせながら2・3歩後退りして走って逃げた
いや、違う逃げたのではなく
巫女様を探しに行ったのだ
必死に巫女様を見つけ私の人形の事を半べそかきながら説明すると
鬼の形相で神官シルクの部屋に行き速攻私型人形を粉砕してくれました
はじめっから巫女様を頼れば良かった
うん
二人に昨日の事を一通り説明する
「そうですか、記憶が戻らなかったと」
神官シルクは粉々になった私の人形の残骸を片付けながら言った
「はい。せっかく協力して頂いたのに・・・」
シュンっと申し訳ない気持ちになった
「私たちは別にいいのよ?カリンさん大丈夫?」
美しい巫女様は本当に優しい
私は大丈夫ですといいながらも、記憶を取り戻す手がかりが無くなった事はショックだった
「魔法陣は発動したのよね?何かきっかけがあれば思い出すって事もあるかも」
巫女様に元気づけられて私は仕事に戻る事にした
あの偉そうなエル王子設定はどこに消えてしまったのでしょうか・・・ギャップ萌えを書きたかったのに全然力量が追いつきません。。。無念




