第一幕「選択」
《◇》= 場面転換
〈/ /〉= 通信会話
魔力が当たり前にある世界、しかし突如空に「裂目」が出現し、世界を侵食し魔力を消失させた。
第一幕ではそこに行き着くまでの序章を執筆しています。
※ この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
物音1つが大きく反響する暗き地下牢、そして壁に規則的に設置された松明が辺りを照らす
アディート「…………」
アディートはあぐらをかき、牢屋の中で沈黙している
〚アディート、□□□の囚人〛
看守「おい、尋問の時間だ。出ろ!」
看守はそう言い、荒い手つきで牢屋の古びた扉を開ける
アディート「っち…」
看守「さっさと出ろ、時間が勿体ない!」
牢屋の古びた扉が名状しがたい音を立てながら開閉する、看守はアディートを睨めつけながら怒鳴りつけた
アディート「はぁ…はぁ…あぁぁぁぁぁぁぁ!」
アディートはその太く鍛えられた拳で看守を殴り飛ばし牢屋から脱走する
看守「っち!脱走だ、捕えろ!」
《◇》
アディートはあらかじめ練った逃走ルートから地下路の出口にたどり着いた。空は暗い雲で覆われ辺りは質素な風景、地面には手入れしていない草木が茂っている
アディート「はぁ…はぁ…、ここまで来れば……」
ハリュオーン「まったく…烏合の衆を沈めたと思えば、次から次へと……厄介者は絶えませんね」
〚ハリュオーン、???〛
アディート「 っ!(ヤコブの大玖頭領、なぜここに…!)」
アディート「あぐあぁぁぁぁあ!!!!」
次の瞬間、アディートの全身から血が噴き出し倒れる
ハリュオーン「永眠をあなたに乾杯」
雨が降り出す。ハリュオーンは左手を前に出し、手の平から紫色の液体を垂らしす。
ハリュオーン「はぁ…今日はついていないようですね。まぁ、それも悪くありませんが」
ハリュオーンは右手で前髪をかき上げる
ハリュオーン「さぁ…幕引きのようですね。憎悪の浄化は済みましたので、これにて私の任務は終了です」
《◇》
「魔法専門高等学校・1年3組」
教師「で、あるからして──」
バレラリィ「あぁ…授業だるぅ…」
〚バレラリィ・シャドウ〛
教師「炎属性魔法を扱うのに必要な魔力と元素の割合は……えぇ、ここをバレラリィ。答えられるか?」
バレラリィ「……」
シェリルン「ちょ、呼ばれたよ…!」
〚シェリルン〛
バレラリィ「え?あぁ…」
教師:「答えられないか?」
バレラリィ「あぁ…割合は…7対3です」
教師「正解だ」
シェリルン「何でわかんのよ…」
教師「炎属性は元素のエネルギーが強力な為、魔力の割合を高くする事で魔力と元素の完璧な調和をとる事ができる」
スラヤ「シェリルン、炎属性の魔法を扱うのは高等からだが、魔力と元素の割合は既に中等で習っているはずだが…」
〚スラヤ〛
シェリルン「えぇ、そんな前のこと覚えてないよ!」
『ドォーン!』
遠方にて爆発音が鳴り響く
バレラリィ「なんだ…?!」
高等の外では上空に巨大な裂目が開いており、無数の魔力の弾幕が落ち、都市は壊滅的な被害を受けている
バレラリィ「こんな一瞬で…一体なにが…!」
「海底の造物」フェロシティ「ヒャァァァ…!」
造物は教室の扉を破壊して入室し、生徒たちを威嚇をする
〚「海底の造物」フェロシティ〛
生徒A「わぁ、魔物だ!」
生徒B「きゃぁー!助けてー!」
バレラリィ「下がってろ、ここは俺が!」
「海底の造物」フェロシティ「ヒャァ…シャァァア!」
【バレラリィに接近する】
バレラリィ「灼熱…バーニング!」
バレラリィは左手を右から左になぎ払った、しかし何も起こらない
「海底の造物」フェロシティ「ヒャァ…シャァァア! 」
造物はバレラリィに接近する
バレラリィ「(くそっ!なんでだ、魔力が…魔法が使えない!どうして…まずい!殺られる!)」
「海底の造物」フェロシティ「 ガァーサァーー!」
造物は無数の水滴になり消滅する
バレラリィ「っ!」
ノフィア「少しばかり…腕が鈍っかな、大丈夫か?少年」
バレラリィ「あ…あなたは?」
ノフィア「私はノフィア、裂目内部から来た神滅教の剣士だ」
〚ノフィア、神滅教の剣士〛
バレラリィ「裂目って…」
ドォーン!
