アフター
僕がいなくなった世界で。
念願の手術がおわって、目が、見えるようになった。
私の世界に色が溢れた。
そして、現実を見ることができるようになってしまった……。
ずっと見たかった念願の顔。何度も触って、確認して……でも、実際見るのとは全然違っていたんだね。
ねぇ、やっと知ることができたんだよ?私の目が見えるようになったんだよ?なんで……なんで貴方はそんなところで眠ってるの?起きて、よかったって笑ってよ……。
私を、一人にしないでよ……。
瞳を閉じた彼のとなりで、彼のお母さんは私に泣きながら私に告げた。
「貴方のためって内緒にパーティーの準備をしていて、その為のケーキを買った帰り道で…………交通事故にあったの」
信じられなかった。いや、信じたくなかった。
私のせいとか、なんで事故にあったのかとかより、彼が死んでしまったという、紛れもない事実を。私がひとりぼっちになってしまった現実を。
こんなことになるぐらいなら、ずっと目が見えなくてもよかった。彼が居てくれたなら、それだけで幸せだった。彼がそこに居てくれたなら、それ以上に望むものなんてなにもなかったのに……。
後悔ばかりが私の中で渦巻いて、一向に結論がでない私の心は元に戻ることだけを望んで、手にした光を闇に落とした。
よく知った看護士さんのつんざくような悲鳴と、さっきまで優しかったお母さんの怒号。
やっと手に入ったものを自ら投げ出すなんて、信じられないでしょう?それと同じぐらい、私にはこの現実が信じられないんだよ。
こんな喪失感しかない世界なんて見たくなかったよ。
ヒカリナンテイラナイヨ
バッドエンドみたいになってしまいました…