第4話 朝
それはそうとして、魔法は教えてくれるらしいから、いつからやるのか聞いたら、今日からだって。 今日は魔道書読んでおくといいらしい。明日から実地訓練が始まるっぽい。ということをリナが教えてくれた。
取り敢えず渡された魔道書は火・水・雷・風・土だった。初級から上級までの三冊づつ渡されたけど、一冊一冊がブリ○ニカ国際大百科事典や、広○苑のように分厚いと気が引ける。電子辞書みたいになってくれねえかな……。もし持ち歩くとしてもこれ全部持っていくのはきついし。
それを伝えると、リナがすごく爽やかな笑顔に、ガッツポーズをつけて「頑張って下さい!」と言われた。よし、やる気出た。頑張るぞー、おー!(棒読み)
晩飯を食べてすぐに取り掛かったはずなのに、腕時計を見ると、すでに日付が変わっていた(この世界の時間が二十四時間で合ってるのかは知らない)。
用意されたままでぬるくなっていた風呂に入って、もう一度取り掛かって寝る。今日は火属性の下級魔法の発動方法が三十個ほど分かっただけだった。
☆ ☆ ☆
どこの世界でも年寄りの朝は早い。そしてリナも早かった。昨日は寝るのが遅かったこともあるが、寝坊してしまい、早々にリナに叩き起こされるところから始まった。何このラブコメ的展開。
「早く起きてください!今日からやることいっぱいあるんですよ!掃除に洗濯、炊事に薪割り……いろいろあります!!」
「ちょっ……。もうちょい、あと五分でいいから寝かせて。昨日寝るの遅くて疲れてんだよ……」
「だめです。ほら早く起きてください!朝ごはん無くなっちゃいますよ!」
ついには布団の上からマウントポジションでポカポカ殴られる羽目に。だが、俺はその直前には覚醒していた。朝飯がない朝なんて朝じゃない!
「朝飯がなくなるだと……。それはだめだ!朝飯を逃したら何もできなくなる!やる気が起きなくなる!すぐ行くから待っててくれ!朝飯だけは、朝飯だけは、残しておいてくれ!!」
「分かりました。残しておいてあげますから、早く来てください」
必死の懇願をするとかなり呆れた顔をしたリナが俺を見ていた。頼むから俺をそんな目で見ないでくれ。
すぐにでも着替えて行きたいところだが、目の前にリナがいると布団から出て着替えるのが難しい。なんせずっと受験勉強してて運動とかそっちのけだったしな。腹が三段になってるよ。段々畑だよ。
「悪いが、外へ出てくれないか?」
「何かあるんですか?」
「着替えれない。寝巻きのままで行くのはさすがにちょっとな」
そう言って布団から手だけを出して制服をとる。受験だけだからと思ってそこまで服を用意してなかったから、今は制服しかない。布団の中でもぞもぞしているとリナの気配が消えたのがわかった。察してくれたのだろうか。
着替えて急いで布団をたたみ、居間へ行く。そこにはすでにヒルマとリナが待っていた。
「すまねぇ。こんな予定じゃなかったんだが……」
「かまわんさ。年寄りの朝が早いというだけで、以前はリナもこんな感じだったからのう」
「お師匠!そんなこと言わないでください。恥ずかしいじゃないですか」
リナが赤面する。やっぱこういう顔するとリナはかわいいなあ。
朝飯を食べた後、早速薪割りを命じられた。百本はきつくね?