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詩音ママからの忠告

 初日の大成功から数日後。

 東雲家の応接間には、光と詩音、そしてマリ姐の姿があった。

 壁には格式ある家紋が飾られ、並べられた紅茶と菓子の香りが、場の緊張を和らげることはなかった。


「まずは、初公演の成功、おめでとう」


 上品な微笑みを浮かべながらも、詩音ママの声には硬い響きがあった。


「――実は、私のところにもすでに複数社からスポンサーの話が来ています」


 光とマリ姐が思わず視線を交わす。

 詩音ママは紅茶を置き、静かに手を組んだ。


「本日お呼びしたのは、その話を紹介するためではありません。

 スポンサーを入れて進めたいのか、それとも入れずに進むのか。

 その意思を、東雲家の次期当主としての詩音に確認するためです」


 詩音は背筋を正し、真剣な眼差しで母を見つめた。

 その瞳に応えるように、詩音ママの言葉が鋭さを増す。


「その答えを聞く前に――一つだけ伝えておきます。

 安易に大金を掴むと、その重さを扱いきれず、必ずどこかで怪我をします。

 資金もスポンサーも、ただ集めればいいというものではありません。

 “望む未来を作り出し、なおかつプラスを出す”――その覚悟がなければ、お金に飲まれるだけです」


 詩音は胸に手を当て、力強く頷いた。

「はい、お母様。肝に銘じます」


 光は苦笑しながらも、素直に言った。

「……スポンサーねぇ。俺、ファンの前で自由にピアノ弾いて歌えればそれでいいんですけどね」


 マリ姐が肩をすくめる。

「光の気持ちはわかるけど、何か大きなことをするには資金が必要なのも現実なのよ。それに初日の映像は配信した後、今現在も拡散し続けてる。」


 詩音ママは二人を見渡し、やがて紅茶を口に含んだ。

「――だからこそ、今日の答えが必要なのです。

 スポンサーを受け入れるのか、拒むのか。どちらにしても、その覚悟を持ちなさい」


 応接間に重い沈黙が落ちた。

 詩音の胸に、母の言葉は鋭く突き刺さっていた。


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