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ツアーファイナル - 後編 - いまここで、完成する歌

 ♦︎ステージへの帰還 ― 一体の響き


 光は歌いながらゆっくりと、中央のピアノへ。

 椅子に腰を下ろし、ピアノを弾きながら観客に声をかけた。


 「みんなの声、聴かせて。

 歌詞わからなかったら、“ラ〜”でもいいからね。」


 笑いと歓声、そして歌声がうねりとなり、ホール全体を包み込んだ。

 光も笑いながら声とピアノで和音を重ね、最後の音を響かせた。


 拍手と歓声が渦を巻き、ホールが震えた。


 ⸻


 ♦︎いまここで、完成する曲


 光は息を整え、マイクを握る。

「次が最後の一曲。……このツアーを忘れないために、ひとつ曲を作ってきました。

 まだ名前はないんだけど、聴いてください。」


 すべての照明が落ちていく。

 その中で、ピアノを照らす灯だけが、静かに残った。


 その雰囲気だけで、自然とホールに静寂が訪れた。


 ピアノの音が、旅の始まりを思い出させるように流れ出す。柔らかな旋律がホールに響く。



 光は目を閉じて、静かに歌い出した。


 ~~~~~~~~~

 この旅でいくつの街をまわっただろう

 弾いて歌って 出会いを重ねて

 どの街でも 何かが起きて笑ったね


 いろんな人の声を聞いて

 一緒に笑って歌い合って

 夢のような

 ずっと楽しい旅だった


 小さな子が拍手してくれた日

 おばあちゃんが涙を拭いた日

 そして 声が出なくなった日

 あの日はみんなが歌ってくれた

 ~~~~~~~~~



 ホール全体が息を潜める。

 そのとき、客席の隅で小さな光が灯った。

 一つ、また一つ。

 気づけば無数のスマホライトが輝き、ホール全体が夜空のように瞬いた。


 ――誰かが、そっと呟く。

「まるで、星空みたい」



 ~~~~~~~~~

 それぞれの場所で 生きてる君へ

 どうかあの日を 覚えていてね

 離れていても みんなはひとつ

 僕らは決して 一人じゃない


 あのとき交わした笑顔のままで

 あの夜がくれた奇跡を抱いて

 ずっとみんな友だちのままで

 またいつか こうやって会おう

 ~~~~~~~~~


 光は間奏部分のピアノを弾きながら、ゆっくりと目を開く。


 目の前に広がる星空のような景色を見て、すこし驚きながらも涙ぐむ。


「……この光景、いいね。

いま、最後の歌詞が決まったよ。

簡単なフレーズだから、みんなで一緒に歌おうか。」



 そして、光はそっとそのフレーズを口にした。


 ~~~~~~~~~

 星空の下に また集まろう

 ~~~~~~~~~


 光がもう一度繰り返す。

 会場全体がひとつの空になり、

 歌声が再び重なる。


 ~~~~~~~~~

 星空の下に また集まろう

 ~~~~~~~~~


 嗚咽と笑いと涙が入り混じる。

 光は最後のフレーズを、もう一度だけ静かに歌い上げた。


 ~~~~~~~~~

 星空の下に また集まろう

 ~~~~~~~~~


 ⸻


 音が途切れる。

 一拍の沈黙。

 そして――


 爆発的な歓声と拍手が湧き起こった。

 泣き叫ぶ声、笑い声、名前を呼ぶ声。

 そのすべてが、祝福のように響いた。


 ⸻


 雪はビデオカメラを構えたまま、涙を流していた。

 (……こんなすごい光景、想像したこともなかった…)


 アリーナ全てが光っている、まるで星空のような目の前の景色。その真ん中で、光が笑う。

 その顔は、音楽室で弾いてた時の少年のように無邪気な笑顔なままだった。


 詩音が呟く。

 「……やっぱり光さんは、未来を変える人ですね」


 マリ姐は苦笑しながら、涙を拭った。

 「限界って言葉、もう存在しないのかもね」


 ⸻


 ♦︎爆弾発言


 喧騒を破るように、光が笑う。

 「ねぇ今日はこれで終わりなんだけどさ……次は――全国ドームツアーとかしたいよねーー!!」


 観客が一斉に叫ぶ。

 「うそでしょ!?」「ヒカリーーー!!!」

 SNSは瞬時に沸騰し、トレンド上位は“光”で埋め尽くされた。


 ⸻


 ♦︎舞台裏


 光「いやー、楽しかった!」

 雪が水を差し出す。「お疲れさま」

 詩音「やっぱり光さんは、未来を変える人ですね」

 マリ姐「終わったと思ったのに!!もう次の地獄が始まってるじゃない!!!!」


 それでも、誰も止めようとは思わなかった。

 この夜を見た以上、もう止める理由などなくなっていた。


 ⸻


 ♦︎ナレーション


 あの夜、ステージと客席のあいだにあった“境界”は、音の中に溶けた。


 “危険”を恐れ、“安全”を求めて作られた時代に、

 ひとりの音楽家が“信じる”という危険を選んだ。


 それは無謀ではなく、限りなく優しい反逆だった。

 彼を信じ、彼に託した仲間たちが、その危険を“自由”へと変えた。


 五千の光は地上の星空となり、

 世界は、ほんの少しだけ新しい色を知った。


 そしてこれが――

 チーム光の伝説の、本当の始まりだったのだ。

ツアーファイナル、楽しんでいただけたでしょうかd( ̄  ̄)

なかなか気にいる出来にならず、20回くらい書き直したかなぁと思います。


もし楽しんでいただけたなら、ブクマ・評価をいただけると今後の執筆の大きなモチベーションになります!


よろしくお願いいたします!

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