第四幕「海上の都市」
《◇》= 場面転換
〈/ /〉= 通信会話
裂目に潜入したバレラリィ達一行は、森林を抜けた先の王国にて「エルカーノ」と名乗る騎士団長に遭遇した。壊滅インベーダーの情報を聞き込んでみたところ、「エノシガイオス」という海上の都市にゼノンが現れるという情報を手に入れた。
異郷の地での初の大冒険、バレラリィ達に迫りくる危機とは?!
第一章「真珠の眠る碧海・エノシガイオス編」第四幕・開幕
※ この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
『エノシガイオス』それは海上に建つ都市、それは陸とは隔絶されており、世界的に入国が困難な国の一つとされている。だが他国との交流は盛んで、最新テクノロジーなども取り入れられている先進国でもある。
エルカーノ「さぁ、やっと着いた。見てご覧、あの海上に聳え立つ都市こそが… 『エノシガイオス』だ」
バレラリィ「あ…あそこが…」
スラヤ「壮観だな」
シェリルン「で、どうやって彼処まで渡るの?」
エルカーノ「僕達は闇属性の魔法を駆使して移動しているんだ」
スラヤ「闇属性の魔法ならバレラリィも扱えるだろう?エルカーノ、彼にもできるのか?」
バレラリィ「いや、闇魔法で移動なんて聞いたことないぞ」
エルカーノ「それができるんだ、見てご覧」
エルカーノはそう言い、周辺に黒い煙をまき散らし、煙が捌けはじめると彼の姿は無かった
バレラリィ「き…消えた?!」
スラヤ「消えたんじゃない、移動したんだ…… お前の背後に」
バレラリィ「え?おぉっひょおぉお!」
振り向き、驚愕する
エルカーノ「ははっ、これが僕達の移動手段さ。どうだい?気に入ってくれたかな?」
バレラリィ「そ、それどうやってやるんだ!俺にも教えてくれ!」
エルカーノ「分かった分かった、でも闇魔法は使え── あぁ、さっき話してたね」
シェリルン「バレラリィは凄いんだよ!…『火』『水』『風』『岩』『雷』『光』『闇』、7つの属性を全部使えるんだから!」
エルカーノ「へぇ、普通は3つ。多くても4つ程しか扱えない属性を7つも扱えるのかい?」
バレラリィ「まっ… 特化してる奴には負けるけどな… 俺、俗に言う『器用貧乏』なんだ… 色んな事が人並みにできるが、それ以上にはなれない… だからより一層努力してるつもりなんだけどな…」
エルカーノ「7つも一気にやろうとしているからじゃないか?」
バレラリィ「えっ、」
エルカーノ「さっきも言ったけど、一般的に人個人では3つから4つの魔法を使う。だから君もどれかに絞ってやってみるといいんじゃないかな?」
バレラリィ「まぁ結局それが一番なのかもしれないな、ありがとう」
エルカーノ「在り来りな回答だから、お礼なんて要らないよ。さて…じゃあもっと僕の方に寄ってくれ。闇魔法の範囲内に入るために」
スラヤ「都市部に向かうためか?分かった」
三人はエルカーノの近くに寄る
エルカーノ「それじゃあ行こう、都市部へ」
《◇》
バレラリィ「はっ、ここが…!」
スラヤ「遠くから見渡した時よりも尚壮観だ」
シェリルン「昨日居た都市とは全然違うね!」
エルカーノ「さぁ、僕の家はあっちだ、ついて来てくれ」
???「エルカーノ、 また厄介者を連れてきたな」
《◇》
エルカーノ「ここが僕の家だ、入り給え」
バレラリィ「お邪魔しまーす」
エルカーノ「奥の部屋には入らないでくれ、姉さんが寝ているから」
スラヤ「……お姉さんがいるんですか」
エルカーノ「あぁ…まぁ…」
シェリルン「浮かない顔ですが…」
エルカーノ「あぁいや、心配しないでくれ。ただ─ 僕の姉さんは、とある病にかかっているんだ」
バレラリィ「病って?」
スラヤ「おい、これ以上詮索するのは辞めろ。伝える事だって単純な事では無いんだ」
エルカーノ「別にいいよスラヤ、でも正直この話は君達に話した方が良いと思ったら話す事にする。 姉さんの病は『海底の呪い』と呼ばれていて、『海底の造物』という魔物に襲われるとその病にかかる可能性がある、そしてもし発症したら余命は3カ月、例外は無い」
シェリルン「そんな…」
エルカーノ「姉さんの余命は後2週間もない、だから一日でも早く病を治す方法を見つけなければならないんだ」
スラヤ「海底の造物?昨日ゼノンが召喚したかもしれないと言っていた魔物の事か?」