各地に魔法の弾幕が落ちる
ノフィア「詳しい話はまた後にしよう、さらばだ」
次の瞬間、ノフィアは姿を消した
バレラリィ「ちょ…」
スラヤ「彼女は… バレラリィ、大丈夫か?」
バレラリィ「あぁ…、何とかな。あの人のおかげで助かったぜ…」
シェリルン「あの人、ノフィアって名乗ってたね。しかも斬撃に魔力を纏わせてたようにも見えた…」
バレラリィ「え?それって普通じゃ、いや…もしかしてお前たちも魔力が使えないのか?!」
スラヤ「あぁ、先程から使えなくなっているな」
シェリルン「私も私も!」
バレラリィ「先生や皆もか?」
教師「えぇ、そのようですね」
教師や他の生徒も不思議がったようにまわりを見渡す
バレラリィ「だがあのノフィアって奴は斬撃に魔力を纏わせて、あの魔物を倒した… アイツは一体何者だ?」
スラヤ「彼女は裂目内部から来たとも言っていたし、この世界の人間でないことは確かだ」
シェリルン「別世界の人間…、これって本当に現実なの?夢とかじゃなくて?!」
スラヤ「落ち着け、いかなる状況でも冷静さだけは忘れてはならない」
シェリルン「わ、分かってるって!」
バレラリィ「取り敢えず、ここで立ち止まっていても何も始まらない、俺はレッドさんに連絡してみる。何か情報が掴めるかもしれない」
スラヤ「あぁ、頼んだ」
教師「魔物が都市に潜り込んで来ているとは…君達は危険だから、絶対に外には出るな!私は他の先生たちと状況を把握してくる」
生徒C「先生も危険ですよ!」
教師「私は教師だ、いかなる事態でも…私が先陣を切り、君達に状況を伝える義務がある。分かってくれ」
先生C「でも…」
教師「心配するな、私は必ず戻って来る」
教師はそう言い残し、教室を出る
スラヤ「どうする?」
バレラリィ「こういう判断はお前の方が得意、そうだろう?」
スラヤ「…俺は…」
沈黙が続く
スラヤ「俺は… 分からない… この状況で何をすればいいのか…助けが来るまで待つか、それとも外に出て応援を呼ぶか」
シェリルン「でも、見て。外には大量の魔物がいる、魔力無しで魔物には勝てないよ…」
シェリルンは教室の窓の外を指差す
スラヤ「っ…先程の剣士が魔力を使えた理由はなんだ…何らかの遺物かアーティファクトで無効化しているのか…それとも──」
バレラリィ「取り敢えず、俺はレッドさんに連絡してみる。何か情報が掴めるかもしれない」
シェリルン「えぇと…レッドさんって誰だっけ?」
バレラリィ「俺の家の近くで鮮魚店を営んでいるしがない爺さんだ、でも以外と専門的な知識も持っている研究家でもあるんだ」
バレラリィ「よし、やっと繋がった…レッドさん、大丈夫ですか?」
〈/レッド/〉「おぉ、バレラリィか、こっちは大丈夫だ。俺は近くの避難所にいる、お前は大丈夫か?」
バレラリィ「あぁ、それで…この事態について何か知ってることはないか?何でもいい、頼む」
〈/レッド/〉「さっき騎士団の人たちが物資を提供しに来たときに聞いたことがある。「この騒動の主犯は聖都北部にいる『ゼノン』と名乗る人物による犯行」だと言われた」
バレラリィ「ゼノン?…他には何か情報は?」
〈/レッド/〉「そうだな…そういえば、辺りを襲撃している「海底の造物」も、ゼノンにより召喚された魔物だとも言われていた」
バレラリィ「つまり、そのゼノンって奴がすべての元凶か…一体何故こんな事を…」
スラヤ「何と言われた」
バレラリィ「『聖都の騎士団にゼノンって奴が裂目を開いて、街中に魔物を召喚した』って」
〈/レッド/〉「 お前も早く避難しろ。その様子ならまだ避難できていないんだろ?…手遅れになる前に、早く!」
バレラリィ「分かってるって。じゃ またかけ直すからな」
〈/レッド/〉「ちょ、ま─t.─」
通話が切られる
スラヤ「電話が繋がったということは、通話システムはまだ生きている。この方角から丁度北か」
バレラリィ「レッドさんは北部にゼノンがいるって聞いたそうだぜ、もしかすると──」
スラヤ「あぁ、その騎士団からの伝達は正しいようだな」
シェリルン「遠くから一方的に攻撃して観戦しているなんて…なんて卑劣なの!」
バレラリィ「取り敢えず… 北に向かうぞ」
スラヤ「待て。先程の剣士と同様、裂目から来た人は俺たちと違って魔力が使える…下手に戦っても犬死にするだけだ」
バレラリィ「たとえ俺は徒労に終わってもいいと思っている。お前は、やられたままで良いのかよ?!」
スラヤ「判断を誤るな、お前のその無謀さが…命に繋がる」
バレラリィ「っ……………分かった。認めるよ、お前の判断が正しい」
スラヤは満足気にバレラリィを見つめる
バレラリィ「だけど…無謀だって分かってても…やらなくちゃならない時があるんだ!」
バレラリィ「俺は俺の道を歩む、手出しは無用だ。」
『第一幕・完』
長期連載の予定なので気長に待っていてください。
是非とも評価お願いします!




