Blue Sky
匠さんから頂いた「空」で短編書きました。
意に沿う出来になっているかはわかりませんが……
空が泣いている。
誰が初めにこんな表現をしたかは知らないけど、まさにその通りだよ、と僕はそう思う。
だって、今日は土砂降りの雨なのだから。
雨粒の一つ一つが地や、家や、木の葉っぱを叩きつけ、雨の足音が僕の周りで喧しく鳴り続ける。
僕は雨が嫌いだ。ジメジメするし、外出するのが億劫になるのだ。
僕は今時の若い奴の癖に散歩をするのを趣味としている。年寄りくさいと言うなら言えばいい。それでも僕は散歩が好きなんだ。
今日は雨だ。それなのに僕はこうして傘を差して外出をせざるをえない状況になってしまったのだ。
理由は先程届いたケータイの着信メールだった。宛先人は妹からだった。何でも傘を忘れたから学校まで持って来てほしいとのこと。
まったく、アイツは天気予報を見ていないのか? 今朝は晴れていたとはいえ、予報では雨が降ると言っていたというのに、全く。
空を見上げた。
分厚い雲が空を多い、光が射し込む隙間などどこにもない。大粒の雨が僕の頬を濡らし、伝って落ちた雫が地面で弾ける。
きっとあの鈍色で染まった空の向こうには、僕の大好きな澄みきった青い空が広がっているんだろう。
雲がゆったりと流れていく。この調子で鈍色が消え去って青色が混ざり込んで来ないだろうか?
妹が待つ学校へと辿り着く。
そこで待っていたのは──、
妹の笑顔だった。それはまるで、青い空で燦々と輝く太陽そのものだ。