チケット抽選結果発表と、仲間たちの様子
数日後。いよいよ抽選結果が発表された。
ファンたちはスマホを握りしめ、祈るように画面を見つめる。
『当選しました!やばい、震えてる……』
『初めて光くんに会える、夢が叶う……!』
『やった、友達と二人で参戦決定!!』
歓喜の声がSNSに溢れる一方で――
『落選……死んだ』
『全滅です。現実が辛すぎる』
『応募したの10枚全部ハズレって何!?』
『当選確率0.1%とか聞いたけど、これ宝くじじゃん』
喜びと絶望が入り乱れ、タイムラインは修羅場と化した。
「#当選」「#全滅」「#光チケット戦争」が同時にトレンド入りするという前代未聞の事態となった。
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裏側:光と仲間たち
その頃。
光は配信ルームのソファにだらりと座り、頭の後ろで手を組んだまま、目の前のノートPCを覗き込んでいた。
「セトリどうしよっかなぁ……」
隣には、専属となった黒川遥。
同じ画面を見ながら、真剣な表情でメモを取っている。
「そろそろ曲順を決めないと。リハーサルの進行にも関わります」
光が思いつきで鼻歌を歌い、軽くリズムを刻むと、遥はすぐに手元の譜面に落としていく。
「オープニングは派手めがいいよね。で、途中でアコースティックに落として……あ、アンコールはどうする?」
「また即興をやる気でしょう」
「バレた? だってその方が盛り上がるじゃん」
「……観客は盛り上がりますけど、裏方は毎回バタバタですよ」
遥は淡々と釘を刺すが、光はにこにこと笑うだけだった。
⸻
その横で、雪は静かに動いていた。
机の上には温かいお茶、加湿器のスイッチを入れ、のど飴を小皿に並べる。
「……喉、乾くでしょう」
「ありがと雪!」
光は笑顔で受け取り、飴を口に放り込む。
その何気ないやり取りに、雪は心の奥がじんわり温かくなるのを感じていた。
彼女は表に立つことはない。
けれどこうして光が全力で音楽を届けられるよう、見えない部分を少しずつ整えていく。
チケットに落ちて涙を流すファンがいる一方で、彼の隣で当たり前のように世話を焼けるのは自分だけ――。
その事実が、申し訳なさと誇りを同時に胸に宿らせた。
雪はそっとカップの湯気を見つめながら思う。
(……本番でも、ちゃんと支えられますように)
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