全国ツアー決定シーン
「チャンネル登録者数、今日だけで一万人増加!? 需要予測が完全に狂いました!」
「東京ドーム級の会場にまで問い合わせが殺到してます! でも……」
「全部、規制で弾かれました。“男性アーティストを数万人規模で入れる前例がないから不可”とのことです!」
会議室に沈黙が落ちた。
マリ姐は分厚い資料を閉じ、重苦しい声で告げる。
「……どう調整しても、大規模会場でのライブは無理です」
詩音が息を呑む。
「そんな……」
「なので……まずは全国各地の小規模ホールで、“ピアノ1台の弾き語りツアー”からスタートするしかありません」
申し訳なさそうに告げるマリ姐。
「本当に、ごめんなさい。資金があっても、制度と世論が壁になってしまって……」
だが、光は首を振り、にこりと笑った。
「いいじゃん、それ」
「……え?」
「むしろ小さい会場の方が近いしさ。お客さん一人一人の顔が見える方が楽しいと思うんだよね。
大きな会場だと遠すぎて伝わらないこともあるし」
詩音は呆気にとられ、マリ姐は机に突っ伏しそうになった。
「……あなたって子は……」
しかし光は全く意に介さない。
「あとさ、せっかくだから全部配信もしようよ。チケット取れなかった人も見たいでしょ?」
マリ姐は椅子を鳴らして立ち上がった。
「そんな大規模同時配信なんて前例ないんです! 全国全部!? 設備も人員も権利関係も……!」
光は悪びれもせず、さらに爆弾を落とした。
「配信は無料ね。たくさんの人に聞いてほしいし。スマホ撮影とかもOKにしよう」
「光!? 何言ってるか全然分からない! なんで前代未聞のことばっかり言うの!!」
詩音は落ち着いた声でさらりと口を挟んだ。
「結果的にですが、スポンサーは私しかいないですし、私がOKといえば権利関係は問題ないですね。そしてもちろんOKです。配信に必要になる追加資金も出しましょう」
「詩音さん!!あなた、お金さえ出せばなんとかなると思っているでしょう!?」
「え、はい。物理的に不可能なこと以外は大抵なんとかなりますよ」
マリ姐は頭を抱え、机に突っ伏した。
「この金持ちが……!!!」
だが光は笑顔で手を叩き、詩音もつられて笑った。
こうして「全国大規模ツアー」は形を変え、全国弾き語りツアー+同時配信(しかも無料&撮影OK)という前代未聞の挑戦として動き出すことになった。
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「詩音さん!!あなた、お金さえ出せばなんとかなると思っているでしょう!?」
「え、はい。物理的に不可能なこと以外は大抵なんとかなりますよ」
マリ姐は頭を抱え、机に突っ伏した。
「この金持ちが……!!!」
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