エルカーノ「あぁ、そうだ。もしかすればゼノンなら病を治す方法を知っているかもしれない。どちらにせよ、こんな事をしたゼノン、壊滅インベーダーを絶対に許す訳にはいかないんだ!」
バレラリィ「……ならより一層、奴らを潰す理由が増えたな──」
エルカーノ「取り敢えず、あそこの僕の部屋に入ろうか。そこで話をしよう」
《◇》
スラヤ「さて…これからどうする?」
エルカーノ「ゼノンが来るのは決まって夜だ、夜に襲撃に来る…基本的に毎日だが、昨日は来なかったな… まぁ、だからこの都市を離れられたんだけど」
スラヤ「だが何故ゼノンは此処、エノシガイオスを襲うんだ?確か賜物がどうとか──」
エルカーノ「そう、賜物だ。この都市には賜物がある、それが奴らの目的だ」
シェリルン「まだ賜物が奪われていないのは、エルカーノさんたちのお陰なんでよね」
エルカーノ「まぁそうだね、正確には"彼ら"だけだ…、さて彼女は恐らく今宵も此処を訪れる。必ず僕達で倒そう、今度こそ」
《◇》
エノシガイオスの港、盛んに行商用の船が行き来している
エルカーノ「食事にしよう、海上都市だから海鮮料理が有名なんだ」
シェリルン「でしょうね…」
???「どうしたエルカーノ?昼の巡回はサボりか?」
バレラリィ「アイツは?!」
エルカーノ「オーケアノス… 見てわからないのかい?客人だ」
オーケアノス「客人?知るか、都市の防衛の方が大事だ」
〚オーケアノス〛
エルカーノ「今日は日曜日、巡回は無しだ」
オーケアノス「だから何だ?いくらお前が騎士団長の肩書を持っていたとしても、それを無条件で取り消す権利は無い」
エルカーノ「……悪かったよ。済まないね、僕のオススメのレストランを紹介しようと思っていたんだけど…」
スラヤ「俺たちはいい、都市の防衛の方が重要だ」
エルカーノ「済まない、それじゃあまた後でね」
そう言い残し、エルカーノはオーケアノスと共に巡回に行った
バレラリィ「さて、俺達だけでどうする?」
シェリルン「じゃあさっき途中で見つけた居酒屋に行かない?美味しそうな鳥串を見つけたんだよ〜─」
スラヤ「では昼はそこにするか」
バレラリィ「昼から居酒屋って── ふっ、まったく…」
《◇》
バレラリィ「三人ともお茶でいいか?」
スラヤ「俺はそれでいい」
シェリルン「私も良いよ。それと後、このお店で一番有名な鳥串を!」
店員「かしこまりました」
シェリルン「バレラリィとスラヤは何も頼まないの?オツマミ」
バレラリィ「シェリルンの分けてくれよ」
シェリルン「やだ、あげないよ!」
スラヤ「食いしん坊だな」
シェリルン「は?」
バレラリィ「じゃ俺達は枝豆を頼むか」
スラヤ「そうしよう」
シェリルン「もーう…」
《◇》
エノシガイオスの路地裏
エルカーノ「で、何が目的だ?」
オーケアノス「なんの事だ?」
エルカーノ「巡回、君はそう行った。でも来たのはこんな人気のない路地裏。何か話したいことがあるんだろ?」
オーケアノス「鋭いじゃないか、ならば教えてやる。お前が死に物狂いで探している『海底の呪い』の治療法を発見した」
エルカーノ「なんだって!すぐに教えてくれ!」
オーケアノス「落ち着け… 今教えてやる、『ティターン神殿』と呼ばれる神殿に行け。そこにいる海底神を倒せ、そうすれば『海底の呪い』を消滅させられる」
エルカーノ「しかし、そんか情報どこで手に入れたんだ!」
オーケアノス「ゼノンからだ」
エルカーノ「はぁ?ゼノン自身が…?なんのつもりで?」
オーケアノス「さぁな、だが…奴はお前の弱み、すなわち姉を狙ってくるだろう」
オーケアノス「ゼノンが都市を襲撃してくる時、毎回お前が足止めをしているからな」
エルカーノ「ならゼノンの発言は嘘だ、僕の姉さんを狙っているのなら、病を治す術を奴が教えるはずがない」
オーケアノス「どちらにせよ行く価値はある、海底の造物の出現の全てがゼノンによるものでは無い、ティターン神殿。そこからも一定数出現してくる」
エルカーノ「ならば海底神もゼノンと同じ召喚魔法を使っているんだろう… そんな事はどうでもいい…」
オーケアノス「おい!もし本当に奴の発言が正しかったのならお前は自らの手で病を治す手段を断つ事になるんだぞ!」
エルカーノ「いいさ… どの道必ず最初にゼノンは殺す、それでも治らなかったら… その後考えよう。"いいだろう?"」
オーケアノス「………好きにしろ…」
『第四幕・完』
長期連載の予定なので気長に待っていてください。
是非とも評価お願いします!




